031 第10話 1404年 鈍刀鍛冶 投稿完了です。

 本エッセイは拙著「はじめさんが はじめから はじめる! ~タイムスリップ歴女コスプレイヤーはじめさん~」の最新話のネタバレを多分に含みます。エッセイの題もしくはエッセイ冒頭の表記話数をまずご確認いただき、ご自身の読書進捗度と照らし合わせて読み進めるか止めるかを予めご判断ください。

 では、以下から新規部分です。どうぞ。




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 はじめさんがはじめからはじめる、第10話 1404年 鈍刀鍛冶。いかがでしたでしょうか?


 鈍で、なまくら。鈍刀と書いて、なまくらがたな。鈍刀鍛冶では、なまくらかたなかじと読んでください。

 今の奈良県周辺でかつて作られていました鈍刀の存在は、この執筆を始めて日本刀を調べるまで全く知らなかったです。こんな職人達が居たなんて。この時代周辺にエピソードが乏しく、何かネタが無いかと探していて見つけました。


 たぶん劇中のような志を持って職務に打ちこんでいた人は一人も居らず、普通に楽してただ儲けたいだけで作刀していたと思います。劇中の描写は全くの私の妄想でして。

 とにかく応仁の乱後の戦国の世で、大量に刀が必要になったのだと捉えています。特に京都周辺では戦が絶えませんでしたから。粗悪でもいい、とにかく数を揃えたいという武士の要望と、数を用意するには刀身を鍛えるのに時間を掛けていられない鍛冶屋の事情が合致して、あの時代のあの場所にお粗末刀鍛冶集団が形成されたのだと勝手に想像しています。


 ところが、後の世にもその悪評が残り、自らの商売をどうやら圧迫したようです。その結果、どんなに時代が下がってもこの地域で必要とされるのは安いだけの刀となり、永劫鈍刀を作り続けるはめに。

 値段は安くても高くても売り手と買い手双方が納得していれば良いですが、最初は求めに応じる形で作っていたのに品質を笑われるようになるとは。ただ即納に応じて一生懸命に作っていた時代には思いもよらないことです。

 中には作中のような志を持って鈍刀を作っていた人が実在していたら良いのに、なんて想像しています。



 温泉は最初は影も形もありませんでした。自給自足を旨として生活している仙人さんでしたので、何でも山で自給できる必要があり、それで塩が取れる設定にしました。それで一度書き始めましたが、やはりそれだけでは生活が立ち行かないと考え、後の方で外界から物を持って来る人を足しまして、山塩の設定は死ぬ予定でした。


 しかし閃きます。

 ただ乾燥させただけで使える山塩、吹き出しているのは塩を含んだ熱水。

 ……温泉に入れる!

 劇中での主人公の閃きは、その時の私そのものです。

 ただ刀を得て次の試練へと向かう、そんな身が引き締まるような話に少しの抜け感が生じました。




 物騒な話ではありますが、武器関係は色々と整って参りました。ここで得た腰刀に、回転式けん銃、脇差しと。これらを使わざるを得ない、ハードな展開はもうすぐです。お楽しみに!

 ただし次は例の第11話です。

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