4  まちがいだらけだ



赤い朝顔の種をまいた

心からその色に憧れて

でもそれは涙ぐんだ白い朝の顔


からたちの木をみつけて

白秋とともに歌った

芋虫とも戦った

でもそれは金柑の樹


根っこから変な葉っぱが

これは臭い虫が付く

枝を苛めて育たさなかった

でもそれは金木犀だった


右隣りはほとんど浮浪者

左隣りは余りに無口

後ろの奥さんじろと見る

通行人はじろと見る

でもみんなよく挨拶してくれる


もう大丈夫と言う仕事だった

上司にセクハラうけ

仕事に自信を失い

妊娠して辞めた

一行ごとにまちがいだった


庭に松葉牡丹をみつけた

たいせつに世話をした

牡丹色に咲いた

でもそれはどう見ても雑草だった


脳から出て来て

綴る文章

ひとつひとつが

まちがいだと次第にわかる

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