03 ENDmarker.

「こっちこっち」


「お?」


「ここなら見つからない」


「お、おお。ありがとう。助かった。俺の仕事仲間は」


「代わりに、追われてくれてる」


「そうか。まあいいや。助かった」


「うん。じゃあ、わたしはここで」


「待て」


「ん」


「俺はお前のことが好きではないし、魅力も感じていない」


「うん。さっき振られたばっかりだし。わかってる。わたしには、あなたを振り向かせるだけの魅力がない」


「そうじゃなくて。さっき言われたんだ。そういうときは振るんじゃなくて、告白を受けて、自分の好きな人間になってもらうようにすればいいってな。だから」


「だから?」


「告白しても。いいか?」


「だめ。却下します」


「う」


「振られる側の気持ちが。分かった?」


「心がじわって熱くなって、じんじんする」


「わたしも、あなたに振られてこんな感じだった」


「そうか。すまなかった」


「ううん。いいの。ぜんぶ。好きになったわたしがわるいの。価値観がね。合わないんだと思う。一緒にいても。たぶん、うまくいかない」


「そうか」


「お気遣い、ありがとうございました。わたしはこれで失礼します。ずっと。好きでした」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る