■08: キス・オブ・ライフ(F)

――――

エピソード「キス・オブ・ライフ」の断片・プロット

――――

1053年10月


最近、作戦中行方不明の神器兵が増えているという。

戦死したり行方不明になったりすること自体は少なくないが、神器すら回収されていなかったり、班単位で消息を絶つのは珍しい。

同様のケースが「聖女」にも相次いでいる。


セシリエ、ロズメリー、ルイーゼが参加する作戦中。部隊は6人。

多くの武器や神器を背負う奇妙な姿のケモノに遭遇する。

交戦する。

ただのハグレケモノかと思われたが、ケモノは傷を負うと、背負った武器の中から、一つ手に取った。斧槍型の神器。ケモノの体躯からすると、片手剣のようなサイズ感。

ケモノの動きと、攻撃のリーチが変わったことで、感覚を狂わせられる「聖女」たち。

一人が攻撃を受け、吹き飛ばされる。神器でガードすることはできたが、腕の骨が折れ、戦闘継続は困難。


「強いな。下級の子たちは下がって」

「背負った武器……、神器ね。コイツが行方不明事件の犯人なのか?」


ロズメリーがケモノの攻撃を引き受け、セシリエたち他の聖女が隙を突くことに。

前衛たちが奮闘している間に、距離をとり狙撃体勢に入る聖女が一人。右目の眼帯とセーラー服、ボルトアクションライフル型神器を左構え。祈りの言葉を呟き、引き金をなぞる。

彼女の狙撃により、ケモノの腕が破壊され、武器を落とす。

セシリエの槍型神器から射出された穂先を何本も受け、ケモノはようやく沈黙する。




数日後、別の作戦中。

作戦終了後、現場の監視中。セシリエは何者かの影を見かけ、その人物を追う。その人影の正体は、ライブラリアンと呼ばれるケモノの特異個体だった。


戦闘になるが、ライブラリアンはセシリエの攻撃を躱し、増援を呼んだ。

ライブラリアンの呼び出した敵の増援は、異形へと改造された神器兵だった。


苦戦を強いられ、ついには敗北するセシリエ。

死を覚悟するセシリエだったが、異形たちはトドメを刺さずにセシリエから離れていく。

代わりにライブラリアンがセシリエに近づく。ニタニタと笑みを浮かべながら、値踏みするような視線を浴びせる。

死よりも恐ろしい未来を想像するセシリエ。しかし、それと同時に強烈な興味と興奮を覚える。未知を見れるかもしれない、と、恐怖と期待が渦巻く。


「あなた、ふふふ」嬉しそうに笑うライブラリアン。「――選ばせてあげる」


問われる前から答えは決まっていた。

セシリエは、人語を解する人型のケモノについていくことにする。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る