第33話:元踊子の復讐代行

 思いつく復讐方法は幾らでもあるのだが、輪姦と売春強要に対する復讐方法。

 だがそれだけでは方法が少し弱いし、騎士やその跡継ぎが逃れるかもしれない。

 彼らまでが確実に復讐される方法となると、他人を利用すべきだと思った。

 同時に今日まで保留していた復讐を果たす時だとも思った。

 エクセター侯爵家の当主だったヘンリーは殺したが、家を潰したわけではない。

 不当にセシル城伯領の民から奪った金品分、いや全財産を盗みだして、その犯人が騎士だと思わせれば、悪人同士が潰し合ってくれる。


 そんな復讐方法を考えていたのだが、大人はともかく子供には罪がない事に思い至り、急いで子供達を攫う計画を立てて実行した。

 親達を地獄に落とす復讐は止められないが、善悪の意味も分からない、道徳教育を受ける前の子供、まだ罪を犯していない子供まで苦しめる事はできない。

 だから必要な経穴を順番通り魔力を込めて突き、記憶を一時的に奪ってから眠らせて、踊り子と一緒にドッペルゲンガーに孤児院にまで送らせた。


 最初に騎士家から金品や家宝を盗んだ。

 エクセター侯爵家の領城に忍び込み、家宝だけではなく金銀財宝の全てを魔法袋に入れて盗み出した。

 同時に予定通りに騎士家が盗みに入ったと分かる証拠の品を残しておいた。

 エクセター侯爵家とは比較にならないくらい価値の低いモノだが、騎士家にもそれなりの家宝があり、その中で価値は低いが家紋の入った道具を落としておくのだ。


 エクセター侯爵家も本当に騎士が盗みに入ったとは思っていない。

 俺に盗まれた金銀財宝を少しでも取り返すために、難癖をつけて襲う相手として選ぶだけの話だ。

 腐れ外道の貴族士族が争うように仕向け、それが成功しただけ。

 だがエクセター侯爵家が騎士家の家財を奪いたくても、その全ては事前に俺が盗んでいるから、奪って売れる物といったら領民だけとなる。


 踊子を苦しめた村長以下の村人は、エクセター侯爵軍に捕らえられて奴隷に落とされ、鉱山や売春宿に売り払われることになった。

 だがエクセター侯爵家も、王家に仕える騎士家の当主や跡継ぎを人質にする事はできても、奴隷に落として売り払う事はできない。

 王家が与えた領地を勝手に占領する事も不可能だ。

 そんなことをすれば王家との戦争になる。

 軍資金と兵糧の両方を全て失ったエクセター侯爵家にそんな力はない。


 騎士と跡取りを人質にして身代金を取りたくても、今現在騎士家には全く金がなく、領民全員を売り払われたので、来年以降の年貢も入ってこない。

 エクセター侯爵家のやり方は馬鹿としか言いようがないが、その程度の人間が治める方が色々と扱いやすくなるだろうから殺さずにおく。

 問題の騎士と跡継ぎは、罰を与えるべく性欲中枢を暴走させる経穴を突いた。

 男色の受けになって大暴走するように経穴を組み立ててやったのだ。

 

 

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