第81話:圧縮強化魔宝石
「ブルーノさん、ドッペルゲンガーを送ってくれているのですよね。
でも人間と同じ大きさにするには、使う魔晶石の大きさが限られますよね。
本当に強い使い魔を送ろうとすると、亜竜のように大型になるのですよね。
ブルーノさんのドッペルゲンガーが亜竜や属性竜を斃して、多くの人の信頼を得て希望になるのは難しいのですよね」
ミュンが人族の事をとても心配している。
この孤児院の敷地にいて思うところがあったようだ。
多くの冒険者が圧倒的な魔獣や竜の力をみて、一度は自暴自棄になっている。
俺の力を見てマイケルや孤児達が希望を持つ事で、それを見た多くの冒険者も希望を持つ事ができた。
ミュンから見て、単に使い竜に救われるだけでは駄目なのだろう。
同じ人間が亜竜や属性竜を斃す姿を見なければ希望が持てないのだろう。
少なくともミュンにはそう感じられたのだ。
だが亜竜や属性竜を斃すためには莫大な魔力が必要だ。
その魔力を蓄えられる魔宝石の大きさは人間以上の大きさになる。
普通なら俺を元に創るドッペルゲンガーの中に入れられる大きさじゃない。
「そんな事はないよ、圧縮して純度の高い高濃縮の魔宝石を創れるよ」
「本当ですか、だったら私達と同じように、ブルーノさんが属性竜や純血竜を斃すところを見て、神に罰せられる絶望から多くの人が救われるのですね」
「できるだけ頑張るよ」
ミュンの手放しの信頼が少し重い。
とてもうれしいのは間違いないのだが、絶対に失敗できない重圧がある。
自信がないわけではないのだが、信頼されている分失敗できない思いがある。
だがそれに打ち勝たなければ男として生きていけない。
でも少し事前準備させて欲しかった。
だがもう準備している時間などない。
ミュンや孤児、冒険者の前でぶっつけ本番でやるしかない。
全員がそう思ったことだろう。
だが俺はそんな無謀な人間ではない。
ミュンや孤児、冒険者にわからないようにこっそり試してみた。
魔法袋に中には莫大な量の魔石や低級魔晶石が保管されている。
それをこっそり皆の見えない所で圧縮してみた。
普段のように単純に融合するのではなく、俺の魔力を加え乍ら圧縮した。
普段の十分の一、百分の一の体積の魔晶石に同じだけの魔力を蓄えられた。
これで皆の前で自信を持って圧縮強化魔宝石を創り出す事ができる。
「じゃあ全員ついて来てくれ。
養殖している亜竜や属性竜から魔宝石を取り出して、それを圧縮強化してみる。
成功すれば多くの人に希望を与える事ができるだろう。
だがこの事は絶対に秘密だ。
もししゃっべったら即座に死ぬ呪いが発動するからな」
こんな事を秘密にしておくことなどできない。
だったら公表して脅かした方がまだ少しは秘匿する時間を伸ばせるだろう。
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