侵略者

 私はダリー星人。今、地球と呼ばれる星に潜伏している。私は細胞レベルで体を変化させる擬態化スーツによって見た目を完全に人間に変え、会社員として日常に紛れ込んでいる。そんなことをしているのは私だけではなく、同志も多くいる。彼らもまた同じように擬態化スーツによって見た目を変え、素知らぬ顔で生活を送っている。そんな我々の目的はたった一つ。地球を侵略することだ。

 しかし侵略と言っても、我々は何も野蛮なことはしない。ダリー星人は戦いを好まないのだ。ではどうやって侵略するかと言うと、徐々に地球に住むダリー星人の人口の割合を増やしていき、自然に人類を淘汰させるのだ。ダリー星人は人類より寿命が数十年長く、体もより健康だ。なので、自然と人類より我々ダリー星人が増えていく。今、我々は着実に地球を侵略しつつある。世間で騒がれている人口爆発は、実はダリー星人がこっそり地球に侵入していることが原因なのだ。また、ニュースでは人類が医療などによって長寿命化したと伝えているが、あれは地球に暮らすダリー星人が増えてきている証拠である。

 あと数十年も経てば、人類はこの地球から消え去るだろう。そのときはじめて、地球は完全にダリー星人のものになるのだ。しかし最近、恐ろしい事に気づいた。擬態化スーツを長く着すぎたため、脱げなくなってしまったのだ。これでは人間と変わらないではないか。他の同志たちも同じでなければいいが。

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