第24話

やはり、いつも一人ぼっちの羊は一匹だけで離れていた。

 「やっぱり・・・一匹だけでいる。そうだ、思いついたわ。ロンリーがいい。変な名前だけど、みんな、そうしょうよ」

 「ロンリー・・・やはり。変ね。でも、いいか」

 と、いずみか頷く。すぐに、さゆりが賛成する。

 やっぱり、この子・・・寂しがりやなのね」

 メェー、メェー

 何度も鳴くロンリーに、三人は顔を見合わせた。

 でも、今日のロンリーはちょっと変だった。

 「何が、変なの?」

 いずみが聞き返す。三人は顔を見合わせ、じっと考え込む。

 「寂しそう・・・」

 杏里はうなだれる。いずもとさゆりが顔を見上げ、頷きあう。

 そこへ牧場のおじいさんがやって来た。このおじいさんの名前だけど、イザルというらしい。

 「変な名前ですね」

 と、杏里が訊くと、お祖父さんは笑って、

 「そうだね。子供の頃は猿に似ていたんだ。だから、家の中ばかりにいて、外に

出なかった。それで、父が、お前は家の中ばかりにいる猿・・・イザルだ、という

名前なってしまったんだよ。あだ名が、自分の名前になってしまったんだよ」

 そのおじいさんこと、イザルお祖父さんは大きな声で笑った。

 「ねえ、イザルお祖父さん、ロンリーはどうしてあんなに寂しそうなの?」

 そう杏里が牧場のおじいさんに訊くと、

 「私も気付いていたんだか・・・確かに、そうだね、近頃元気がないんだよ」

 と、教えてくれた。

 いずみとさゆりはロンリーの背中を撫でている。

 「あっ、そうだったね。ロンリーという名前を君たちから・・・この子はもらったんだね。それでは散歩に連れて行ったら、どうだろうね?」

 「それはいい考えね。お祖父さん、いい?」

 「ああ、いいよ。行っておいで・・・」

 おじいさんの提案で、ロンリーを連れて散歩に行くことになった。

 「じゃ、行くよ、ロンリー」

 足の速いいずみとさゆりが真っ先に走り、ロンリー、杏里と続いた。少しすると、

ロンリーが追い付き、追い抜く。紐をつけていないから、ロンリーは早い。その内、

柵の所まで来ても、ロンリーは嬉しいのか飛び回っている。

 やがて、杏里たちが追い付いて来た。

 「ロンリー、早いのね。びっくりしちゃった」

 三人は、はあはあ、と息を切らしている。特に杏里は運動が余り得意でないから、柵の前にしゃがみ込んでしまった。

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