第2話

 さて、転生したのは分かったが、ここってどこなん?


 あたり一面の雪景色、木々に枝はなく、氷柱が代わりに吊るされてる。


 そして、顔を見上げれば――――――



『おおう、大自然』



 エベレストかよってくらいの山脈が聳えていた。


 うん、口からは野性味のある猫の鳴き声が出たな。ヤマネコみたい。


 そいえば、身体のサイズってどんなんだろ。近くの木まで歩く。


 ちょっと感動。俺、四足歩行してる!はいはいじゃなくて、四足歩行!


 ぽふぽふと雪の上を歩いて木の近くまで行く。


……………ん?


 この木~~~~なんか小さくねえか?俺の顔より横幅ないぞ。


 なに?苗木なの?苗木誠くんなの?モノクマとか言った方が良い感じ?


 ちょいと、そこの木よ。お前、チビだな~~~。ちゃんと飯食ってんのか?



……………現実逃避はやめるか。


 おかしい。何がおかしいかって、俺の身体のサイズが。


 明らかにそこらの木より顔の横幅が広いし、猫パンチすれば簡単にここらの木を薙ぎ倒せるぞ。


 試し、軽く猫パンチ~。



バキッ ズシーンッ!



 Oh yeah……………。



 簡単どころの話じゃないヨ、テレフォンパンチだたのに余裕で倒せたヨ。



 ふ、ふっふっふっふっふっふ。



 なんか楽しくなってきた。もし、俺の想像通りなら、ここは恐らく地球じゃないかもしれない。



 全力で猫パンチをかます。半ばから消し飛ぶように木が吹っ飛んだ。



 はっはっはっはっはっは!なにこれ、楽しい!!



 バヒュンッだって!バヒュンッて!



 どんだけ威力あんのよ、俺の猫パンチ!これならヒグマとか一発KOやんけ。



 無性に駆け回りたくなってきた。もっとこの身体を試してみたい。



 足に力を込める。不思議と、生まれた時からそうなんじゃないかというくらい、スムーズに足が運ぶ。



 雪に足跡がつくより先に足が前に出てるみたいだ。これ、飛んでる?俺、猫なのに飛んでる!?



 身体が軽い。力が漲る。


 うおおおお!ぱうわぁ全開じゃあああ!



 走る、走る、走る。




 目的も、何も考えず、一心不乱に。




 ただただ走り抜ける。



 横目で自分の身体の周囲を、銀色の粉のようなものが纏っているのに気付いたが、そんな事どうでもよかった。



 俺は、今――――――猫になっているのだから!!




 木々が密集する林の中に入る。



 わざと障害物の多い場所を選んで雪の上を駆ける。



 わかる、わかるぞ!まるで僅かな先の未来が見えてるみたいだ!



 自分の視界が不思議な感覚に包まれる。見えていない筈の先の木々が見えるのだ。


 足と全身のバネを利用して、最小限の動きで木々を避ける。



 あっはっはっはっはっは!頭おかしいだろ!?


 普通、絶対にぶつかるだろう時に自然と避けれたぞ?!



 避けた先、絶対に避けられないだろう、衝突する瞬間――――――俺の身体は反射的に身体を回転でもさせるように木を避けていた。



 やべえええ、おもしれえええ!!!



 それから数時間もの間。俺は全力で駆け回って遊び続けたのである。




『猫、最高!』


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