第106話 おっさん、危機を乗り越える
ちくしょう、死んでたまるか。
俺はクサビを手にした。
「
スケルトンのひざ関節にスキルを使って、見えないクサビを打ち込んでやった。
当然片足になるスケルトン。
だが、骨同士が引き合い復活しそうになった。
「
関節という関節を外してやった。
ふっ、動けまい。
ここで秘密兵器。
生贄の魔力回路。
これの上に骨を集めるとみるみる魔力が魔石に溜まる。
関節を元通りにしようたってそうはいかない。
「
魔石の魔力でスキル発動。
魔力を吐き出せおらぁ。
という訳で無限ループ。
慣れてくると食べ物を食べる余裕も出てくる。
あと何回やったら、終わるのだろうか。
徹夜の一日ぐらいで済んでくれると嬉しいのだが。
やばい、集中力が続かない。
徹夜どころではない。
待てよ。
分解の単位を関節だけと誰が決めた。
俺は関節を外した骨の一つに対してハンマーを片手に。
「
硬いぞ。
ヒビも入らない。
あーあ、原子を分解できたらな。
そうなったら放射能に汚染されてお陀仏か。
分子間の結合を分解できれば或いは。
「
駄目だ。上手くいかない。
そうだよな。
分子間の結合を分解できたら無敵だもんな。
自棄だ。
ダンジョン産のインテリジェンス・ブースト・ポーションをがぶ飲みしてやる。
これはこの世界で売っても唯一目立たないポーションだったから、魔力通販で仕入れた。
売る時は頭の回転が速くなる麻薬として売ったのだ。
商人には馬鹿売れしたので、沢山ストックがある。
よし、こんどこそ。
「
やった、骨が粉になった。
吸い込むと体に悪そうだな。
マスクしておこう。
頭の回転が速くなるとスキルも強化されるのだな。
しかし、頭痛が酷い。
「速攻しないと、
ふっ、骨がみんな粉になった。
ここからの復活は時間が掛かるだろう。
よし、農薬に漬けてみるか。
コップに農薬を入れ、そして骨の粉を入れてかき混ぜる。
心なしか溶けているようだ。
勝機は見えた。
それから作業する事、二時間あまり。
骨は全て溶けて魔石が出現した。
そしたら、再び出てくるスケルトン。
おい、無限ループかよ。
ガンガン痛む頭を押さえ途方にくれた。
こうなったら、頭痛で死ぬかスケルトンが尽きるか勝負だ。
俺は時間の感覚がなくなるほどスケルトンを粉にして農薬に溶かした。
しだいに分子間の結合を壊すというのが明確にイメージされるようになった。
ポーションに頼らなくてもいけるかも。
「
やった、ポーションに頼らずにいけたぞ。
「なんか新しいスキルを獲得した気がする。ステータス」
――――――――――――――
名前:山田 無二 LV3
魔力:85/300
スキル:
収納箱
魔力通販
次元移動
分解
想像強化
――――――――――――――
ボスマラソンは経験値が美味しいな。
レベルが二つ上がっている。
それに想像強化か。
よし、あと一頑張りだ。
レベルが5になった時、遂にスケルトンが出て来なくなった。
やったぞ。
デスマーチを突破したぞ。
デスマーチは本来、プロジェクトが滅茶苦茶になって過酷になった奴を言うが。
今回のはデスマーチ認定されてもいいぐらいだ。
それほど酷かった。
ゴゴゴゴと音がする。
スケルトンの巨人とか出てこないよね。
なんだ扉か。
ラスボスの扉じゃないよね。
行ってみるか。
分子間分解に敵はないはずだ。
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