第56話 おっさん、ゴブリン・ダンジョンを改善する

 配下のダンジョンを増やせば情報が集まるのは分かった。

 次は封印ダンジョンの攻略と行きたいが、肩慣らしにもう一つぐらいやってみよう。


 俺はゴブリン・ダンジョンにやってきた。

 ゴブリン・ダンジョンは初級者向けなのだが、あまり人気が無い。

 ゴブリンが弱いのでドロップ品も安いのしか出ない。


 それにゴブリンは臭くて汚らしい。

 18禁のような事はしないのだが、女性に嫌われている。

 女性に好かれるゴブリン・ダンジョンを目指そうと思う。

 3人のアシスタントを前にミーティングを始めた。


「と言う事で、みんなに集まってもらった」

「うちらが行きたなるような、アイデアを出せちゅう事やな」

「モンスターは変えられないの」

「暗黒怪物希望」


「モンスターを変えるとそのダンジョンの特色が失われる。色んなモンスターのごちゃ混ぜでも良いんだが、そういうダンジョンは他にある。王道だが、つまらん」


「じゃあ、ドロップ品ね」

「そのドロップ品だが、モンスターの強さによって、価格が制限されている。やたら高いのは無理だ。通販スキルで買った商品は安いけども限界がある。高くても1000円だな」


「女性やと化粧品なんてどない」

「100均の化粧品ぐらいしか出せないな」


「アクセサリーはどう」

「100均なら可能だな」


「蛍光塗料推奨」

「うん、そういうのもあるな。女性に受けるかは分からんが、ハズレがあってもいいだろう」


「じゃ、試してみるか。まずは口紅からだな」


 三人が100均の口紅をつける。

 よく考えたらアシスタントだと、着け心地感が分からないな。


 アルマからいきなりキスされた。


「テストや」


 アルマの口紅がはげている。

 こんなに簡単にはげるんじゃあ。

 飲み物を飲んだりしたら、一発だな。


 つけ直せば良いだけか。

 化粧品は女冒険者には不評かもな。

 冒険中に化粧直しなんて、いちいちできない。


「見て見て、綺麗」


 エリナがピンクのマニキュアを塗った手を見せる。


「神秘的」


 モニカはラメ入りのマニキュアだ。


 マニキュアは女冒険者でも出来るお洒落だな。

 口紅、ファンデーション、アイシャドウは換金アイテムになりそうだ。


 女の子にプレゼントしたくて、野郎が沢山押し掛けて来る未来が見えるな。

 まあ、それでもいいか。


 ブラシや筆などの化粧道具などは100均でもかなり使えるだろう。


「うちらには高い化粧品だしてぇや」

「おう、そうだな。数万円でもどんとこいだ。ただ、メーカーが偏っているんだよな」


 昔の彼女に頼まれて買ったのやプレゼント用で物色したのしか買えない。

 100均は彼女に頼まれて、かなり利用したから買えるけども。


「むっ、女の気配」

「昔の事だ。詮索するなよ」


 化粧品を一通り出してやる。


「不思議やわ。使い方が分かる。あれっ、地球で秋穂さんから教わったんやったわ」

「俺の記憶がないだけで、地球での記憶があるんだな」


「思い出した。前に地球におったんや。なんや、もやもやする」

「記憶に綻びがあるな。エリナとモニカはどうだ」


「うん、同じ」

「同上」


「まあ気にすんな」


 ダンジョンコアまでは簡単に辿り着き、ゴブリン・ダンジョンの改善は出来た。

 予想通り野郎が沢山押し掛ける事態になった。

 ただ、女冒険者と町娘がパーティを組んでやってくるのもちらほらと。

 ゴブリン・ダンジョン化粧品ゲットツアーなる物があるんだそうだ。


 ゴブリンは弱いからな。

 熟練ならお荷物の町娘を連れてきても余裕だろう。


 俺はボウガンを冒険者ギルドに売り込んだ。

 町娘に買わせる為だ。

 味方を撃つようなドジな町娘も居ないだろう。


 だが、ボウガンはほとんど売れなかった。

 原価が何万円もの価格だから、銀貨20枚以上する。

 財布の紐が堅いんだな。


 くそっ、リベンジだ。

 冒険者ギルドに売り込みに行く。


「今日は町娘が扱っても大丈夫な武器を持って来た」

「ムニさんボウガンは駄目でしたけど、今度は大丈夫ですか」

「おう、ご期待にそえると思うぜ」


 取り出したのは爆竹とライターのセット。


「これ何です?」

「火を付けて投げると大きな音がする。威嚇に使えるし、戦闘音がするんで、誰か助けがくるかもな」

「なるほど。モンスター以外にも使えそうですね」


「それにお値段なんとセットで銅貨50枚。爆竹は100発はある。ライターも100回以上使える」

「それだと爆竹だけほしいですね」


「単品だと銅貨25枚だな」

「定価がそれだとすると、仕入れは20枚ぐらいですかね」


「そうだな」

「安いので置いてみます」


 爆竹は色んな所で活躍した。

 モンスターから逃げる時に使うと効果的みたいだ。


 町娘だけでなく野郎も買っていく。

 俺はゴブリン・ダンジョンのドロップ品に爆竹とライターを追加した。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る