13  小さな計画



真っ白い紙が好きだった

四つ折りにして切り離し

たくさん集めて綴じつけて

カバーに布を貼りつけた


憧れを描いて書いた

何十年過ぎても


たとえば生垣のプラン

今は構成中

東の庭はやぶからしの繁みのために

北の庭はドクダミの白い花の為に

(そこにはユキノシタも混ざってよい)


ああ嬉しい、そして何を植えよう

お茶の花が年の暮れには丸い芯をみせるように

絞りの山茶花が霜月にははらはら散るように

年の瀬に柊の花が香るように


春ともなれば

モッコウ薔薇がにぎわう黄色に

鉄線花が凛と紫に

羽衣ジャスミンが白く映え

乙女椿もぽっとピンクに

ブラシの樹も背が高い

(夏の朝顔夕顔苦瓜胡瓜は織り込み済み)

(夏はブーゲンビリアかノウゼンカズラ)

(巨大向日葵育てよう)


涼風吹けば銀木犀

枇杷の華も華やかならずとも


嬉しきかなや夢の生垣

常緑に

もし足らなさそうならヘデラと八つ手のパッチワーク

これで秘密の花園ができたかしら


人生が終わる頃にやっとプランができたので

世界の内と外が透けて見えるような見えないような

でも見えるような

魂となってもそこに留まるだろう


そこに座って問うだろう

これらは何故ですか

実におかしい

宇宙に飛び交う致死光線から

薄い大気に守られて

考えるものが問うている

助けを求めている


僥倖にしては酷すぎると

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