第4話 パイプタバコ

私はイスに揺られながらゆったりとパイプタバコをくゆらせる


普通のタバコよりも手間がかかる分だけ楽しめるというものだ


私は足を悪くしてから、こうして暖炉の前でのんびりと過ごす時間が増えた


今日は一段と寒さが厳しいため、セーターを着て暖を取る


「ふーっ、今日も何事も無く一日が終わりそうだ」


私は煙を吐きながら、イスを前後に揺らす


パチッと暖炉の中の木が爆ぜる音を聞きながら、うとうととしていたからか、うっかりと煙草を服の上に落としてしまった


私は慌てて消そうとするが、セーターの火が消えない


足が悪いため、自力でイスから降りることもできず、妻の名前を呼ぶが、外出中の妻が来ることはなかった



妻が帰ってきた時、暖炉の前には夫の足首だけが焼け残っていた

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