050 第23話 1989年 ベルリンの壁 崩壊です。
本エッセイは拙著「はじめさんが はじめから はじめる! ~タイムスリップ歴女コスプレイヤーはじめさん~」の最新話のネタバレを多分に含みます。エッセイの題もしくはエッセイ冒頭の表記話数をまずご確認いただき、ご自身の読書進捗度と照らし合わせて読み進めるか止めるかを予めご判断ください。
では、以下から新規部分です。どうぞ。
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はじめさんがはじめからはじめる、第23話 1989年 ベルリンの壁崩壊。いかがでしたでしょうか?
ひとつ前の第22話の昭和最後の日から話をいたしましょう。その第22話を作劇している際に、テレビで何かを写そうと思いました。
さて平成元年はどんなニュースがありますか、そんな軽い気持ちで調べてみたら。ありましたよとっても大きなニュースが。時代が動いた出来事が。1989年はベルリンの壁が崩壊した年でもあったんですね。
それを見つけたのは全く予想だにしない出会いでした。第18話のベルリンの壁は国境を見事突破したあそこで終わりだと信じて疑いませんでしたから。すでにあれは書き上げた時点で自信作。主人公が九死に一生を得てのハッピーエンド。その時は続きなど微塵も考えていませんでした。ですから、この第23話壁崩壊は偶然出現しました。
こうして1989年に新たな話のネタが生じたため、屈指の地味回である第22話昭和は一転して削除される運命に。しかし、第23話壁崩壊の執筆を進める中で不都合が生じます。
あの第22話昭和を削って第23話壁崩壊のみにしたとします。その場合はいきなりベルリンに出現でスタートです。何も労せず、何も得ず。
第23話壁崩壊をお読みいただいた方には分かります。主人公がベルリンの地を踏むまでに通った道のりがどのようであったか。
第23話壁崩壊のほとんどを占めたあのルートを通ろうと思ったら、スタート地点をあそこに拘束した第22話昭和の重要性がグンと上がりませんか? それを狙ってあの第22話昭和を残しました。
ですから第22話昭和はあれで良いのです。第23話壁崩壊とセットでひとつの話。第22話昭和はそんな役割の話でした。
確かに壁を乗り越えるのはこの作品に沿ったテーマではありました。もちろん、人と人を隔てる壁なんて無粋なものを打ち壊すのもまたそうだったのです。これを見落とすところだったとは。私もまだまだですね。
こうしてベルリンの壁が倒れる場面に立ち会うべく主人公は現地に向かいました。敢えて地続きとしたことで、今話だけの意外性が出て、さらにそのための資金作りで苦労する場面が描けたのは思わぬ収穫になりました。
地続きの話にした結果、アルバイトをして航空券を手に入れる必要が生じます。ここで主人公のアルバイトスキルの発動だ! 無双だと思いましたが、せっかくここまで苦労して抑え目でやって来たのに、いきなり俺TUEEEしてしまうのはもったいないと考えを改めました。
そもそもアルバイトスキルでアルバイトを無双? 当時の私は何を考えていたのでしょうか。今考えると謎ですね。
それならと、今までやった事のない職種にしました。福岡で育ち東京で働く主人公が、やった事がないであろう職種に。
第22話昭和は正月明けてすぐに設定していましたので、雪国こそが似合うと東北をイメージしていました。そこでいっそ北海道へと発想を飛ばしました。あのあたりにある仕事、特色のある仕事。そこにあるのは……牧場です。
おかげで屠殺をここでもう一度描けたのは嬉しい誤算でした。家畜の生死に対し、最初の予定では延々と悩み続けるだけで自力で答えを出すつもりでしたから、こうして再び生の生命と向き合う機会が得られたのは僥倖でした。
これは畜産農家さんに感謝したいです。よく鶏をつぶすとか豚をつぶすとか簡単に言いますが、その実かなりの葛藤を経て自分の中での折り合いをつけてつぶしていると思うのです。それをしないと食べられない、それをしないと生きられないから。いずれ屠殺とはまた改めて向き合わなければならない主人公のために、その農家さんの魂をここで注入できました。
フィーナが今話で再び合流しました。私はこの離脱期間が短いと考えていて、本当はもっと期間を長く設定したかったのですが。読者さんが離れて行く足音が聞こえる中でこれ以上に延ばすのは不可能でした。
フィーナを一時離脱させたのには理由があります。どうしても彼女がいる状態で参加したくない話が出て来たためです。彼女は予想だにしない突破口を毎度私に示してくれつつも、彼女の存在は本作のバランスブレイカーなのです。彼女が居るだけで解決してしまう問題がいくらでも。そうなると本作は、主人公ではなくてフィーナの活劇物語になってしまいます。
それでフィーナなしで描きたい話を選び、中盤が終わったところに一塊にして配置しました。それで彼女と一旦別れ、また合流させる流れを。主人公単独で受難し、乗り越える話がどうしても必要でした。
私としても主人公の成長が描けた、終盤を前にした良い話になったと自負しているのですが。最近のPV数の減少には目を覆うばかりです。苦しい日々が続きます。
必要になったのは離脱と合流のエピソード決め。ベルリンが舞台のふたつの話はすでに完成していましたから、これが妥当だろうとは早い段階で考えました。ただ、感動の再会がフィーナとエレーネの二連続ではどちらかの影が薄くなる恐れが。それで場所を変えたとしても遜色ないフィーナの方を東京に移し、エレーネは現地としました。
彼女は東京の夢の国在住にできましたし、念願叶って飛行機にも乗れましたし。色々と上手く行きました。
タイムトラベラーが過去の旅の途中で一旦現代近くに戻れてしまうとかなり面倒です。今回のように色々と便利グッズを買い集めてしまうので。主人公のそうした行動を察知した私は、主人公をより過酷な状況に放り込むのを決めたのでした。
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