第11話 お風呂のフロイライン
すっかりはしゃいで酔いが回り寝落ちてしまった幸子、これはもう寝かしつけた方がいいだろう。
せめて化粧だけでもシートで落としておいてあげようと寝巻きと化粧落としシートを準備していると。
「昭彦さんって気がきく人と思ってましたけどそこまでしてあげるんですね、本当紳士ですよね。
化粧落としと着替えは私がさせておきますからお風呂入って来てください、その後寝室に運ぶのだけお願いします」
「助かるよ、じゃあさっと入ってくるから準備できたら声をかけてくれ」
別に紳士ってわけじゃ無いが女性が寝落ちたら化粧を落としてあげるのは基本じゃ無いのか?
そのまま寝かせると幸子の年齢より随分若々しい肌にダメージ与えてしまうしな。
そんな事を考えながら服を脱ぎシャツとパンツを脱いだ瞬間ガチャっと音がして脱衣所の扉が開く。
驚いて身体ごと振り向くとそこには未来さんがいた。
俺は咄嗟に手で股間を隠すと。
「どうした?何かトラブルか?」
という問いに。
「えへ、見られっぱなしだと悔しいからお返しに来たんです!
...でもパンツまで脱いでるとは思いませんでした、ごめんなさい」
悪戯っぽく笑っているがその顔は真っ赤だ。
その顔が可愛すぎるので。
「確かに下まで見られるのは俺の方が損だなぁ、別に減るもんじゃ無いからいいけど」
と俺がからかうと。
「じゃあ私のも見、見ます!?」
と一層顔を赤くして焦ったように言う未来さん。
「とても魅力的な提案だけどやめとこう、何か間違いがあると良くない」
と俺が言うと。
「...昭彦さんだったらいいのに...」
と、小さな声で言うのはいいんだがしっかり聞こえてるから困る。
「ほら、風呂入っちゃうから幸子のところに戻りな」
いつまでも昭彦100%状態でいるわけにもいかないので促すと未来さんはリビングへ去っていった。
掛け湯をしてざっと体を流しまずは風呂に浸かる。
しかし今日は濃い1日だったなぁ、ただの休みになると思っていたのが未来さんが帰ってきて朝から幸子が出かけて二人でお出かけする事になるとは。
ラーメンも食べていい一日にだったなぁと思ったら急にファッションショーが始まるし。
と思った瞬間。
カチャ
と言う音とともに風呂のドアが開いた。
「昭彦さん、お背中お流しします。
私もバタバタして汗かいちゃったので...」
そう言ってバスタオルを巻いた未来さんが入ってきた。
「おいおい、マズイよ」
俺がそう言うと。
「もちろん下に水着は着てますから、昭彦さんはこれを巻いてください」
そう言ってフェイスタオルより大きめのスポーツタオルを渡される。
それならばとタオルを腰に巻き風呂椅子に座る。
「じゃあ背中だけ流してもらおうかな?
前は自分で洗えるから」
未来さんは言った、俺をパパさんとして甘える、と。
幼くして父親を亡くした未来さんはお父さんとのお風呂もあまり記憶にないのかもしれない。
水着を着ているなら背中ぐらい流させてあげてもバチは当たるまい。
ムニュ
なんだろう?背中に心地よい感触が。
「あの...未来さん?」
「大丈夫ですよ?バスタオルにちゃんとボディソープを付けてあります」
違う、そうじゃない。
俺は思わず頭に鈴木雅之を思い浮かべる。
「なんで身体で洗ってるの?」
俺が戸惑いながら聞くと。
「男の人ってこう言うの喜ぶって聞きますし...それにサイトでもこう言うのって定番じゃないですか」
確かにそうだ、そうだけれども!
「でもほら、恥ずかしいんじゃないの?」
と俺が聞くと。
「ちょっと振り向かないでくださいね、多分顔真っ赤ですから」
やっぱり恥ずかしいんじゃないか!
