第71話:誓い

 俺は何があってもミュンを護ると心に誓った。

 例え相手がこの世界の神であろうと関係ない。

 全身全霊の力を振り絞って神と戦い、ミュンを護って見せる

 ミュンを護るためなら手段は選ばない。

 神に卑怯だと言われようと関係ない、どんなあくどい手を使っても護る。

 人間の俺が神相手に手段など選んでいられるものか。


「ブルーノさん、ここ以外はどんな状況なのですか」


 ミュンが聞き難そうに聞いてきた。

 昨日の会話で、人間を護って欲しいけどここを離れないでくれと、無理難題を口にしたので、それを気にしているのだろう。

 昨日は自分が口にした事の矛盾に苦しみ涙を流していた。

 全然気にする事などない、少々の穢さや矛盾など人間なら当然の事だ。


「大丈夫だよ、大魔境からモンスターが溢れ出たとはいっても、全ての魔獣や人型魔族が出てきたわけじゃない。

 知性のある人型魔族は大魔境に残っているし、属性竜や純血竜、古竜や古代竜は自分のテリトリーから出ていない。

 亜竜を相手にするのは厳しいが、トップ冒険者でも互角に戦える魔獣も多い。

 そう簡単に人族が魔獣に滅ぼされる事はないよ」


 俺の言葉を聞いて、ミュンが心から安堵している。

 だが直ぐに俺の言葉に隠された意味を悟ったようだ。

 安堵の表情から不安と恐怖が表情に現れた。


「でもその話だと、亜竜にはどんな冒険者も勝てないという事ですね。

 ブルーノさんの分身や使い魔達はどうなのですか。

 彼らなら亜竜にも勝てるのですか。

 亜竜が人族を皆殺しにしたりはしませんか」


「それは大丈夫だよ、亜竜は俺の分身や使い魔が狩っている。

 その為に使った魔力は、斃した魔獣や亜竜から補充している。

 今のペースなら俺が補給に行く必要もない。

 俺が作った大魔境包囲網を突破した亜竜や魔獣もいるが、そいつらは各地にいる分身や使い魔達が狩ってくれている。

 全ての人々を助けるとは約束できないが、できる範囲で助けているから安心して」


 こんなことになるとは全く想像もしていなかったが、タイミングがよかった。

 自分が直接天罰を下さないようにするために、大陸中に数多くの分身や使い魔達を派遣した後でよかった。

 いちいち俺が魔力の補充に大陸各地に行かなくていいように、大量の魔力を備蓄している強化型を大生産した後だった。

 しかも強化型は斃した魔獣から魔力を吸収する仕様にしてある。


「そうですか、それはよかったです。

 でも万が一の事を考えて、ブルーノさんがここに残っていても、大陸各地の分身や使い魔達に魔力を補充したり魔石を届けたりできる、特別な分身を創り出しておいた方がいいのではありませんか」


 ふむ、確かにミュンの言う通りだな。

 強化型の百倍くらい魔力量のある補給型の分身を創り出しておくか。

 そいつに魔法袋を預けておいて、魔力の充填した魔法石や魔晶石を運ばせ、魔力が空になった魔法石や魔晶石を回収させればいい。

 

 

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