悪の組織

 少し先の未来。突如として、世界中に厄介なやつらが現れた。爆破テロや銀行強盗を組織的に行う集団である。彼らは自らをブラックナイフと名乗り、悪いことをすることにかけては恐ろしいほどうまくやった。彼らが犯行を起こすとき、非常に考えられた作戦を、軍隊にも負けない屈強な体と武器を持ったやつらが実行するのだった。警察もお手上げ状態になりつつあった。

 人々がブラックナイフに怯え、先の見えない恐怖に震えているとき、大きな希望が現れた。正義の味方ともいえる人物が現れたのだ。彼は悪の組織が現れる場所に事前に待ち伏せし、彼らを一網打尽にした。人々は彼の熱狂的なファンとなった。いつの間にか、その正義の味方はジャスティスマンと呼ばれるようになった。やがて、テレビでブラックナイフがジャスティスマンによって捕まえられる様子が放送されるようになり、あれほど恐れていたブラックナイフがことごとく捕まっていく様子に、人々テレビにくぎ付けになり、歓喜した。

 悪の組織の本部。そこは、都会の中心に堂々と立つテレビ局の一会議室だった。

「最近の人々はネット配信の方ばかりで、テレビ離れが進んでいたが、今や視聴率はうなぎのぼりだ。よくある戦隊モノのあれを、現実でやろうなんていう君の計画はぶっとんでいたが、とてもうまくいったな」

「今やだれもが、生半可な刺激じゃ何も感じなくなっているのです。これくらいしないと、視聴率は取れませんよ」

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