(四)

 翌日、辰巳はいつも通り出勤した。競りと取引を終え、仕入れた商品をターレーで店に運んできた。ターレーを停めると同時に、店先に立っていた上司の市川に声を掛けられた。

「そういえば話があるって言っていたが、大丈夫か、今なら少し時間取れるぞ」

 発泡スチロールの箱を掴んだところで手を止めて、辰巳は「あ、いえ……」と言葉を濁した。

「相談があったんじゃないのか」

「ええ。ですがもう、解決しました。ありがとうございます」

 辰巳の言葉を聞き、市川は「何かあれば言ってくれ」と残して事務所に入っていった。


(続く)

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