第60話:コボルト十三
疫病を流行させた犯人は、コボルト族から激烈な復讐をされていた。
筆舌に尽くし難い残虐な方法で復讐された。
自主規制で表記する事は止めるが、俺でも躊躇うほどの残虐さだった。
ただコボルトの名誉のために、人間を生きたまま食べたりはしていないとだけは言っておこう。
人間のように人型魔族を食べるような外道な真似はしない。
イエローモンキーと人間扱いしていないくせに、犯したりもしない。
人間と認めていない者を犯すのは、獣姦以外の何物でもない。
羊でも山羊でも豚で平気で犯す人間のような下劣な行為を、コボルトはしない。
生きているコボルトの脳を美味だといって食べる、人間のような悪趣味な悪食をコボルトは決してしないのだ。
ただそれ以外の方法で、極悪人の心を壊すような復讐はやった。
激烈な痛みと死の恐怖に精神が崩壊するような復讐だった。
だが簡単に死なせる事も正気を失わせる事もなかった。
できるだけ長く苦しませるために、コボルト族が持っている知識と技術が惜しみなく投入され、極悪人共は殺してくれと泣いていた。
だがそんな復讐を長時間やれるほど、コボルトは下劣な生き物ではなかった。
一人一人のコボルトが復讐に使う時間は一瞬でしかなかった。
だが今回は被害者とその家族があまりにも多かったので、結果的に復讐に使われる時間が長くなってしまっただけだ。
被害者とその家族が全員復讐できるように、長引かせるしかなかっただけだ。
復讐の終わったコボルトと、復讐時間がまだ来ないコボルトは、命の恩人である俺に御礼の魔晶石と魔石を渡そうと、必死で狩りをしてくれていた。
流石に大魔境で狩りをして生きているコボルトだけに、本調子のコボルトなら、結構な魔晶石を内包している亜竜や魔獣を狩ることができる。
だが病み上がりのコボルトに無理をさせて、せっかく助けた命を失うようでは本末転倒なので、十分な安全マージンを取って狩りをしてもらった。
そのお陰と言うべきか、それともその所為と言うべきか、低品質の魔晶石と魔石は大量に手に入ったのだが、支払用に約束した高品質の魔晶石や、約束の高品質魔晶石十個分の低品質魔宝石を手に入れるのには時間がかかりそうだった。
その時間を無駄にするのは嫌だったので、コボルト族の狩りを見守るのは早々にやめて、自分だけで狩りを再開することにした。
だが、だからといって、近場で狩りをしてコボルト族が俺に魔晶石と魔石を支払う邪魔をするわけにはいかないので、更に大魔境の奥に向かうことにした。
強化意識体ドッペルゲンガーを創り出すにはもったいないくらいの、高品質な魔宝石を確保しておくのも悪い事ではないので、亜竜ではなく属性竜を狩る心算で大魔境のさらに奥に向かった。
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