第17話 朝風呂と未来さんの本音
「う、ううん」
翌朝うなされながら目を覚ました俺は洗面所に行き顔を洗う。
夜中に目を覚ました後も何か夢を見たような気がするのだが全く覚えていない、一発目の夢がインパクト強すぎた。
俺はスマホを手に取ると「夢占い 裁判」と検索すると判決を言い渡される夢と言うのがあった。
内容は運気上昇との事だけど俺判決前に起きちゃったんだよなぁ。
この場合も上昇でいいんだろうか?
「おはよう、早いのね」
昨日の大の字はどこへやら、美しい俺の婚約者様は爽やかな顔で起き出してきた。
「おはようございます」
俺たちのやりとりに目を覚ましてしまったのか未来さんも起きてきた、時刻は朝6:00、卒業式は10:00からなので若干早いかな?
「折角早起きしたから朝風呂入って来るわ」
という幸子の言葉に。
「じゃあ私も入って来ようかな?」
と未来さんも言うので全員で大浴場へ向かった。
...
「いやー、昨日は飲みすぎちゃったわ」
湯船に浸かりながら幸子が言う。
「お母さん風呂上がりに大の字で寝てたのよ、端の布団で。
昭彦さんが真ん中に動かしてくれたんだから」
幸子が寝てから昭彦が動かすまでに何があったかは流石に言わない未来、いや言えないか。
「あたしが寝てる間に何かお話したの?昭彦さんなんか寝覚めの悪い顔してたけど」
と言う幸子の問いに。
「特に込み入った話はしてないよ。
明日は大事な卒業式だから早く寝なさいって言われたぐらい」
そう答えながらも昭彦の目覚めが悪そうという幸子に発言に。
『私が寝る前にほっぺにキスしたから?それともトイレで...してる間に寝ないで待ってたから?悪いことしちゃったかな?』
と反省する未来だった。
...
「いやー、しかし変な夢だったなぁ」
大浴場に一人、貸切状態だった俺はついつい独り言を言いながら温まっていた。
「未来さんのアプローチ?にも困ったもんだけどその後心揺らしたからあんな夢見たんだよな...いかんな、大人の俺がしっかり自制しないと」
そう言いながら湯の中の
「お前も歳の割に元気なのは結構だけどああ言う場面は忍耐してくれ」
と、戯けて話しかけてみるけど実際は自分の心の弱さが問題なんだよな、いや!昨日はアルコールが入ってたしその後お風呂でリラックスしてたからだ!緊張感緊張感!
俺は気合を入れ直して風呂から上がった。
フロントがまだ閉まっている時間だったので鍵は俺が持っている、ロビーに出るとちょうど風呂上がりの二人がやってきた。
時刻は7:00、朝食バイキングが開いた時間だったので浴衣のまま食べてしまおうと言うことになった。
食べ終わったら男の俺がさっさと着替えて女性陣に部屋を明け渡さなければ、女性は準備に時間がかかるものなのだから。
なんでホテルの朝食ってガッツリ食ってしまうんだろうなぁ?
バイキングじゃない旅館とかでも結構な量が出てきたりするので朝から若干食べすぎてしまうのが常だ。
「いいなぁ、私ももうちょっと食べたいけど我慢しよう」
今日の主役である未来さんは腹8分目どころか半分?ぐらいで食べるのをやめた。
お腹ぽっこりになって袴のシルエットが崩れるのを嫌がったのかな?
「じゃあ式が終わって福岡に帰ったら美味しいものお腹いっぱい食べようか?」
と言う俺の言葉に。
「はいっ!」
と、満面の笑みで答える未来さん。
「本当あんたたち実の親子...じゃないわね歳の離れた恋人みたいになっちゃったわね、本当に取らないでよ?」
笑いながらそう言う幸子に。
「取らないってば、お母さんも昭彦さんも大好きなんだから」
そう言って笑い返す未来さんの方から微かな声で。
「一緒に愛してくれたら幸せなんだけどな...」
と、聞こえた気がした。
気のせい...じゃないよなぁ...。
部屋に戻り俺はスーツに着替えるとロビーへ。
二人が着替えるのを待つ。
暫くすると幸子から電話があったので部屋へ、着替えた荷物を持っていかないとな。
コンコンッとノックすると。
「はーい」
と幸子の声。
ガチャっと開いたドアに空いた口が塞がらない、何故って?
幸子も袴だったからだ。
「何してんの!?ってかそれも借りてたのか?」
そう、幸子は試着してたあの袴一式を着ていたのだ。
「えー?だって可愛かったんだもん、似合ってない?」
いや似合ってるのが問題なんだよこの四十路!
「それじゃ卒業生と紛らわしいだろうが」
と俺が言うけど。
「でも他に礼服みたいなの持ってきてないもーん」
くっ!確信犯か!
未来さんが時々突拍子もない行動を取ると思ったけど...間違いなく親子だなこりゃ...。
「ほらやっぱり怒られたじゃない、私は止めたんですよ昭彦さん」
そう言いながら部屋の奥から未来さんが出てきた。
ほぉう...。
試着段階で見せてはもらっていたがきちんとメイクをするとまた映えるなぁ。
まあ双子コーデみたいな感じでいいか、片っぽ保護者席だけど。
俺は色々諦めながらチェックアウトをして大学へと車を走らせた。
道中車内がすごく華やかな感じだったのが唯一の救いなのかもしれない。
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