(二)-11

「だから、世間様はそんなこと知らねえんだ。いいか、昼と夜の間にはなあ、お前が想像もしていないような距離があるんだよ。だからそいつらが言うことなんて気にすんな」

 そう言うと、ちょうど地下鉄がやってきた。その先頭車両は二人の数メートル手前でところで停車した。

 辰巳は「お前はもう帰れ」と千川の背中を押して、電車に乗るように促した。

 千川は「すみません」と一言だけ残し、地下鉄の先頭車両に乗った。ドアが閉まり、列車は出発していった。

 辰巳はホームを戻り、階段を上り、改札を出て、地上へ出た。横断歩道を渡り、バスに乗った。後ろの方の右側の窓際の席に座った。

 バスの車窓からさっき二人がいた牛丼チェーン店が見えた。店の前に警察の自転車が二台置かれていた。店内には二人の制服の警官が店員と話をしていた。


(続く)

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