DEVIL'S PARADE -CYBER DEAMON SAGA-
Does this smoke connect this life to the other life?: But harsh mistresses have no answer for him.
Does this smoke connect this life to the other life?: But harsh mistresses have no answer for him.
数秒前までアルバルクが存在していた座標には、巨躯が跡形もなく消え去り、猛獣の噛み跡に似た爪痕だけが床面に名残りとしてこびりついていた。右に巨腕を備えた
『…………』
悪魔への贄とは、悪魔にとっての価値と捧げる者にとっての価値が重要である。
鰯の頭も信心からという言葉があるが、代償を支払う者にとってそれが値千金に勝るモノであるならば、それは贄として覿面な効果を及ぼす。確かに
だが、一人を地獄に落とした今、
『
贓物めいた機器に囲まれた
『ぅ――ッ』
集中すべき心が少しばかり離れた瞬間、悪魔は忍び寄る。失くした右腕の切断面が熱く燃え、
『静まれッ! ぐっ、姫。貴様……』
〝味はやはり今ひとつであったが、なかなかに栄養があったようだぞ。
悪魔に直接右腕を支払った代償。
暴れ馬となった
『沈まれと言っている、だろうが!』
奇怪な動きを見せる右腕は
――まずい。
メルトダウンの危険性が加速度的に上がっていく。メルトダウンが発生すれば、ことは
右腕を除く三肢は、動く。踏ん張って、暴走する右腕を必死に留める。
〝ええい!
やはり、悪魔は悪魔だ。何故、メルトダウンという現象が発生するのかは、魔科学が発展しつつあるとはいえ、謎に包まれている。しかし、
『――――――――――』
〝やめよやめよ!〟
更に、左手で鎖を掴み、右腕を締め上げにかかる。悪魔祓いの祝福がなされた鎖は、悪魔は灼熱に灼けたそれに感じるという。縛鎖で絡み取られた右腕は床面に
〝やめてたもれ! やめてたもれ! ああああっ!〟
悲痛な叫びをもたらしたのは、掌に突き刺さったドウジギリだった。問答無用に悪鬼を覆滅する刃の洗礼は、いかな
〝やめて! やめて! 痛い……熱い……うぅ〟
呻吟とともに、暴れていた右腕がおとなしくなっていく。破魔の毒に侵され、
『鞘に収まるんだな、姫』
答えはないながらも、これ以上の痛苦を受け入れられないとみてか、
「最初の一人でこの体たらくか……」
消耗している。
「これが最初だ。待っていろ、
心に去来するのは懐かしく、今は忌まわしい面影。
一つ喰らうごとに力を増していく――。なるほど、どうやら話に嘘偽りはなかったらしい。左手首に巻きつけていたドッグタグが袖から溢れる。月光を浴びて煌めきを大気に残すそれの数は、五つ。
「まずは、
煙草に火を入れる。魔の要素が混じった緑色の炎が紫煙をくゆらせる。線香の煙は此岸と彼岸を結ぶという。この微毒の煙も、そうであればよいが……。
どちらが真でどちらが偽りか、はたまたこの世ならざる映し鏡のせいなのか、二つ並んだ月は魔都
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