DEVIL'S PARADE -CYBER DEAMON SAGA-
Demon's Helo : Sacrifice To The Devil ; How Does It Taste, Princess?
Demon's Helo : Sacrifice To The Devil ; How Does It Taste, Princess?
〝
痛みに喘ぎながらの叱責を、
『大体、性質が読めてきたな』
先ほどの巨腕を差し出したのは、何も肉を斬らせて骨を断つという狙いだけではなかった。視界――
――予知……というよりも予見だな。
次なる動きを高確度で予測し、その起点を封じる。これこそがアルバルクの持つ権能。悪魔に魅入られた者が肉体の一部を捧げた末に与えられた、科学の外にある外法であった。
先ほどまでと打って変わった攻防の天秤は、明らかに
廻転。地面から趾へ、趾から足首へ、足首から膝へ、膝から股関節へ、股関節から脊髄へ、脊髄から肩へ、肩から肘へ、肘から手首へ、手首から剣へ……。順を追いながら廻転勁力を増大させていく。運動エネルギーに咒いを込めた一太刀は、二の太刀を要さず。戦車の装甲の破断はおろか、いかな
『ッ――』
〝ああああっ〟
粉砕。
絶対破断の咒いは先んじて放たれた一手により雲散霧消し、代わりに
〝いい加減にせよ、
『黙っていろ。どうせ、再生して元通りになるだろうが』
わずらしい声に答えながら、
――爆裂、というよりも崩壊か。ここに到って行使したということは、
甲殻じみた装甲には細かく罅が入っている。程なく生じた隙間は閉ざされ癒えるだろうが、それでも幾度となく受ければ危険だ。距離を取る? 否、間合いが開けば今度は予測の網に引っかかる。いくら、袈裟で手足の挙動を隠したとて、躯体ごと動くのであれば予測の精度に影響を及ぼさぬとみてよい。
結局は近接戦闘が要だ。しかし、如何にして距離を殺すべきか。左道の業とて、なにか法則性があるはずだ。
油断をしていたわけではないが、まさか
――視力。そうか。
〝
『姫、少しは静かにしてくれ』
粉砕。濛々たる塵芥が舞い上がり、屋上のアルバルクへと到達した。
『なに?
アヴァターラの首魁は、己と鉾を交えている相手の狙いをたちどころに理解した。当然だ。敵と自身の捧げたモノを知れば百戦危うからず。これこそが、第三次世界大戦後の
『クソが!』
左の視界に収めた射程内の万物を崩壊せしめる――それこそが、アルバルクの最大の権能の正体だろう。そして、破壊力と範囲の広さから察するに、少々のタイムラグを要するはず。たとえ、多少異なっていようが、視覚を
『かくれんぼは得意だったんだ』
『うっとおしい!』
時折、右腕で周囲の塵埃を巻き上げ、それで躯体を包み隠しながら、アウトボクサーの如く、蝶の舞で蜂の突きを見舞う。やはり、視認しなければ崩壊の呪詛は現実化できぬらしい。死角へ死角へと、土煙の向こうから向こうへ。ドウジギリの一閃が瞬く度にアルバルクは追い詰められ、機体が損傷していく。
勝敗は決した。未来予測をしようにも、
しかして、手詰まりとなった
『王手だ……
背後から囁く声。不自然な程に真っ赤な炎の色が視界の隅にちらつく。デモンズ・ハイロゥ――。
反応することさえ許されず、
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