第21話 浮遊霊の日常7

「ねージャック、ここどこー?」

「さてね。少なくとも文字は読めないし、外国ってことは分かるよ」

「それぐらいは分かるわよ。海渡ったし」

「海渡るだけなら日本でもあるけどね」

「いやいや、どう見ても日本じゃないでしょ……なんか戦闘してるし……銃撃戦ってやつ? なんでこんな場所に……」

「誰かさんが、『どうせ死んだんだから、世界旅行したい! 行ったことないところ』とか言い出したからだと思うけど」

「うっ、悪かったわよ……食も住も要らないからいいじゃない」

「まあね。ついでに交通費もかからないし。お、あれは……」

「なんかロープで捕まってるわね」


アスカが「海外旅行に行きたい」と言って適当に乗った飛行機。行き先は知らないけれど、いくつか空港を立ち寄った時に飛行機に置いて行かれた。アスカがどうでもいいお土産を見たいと言うからだ。

そして、適当に太陽に向かって移動したところ、こんな紛争地帯についた。ロープで捕まっている男は、敵側の兵士なのだろうか?

捕まえた側の兵士は、吊るしてあったホルスターから拳銃を持つ。


「ちょ、ちょっと。あれって銃殺ってやつ?」

「そうみたいだね」


銃を突きつけられている兵士は、こっちをみると「俺にも迎えが来たか」とか言い出した。見えてるんだろうね。

兵士は、一言二言話した後、こめかみに近づけた拳銃の引き金を引いた

パンッという軽い音と共に、こめかみからピューッと血が噴き出す。兵士はそのまま地面に倒れ、頭の血が地面に水たまりを作っていく。


「……こんなに簡単に死んじゃうんだね……」

「でも、幽霊になっていない所を見ると覚悟の上だったんじゃないかな」


怨み自体は無かったのだろう。地縛霊になることも無く成仏したようだ。それからも何度か、兵士の処刑が行われたようだった。串刺し、斬首、縛り首……日本ではほぼ見られないような光景が広がる。


「…………観光地へ行こうか」


最初は興味津々で見ていたアスカも、さすがに気分が悪くなったようだ。


「それじゃあ、山でも見に行こうか?」

「それ、何かのフラグ?」

「とんでもない。ほら、綺麗な山が見えるからそう言っただけだよ」


次の場所は、もっとマシな場所だといいな。

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