(二)-2

 店に入ると、店内は混雑していた。ちょうどランチタイムであったからだ。しばらくすると席に案内され、窓際の四人席に対面するように座った。ビール、それにつまみとして唐揚げ、フライドポテトにシーザーサラダを注文した。

 二人で仕事のことなどを話ながら飲み食いしていると、少し離れたところにあるテーブル席から声が聞こえてきた。

 二人がそちらの方を見ると、そこには近所の主婦らしき四人の女性たちがいた。主婦と言ってもTシャツやトレーナーなどではなく、フリルがついたドレスのようなワンピースや百貨店のアパレル店で見かけるようなおしゃれ着を皆着ており、華やかな雰囲気を放っていた。化粧のせいもあるかもしれないが、子どもを持った三〇代半ばくらいのはずにもかかわらず、パッと見た感じでは皆若々しく二〇代に見えた。時間は正午を回ったところであった。にもかかわらず、ベビーカーや子どもを連れてきていないということは、子どもはすでに学齢期で、今は学校にいるのだろう。そのような身なりなどからすると、近所に林立しているタワーマンションの住人だろうと辰巳には思われた。


(続く)

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る