「無理しなくてもいいんだよ?」
と言う俺に。
「大丈夫です!あともうちょっとですから!」
と、健気に身体を押し付けてくる未来さん。
やがて背中を洗い終わり、ふうっと息をつく未来さん。
「終わりました!どうでしたか?」
と笑顔で聞いてくるので。
「あ、ああ。
気持ちよかったよ」
と、歯切れ悪く答える。
「もしかして...引いてます?」
いやそうじゃないんだ。
少しも引いてないかといえば嘘になるがどちらかと言うと万が一にも反応しないように気を張っているのだ。
腰は若干引けているけども!
「大丈夫だよ、物語の登場人物みたいな経験ができて楽しかったよ」
俺がそう言うと未来さんは。
「やったぁ!」
とぴょこんとジャンプする。
お約束というものは守られるためにあるとは誰の台詞だったか、案の定はだけるバスタオル。
「へへー、大丈夫ですよ!ちゃんと水着着てるでしょ?」
俺の目はリビングで見た白い水着姿の未来さんの一点に集中してしまう。
俺は女性の水着に詳しくはない。
でも、おそらくだが男性と違い女性の場合水に入らない前提の水着もあるんじゃないだろうか。
そしてその水着で水に入る場合サポーターやパットをつけるものじゃないだろうか?
いや何が言いたいかと言うとだな...。
しっかりと透けているのだ、さっきリビングで一瞬見えた先端の色が。
唐突にこんにちはしたそれに俺の目は図らずも釘付けになってしまいタオルの前は持ち上がってしまうしその視線を追った未来さんはみるみる顔を赤くして。
「キャー!昭彦さんのエッチ!」
と、胸を押さえてしゃがみ込んだ。
まさか一年越しで同じ台詞を聞くとは思わなかった。
...
「もう...いいですよ?」
我にかえって後ろを向いた俺、その間に未来さんは身体を流しバスタオルに付いたボディソープも洗い流して身体に巻き湯船に浸かってそう言った。
俺は前を向いてお湯で身体を流していく、間違いが起こる前にさっさと上がった方がいい気がする。
ザバッと流し終わり上がると言おうとした瞬間。
「すこし...お話しませんか?」
と、未来さんに引き止められて俺も湯船に。
建てた時に力を入れていたのか湯船は若干広めなのだが流石に二人で入ると身体が触れてしまう、幸子とイチャイチャするのには程よいのだが今の状態だと気まずい。
「昭彦さんは...私と再会してどう思いました?」
若干思い詰めたような顔で問いかけてくる未来さん。
「そりゃびっくりしたよ、タチの悪いドッキリかと「そう言うのじゃなくて!」
俺の言葉を遮って未来さんは言う。
「もう二度と会えない、会ってはいけないと思っていた昭彦さんに会えて私はすごく嬉しかったんです...昭彦さんはどうだったのかなって」
そう言う事なら。
「ものすごく驚いたのは事実だけど今日の買い物とか今この瞬間も、未来さんと話せてるのは嬉しく思うよ」
俺がそう言うと未来さんは。
「本当!?うれしい!」
と抱きついてきた。
「コラコラ未来さん、色々当たってるし気まずいから離れなさい」
拒絶しないように嗜めることが出来た、俺はまだ大丈夫だ。
「はーい...」
そう言いながら未来さんは俺に背を向けて...あろうことか俺の足の上、腿の上あたりに腰掛けてきた。
そこから会話をしたのだが俺の頭の中は素数や因数分解、般若心経などが駆け巡っていた。
しかし会話に一喜一憂するたびにぴょんぴょんと身体を揺らす未来さん。
なんとか辛抱していたのだが般若心経の終わりと未来さんがお尻を滑らせて股間の上に来たタイミングが被ってしまい俺自身が反応してしまう。
ピタッと止まった未来さんはゆっくりと身体を捻ってこっちを向くと。
「...もう、明彦さんのエッチ...」
と、妖艶な表情で言った。
俺はもうダメかもしれない。
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