02 彼女の影を追って

 あの日。


 彼女は。


 待っててと言って。姿を消した。


 彼女のやっていたことを、彼女がいなくなってから、知った。街を守る、最後の砦が彼女で。彼女がいなくなったことで、街は少しずつ危ない方向に向かっていっている。


 恋人の後を追うように、自分も同じ仕事に就いた。彼女が消えたというやりきれない思いを発散するがごとく、ひたすらに街を守った。


 この仕事では。死体など出てこない。


 この街には、人ではないものがたくさんいて。彼女は、それから街を守っていた。そして自分も。彼女がやっていたように街を守る。


 彼女がいつか、現れると信じて。

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