第36話:誘拐被害者救出
まず最初にやったのは、回復魔法の大盤振る舞いだ。
命を助けることが何より最優先だから、無限に近い魔力を持っているのだから、魔力を惜しむような真似はしない。
邪魔をしようとした兵士もいたし、兵士におもねって生きながらえてきた連中も邪魔してきたが、経絡を突いて激痛地獄を落としてやった。
次にやるべき事は食事を配る事だ。
飢えほど苦しい事はないので、鉱山の落盤に気をつけた上で、粥を配った。
肉や魚といった固形物をいきなり与えても、胃腸が受け付けない。
消化吸収のしやすい、胃腸に優しい粥から与えなければいけない。
人助けをしていると、飢えて死にそうな人間にはよく出会うから、魔法袋には常に大量の粥を用意しているのだ。
「美味しい、美味しいです、ありがとうございます」
餓死寸前の男が、何度も礼を言ってくれる。
当たり前の事をしているだけだが、ここでは人間の当たり前の善意などない。
時間をかけて回復させてあげたいが、こんな所に長くいたくはないだろう。
ある程度回復したら鉱山から出してあげるべきだな。
さて、この状況では、復讐をどうするかが少々問題だ。
誘拐された人間が全員被害者のままなら、全員助ければすんだのだが、中には兵士の手先になって同じ被害者だった者を苦しめていた者がいたる。
生き延びるために仕方がなかったともいえるが、痛めつけられた人達から見れば、絶対に許せない裏切者だろう。
裏切者にも、帰りを待ちわびる家族が家にいるかもしれない。
こいつらの処分は、痛めつけられてた人達に任すしかないな。
「俺は兵士と黒幕を捕らえてくるから、ここで休んでいてくれ。
食事は個々に大鍋に入れた粥を置いておくから、吐かない程度に食べてくれ。
長らくろくなモノを食べていなかったようだから、食べ過ぎると吐くぞ。
まあ、後で様子を見に来るから、食べ過ぎくらいなら治してやるけどな。
今直ぐ逃げ出したいだろうが、服も靴のないのでは家まで持たんぞ。
家に帰る前に身綺麗にしたいだろ、黒幕の屋敷から旅費と身支度を盗んできてやるから、それまではここにいて体力を取り戻しな、わかったな」
俺の言葉を理解したのだろう、粥を食べていた者も、満腹になってお腹を抱えて休んでいた者も、カクカクとうなずいてくれている。
俺の助言を聞かずに逃げ出す者がいるかもしれないが、それは仕方がない。
ようやく解放されたのだから、直ぐに家に帰りたいのが人情だ。
この者達の事を考えれば、鉱山の入り口をふさいで逃げられないようにする事だが、どうするべきだろうか。
さて、今からは天罰の時間だ、被害者達が受けた苦しみをそっくりそのまま返す。
それが俺の天罰だが、同じ状況を創り出すのは難しい。
どんな方法を使うにしても、まずは関係者全員の経絡を突いて激痛地獄からだな。
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