第5話:鋼鉄爪と魔爪斬
リンメイはモンスターに大きなダメージを与えていた。
モンスターを斃した事でレベルが上がった事も大きいが、何よりも大きかったのはカエサルから武器を貸し与えられた事だった。
カエサルが以前ダンジョンでモンスターを斃した際に手に入れた武器、鋼鉄製の手甲鉤がリンメイにはあっていたのだ。
「攻撃力が上がっても無理をしてはいけないよ。
死なない事が一番大切なんだ、死なない限り何度でも挑戦できる」
リンメイはカエサルを心から信じていた。
今まで何度も多くの人に騙されてきたリンメイが、初めて損得抜きで助けてもらえたのだから、それも当然かもしれない。
その結果得たモノは、自らは全く傷つくことなく戦う技だった。
カエサルのような一撃必殺ではないが、二撃三撃四撃とモンスターにダメージを与える事で、確実に斃す事ができるようになった。
二十階層に出現するモンスターは幾種類かいるが、徐々に数少ない斬撃数でモンスターを斃せるようになってきた。
今までは俊敏性だけが突出していたが、他の能力も二十階層に相応しい強さになり、鋼鉄製の手甲鉤がなくても二十階層のモンスターを斃せるように成長していた。
それでも他の能力は俊敏性とは比較にならない低さだった。
「次はリンメイに魔力の使い方を教えますが、口で言っても理解できないでしょう。
ですから体で感じてもらいます、よく覚えていてください。
頭で覚えるのではなく、身体で覚えるのです」
カエサルはそう言うと、前世の知識、東洋医学と西洋医学とインド医学を融合させた、魔力を経絡経穴と解剖学とアーユルヴェーダの理論で循環させた。
少ないリンメイの魔力を活性化させて身体中に巡らせ、魔力袋と言われる三焦経を大きくし、一時的に増強させる事までやって見せた。
最後にはその魔力でリンメイの爪を強化し、魔爪斬という敵を絶大なダメージを与えられる術をを授けた。
「魔爪斬」
カエサルはリンメイを連れて二十一階層に降り、一段と強くなったモンスターと戦わせ、魔爪斬を完璧に会得させようとした。
カエサルの考えは、実戦こそ最高の鍛錬の場というものだった。
特に切り札である魔爪斬を使った後の戦い方が大切だった。
切り札がなくなった状態で生き残る術、できる事ならモンスターを斃す術、それを会得する事が大切だっと考えていた。
そして確かにその成果があった。
現れたモンスターの中で一番堅いモンスターに魔爪斬を使って斃し、他のモンスターは鋼鉄爪で斃した。
魔力が回復する前に次の会敵を行い、魔爪斬が使えない状況でモンスターの群れを斃していった。
リンメイの総合力は勇者フィロイを遥かに超えるモノになった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます