(二)-12

 辰巳はバスを降り、帰宅した。連絡帳を見ると、妻からの伝言があった。次の日曜日に、息子・勇男の小学校で授業参観があるのだという。だから二人で行こうと書かれていた。

 辰巳は返信として「OK」とだけ書き込んだ。




 数日後の日曜日を迎えた。辰巳と一羽の二人は家を出て歩いて息子が通う区立佃小学校へ向かった。「橋見水産」のロゴの入ったポロシャツとウインドブレーカーを着た辰巳と、同じように「鮮魚氷川」のロゴ入りウインドブレーカーを着た一羽がスリッパ履きで三年生の教室へとやってきた。教室の後ろにはすでに子どもたちの父兄が多く並んでいた。男性は辰巳を除いて一人だけで、残りは女性ばかりであった。その女性たちは、先日ファミリーレストランにいた女性たちと同じように華やかな格好をしていた。


(続く)

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