第17話 浮遊霊の日常3

「やってきましたアリゾナ州」

「あっ、私もここなら知っているわ、グランドキャニオンでしょ?」

「正解!」


アメリカの観光を続けていた俺達は、一度は行ってみたい場所として名高いグランドキャニオンに来ていた


「それにしても、ここも外国人でいっぱいね」


ここで言う外国人とは、当然アメリカ人以外の人たちの事だ。まあ、髪の毛が黒いからアジア系だろう


「あっ、あそこの女性、自撮り棒で写真を撮っているわね。Facebookにでも載せるのかしら?」

「俺には理解できんな」


見ていると、普通に撮ることができないのだろうか、段々と危険なことをしている。とうとう、柵を越えて写真を構える、と、俺と目が合った


「な、なな? なー……」


それで足を滑らせたのか、崖からその女性は転落していった。辺りが騒然としているが、俺が悪いのか?


「ねえ、あれを見て」

「この騒ぎに乗じてか」


20代くらいの日本人と思われる女性が、20歳くらいの、おそらくアメリカ人の男性に口を抑えられて連れて行かれた。転落した女性の事で周りがパニックになっていたためその事に気づいたのはアスカだけのようだ


「俺達は触れることができないからな」

「そうね……でも、気になるわ」


途中でもう一人、20代くらいの男性が慣れた手つきで女性の口をガムテープで塞ぎ、さらに両手両足もガムテープでぐるぐる巻きにする。女性は俺の事が見えるのか、目で「助けて」と言っているが、さっきも言った通り俺は触れる事は出来ない。ポロリと女性が涙をこぼしたところで、その目にもガムテープが貼られた


男達はさらに女性を寝袋に入れて2人で持つと、車に積み込む。俺達もその車に同乗する


車は俺達を乗せて海岸まで走ると、人目につかないような場所に止められた。そして、寝袋を持って岩場へ移動していった


「日本人の観光客は金を持っているからな」

「騒ぎに乗じて楽に事が運べたな」


男達は寝袋から女性を出すと、恐怖なのか、我慢できなかったのか、股間部分が濡れていた


「こいつ、もらしやがった。これはもう使えねーな」

「ほら、こっちの荷物を探れ。俺はズボンを探る」


20歳くらいの男性にバッグを調べさせると、20代くらいの男は女性のポケットを探る。ポケットからは、ハンカチと財布が見つかったようだ。バッグの方からはタオルや着替え、携帯などが入っていた様だ


「本当に、私たちは何もできないの?」

「嫌なら他に行くか?」

「……。」


アスカは今更離れられないとでもいう様に、現場を凝視する。女性は暴れ、涙と涎のためか、目隠しと口元のガムテープが外れる。そして、また俺と目が合った


「助けて!」

「こいつ!」


男は慌ててポケットからサバイバルナイフを取り出すと、女性に刺した


「ぎゃあぁ、痛い! 痛いよぉ!」


致命傷にならなかったのか、女性はさらに泣き叫ぶ


「まずい、黙らせろ!」


20歳くらいの男性も折り畳みナイフを取り出すと、女性の首を斬りつける


「ごふっ、だ、助け……」


それから、目をそむけたくなるくらい女性は男達にめった刺しにされた。そして、海に死体は捨てられた


その後、その男達は死刑が確定したと知った













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