048 第21話 1231年 寛喜の大飢饉 完結です。
本エッセイは拙著「はじめさんが はじめから はじめる! ~タイムスリップ歴女コスプレイヤーはじめさん~」の最新話のネタバレを多分に含みます。エッセイの題もしくはエッセイ冒頭の表記話数をまずご確認いただき、ご自身の読書進捗度と照らし合わせて読み進めるか止めるかを予めご判断ください。
では、以下から新規部分です。どうぞ。
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はじめさんがはじめからはじめる、第21話 1231年 寛喜の大飢饉。いかがでしたでしょうか?
最初期6話の最後の話がこれです。①誕生、②第二次世界大戦、③日本住血吸虫症、④カリフォルニア開拓団、⑤山体崩壊、⑥寛喜の大飢饉。いずれも大量削除や結末変更などの大幅改稿を経た話です。全部合わせてA4で3枚くらいでしたから、それが実際に終わってみればこの6話だけでおよそ20万字に。ずいぶんと増やしたものです。
今話は最初、出発直後に山賊に襲われ、木曽川を越える際にもう一度襲われ、琵琶湖に抜ける際に襲われる、そんな話でした。山賊は3回やって来るはずだったのです。
岐阜から一直線に滋賀を目指し、日本海には寄り道していません。栗助は少年のまま短期間で到着しますから、恋愛要素は皆無のはずでした。少年なのに凄腕の用心棒なのは今と同じ。その彼に主人公はおんぶにだっこのまま琵琶湖に到着して終わりとなる構想でした。
このままでしたら主人公と栗助の成長は皆無。山賊怖かったね、で終わりです。
第21話が完成して、最終稿で残っているのは最初の出会いのところくらい。それも殺意を抱かずにニコニコで現れる予定でした。
名無しの少年だった栗助は、ずいぶん大きくなってから両親と離れることになったのですが、それで自身の名前を知らないのは変です。つまり記憶を閉ざしたのです。ただ食べるためだけに思考を集中するようになって、獣と化したんですね。たぶん一時は言葉もなくしていたのではないでしょうか。
それで不都合で嫌な記憶も一緒にどこへやら。名前も分からない悲しい少年ができ上がりました。
仇の山賊を目にした時に思い出したのはその山賊の顔だけでしょうか。それは彼のみぞ知り、私も知り得ません。
エイガという技は、剣道で表現すると不意を突いた振り向きざまの抜き胴です。もし想像していたのと違っていましたら、それは私の描写力不足です。
ある時代劇映画で出てきた技のひとつで、私の作中同様、地力で優る相手に効力を発揮しました。それで映画から取ってエイガ。もちろん本作なりのアレンジはさせてもらいました。
相手は真剣での殺し合いを生業にして、何年も暮らせるくらいの人物なのです。主人公は、ああでもしなければ山賊に対して手も足も出なかったでしょう。
当初この話は全13話中の後ろから3番目の話でした。それほど集大成と言いますか、過酷な状況下でのサバイバルを意識した内容でした。
後に北米横断が出てきたのでごっそりサバイバル部分を削ったため、今話の本来の役割部分であります飢饉が薄くなったのは悔やまれます。
寛喜とは年号のこと。この年号の時に発生した飢饉をそう呼んでいるようです。
寛喜と聞くとなんだか平和そうな縁起の良さそうなものをイメージますが、現実はまるで逆。
これは寛喜のすぐ前に、同じように飢饉が発生していて、酷い目に遭った後で。これ以降良くなって欲しいとの願いの下で年号を命名されたそうです。
しかしその想いは裏切られ、改元後すぐの寛喜2年で再び途方もない飢饉に見舞われ。それも複数年に亘ったために寛喜はわずか3年でまた改元されてしまいました。それほど中央の権力者すら慌てたのでしょう。神頼みしかなかったのですね。
寛喜の飢饉は、その手前の改元に至った飢饉が霞むほどの大飢饉だったようです。
実際の寛喜の飢饉は旱魃ではなくて冷害だったそうです。夏になんと雪が降ったそうで。それはそれは恐ろしい状態であったと思いますが、その恐ろしさを描こうとしたらただ季節が違うだけになってしまいました。
これでは十分に伝わりません。夏に雪とはなんとも幻想的ですし。分かりやすさは大事です。
冷夏からの厳冬ですと主人公も死にかねず、ずっと2年間通して冬景色なのも飽きると思ったので、早々に冷夏は止めました。
それで旱魃。暑さや喉の渇きなどの方が伝わりやすいと踏んだのですが、今度は北米横断との類似性が気になりました。
さんざん悩んだ末に酷暑に決定、今に至ります。
いよいよ終わりが見えて来ました。第4次改稿も残すところあと2話分、最終チェックもあと5話分です。次回作にも着手しましたし、今年の年末年始も執筆三昧になりそうです。
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