第3話 おっさん、ご褒美をもらう
ドアの先には階段はなくポータルとダンジョンコアがあった。
ここは最下層だったのか。キングミノタウロスは中ボスでなくて大ボスなのか。
ちらりと頭にダンジョンコアを取るという考えが浮かんだ。
駄目だ、勝手にダンジョンを討伐すると死罪になる。
でもこんな機会は二度とないよな。
そうだ、魔力を貰おう。
俺はアイテムボックスから沢山の木片を出し並べ始めた。
木片一枚一枚には魔法陣が書いてある。
これは、スラムに流れてきた魔道具職人から教わって書いた物だ。
ブロックを組み合わせて電気回路を作る玩具が好きで子供の頃良く遊んだので、それにヒントを得て木片で作ってみた。
木片と木片を導線で繋ぐ。
キングミノタウロスの魔石を端に繋いで、後はダンジョンコアを繋ぐだけだ。
上手く行ってくれよ。
少し経ち魔法陣の一つが光る。充填完了だ。
魔石を使い魔力通販を使う。
なんと2万1千円のものまで買える。
上乗せの限界は元の魔力と同じ量が基本だと聞いていたのに。
まあいい、多い分には損しない。
まずは武器を買おう。1万5千円ぐらいのクロスボウを買う。
これは邪魔なカラスを落とせないか考えた時にネット通販で調べた。
クロスボウは10個あれば良いだろう。
服もこの世界で問題ない物を買おう。
それと唐辛子スプレーが欲しいな。
それに食料だ。寿司や高級牛肉なんかも欲しい。
換金できる商材も欲しいな、現代知識の塊の物も多数買った。
異世界人とばれるとやっかいだが構うものか。
死に掛けた事で変なテンションになった俺は充填と買い物を繰り返す。
そして、気がついたら魔力の充填が出来なくなっていた。
おお、もしかしてダンジョンコアの魔力が無くなったのか。
体が妙に軽い。不思議に思ったのでステータスを表示してみる。
「ステータス」
――――――――――――――
名前:山田 無二 LV103
魔力:32/10300
スキル:
収納箱
魔力通販
――――――――――――――
レベルが上がっているそれも100越えだ。
100越えは冒険者Sランク相当だぞ。
どうなっているんだ。
俺のレベルって上がらないんじゃなかったのか。
上がるんだな。驚愕して頬をつねったら凄く痛い。
でもどう考えてもおかしい。
仮にダンジョンを討伐したとしても100は上がりすぎだ。
噂ではダンジョンを討伐しても10レベルぐらいしか上がらないはず。
まあいいや上がりすぎても困らないだろう。
問題なのはダンジョンを討伐してしまったということだろうな。
不味いな。
死罪は嫌だ。
ダンジョンの入り口には門番が沢山いるから手ぐすね引いて待っているに違いない。
惚ける一択だな。
ダンジョンコアはこのままにしておく。
そうしないと直ぐにばれるからな。
俺を裏切ったあいつらをどうするかだが、悔しいが放っておくしかないか。
なぜなら、あいつらが捕まると俺が最下層に落とされた事がばれる危険が増す。
あいつらはモンスターを溢れさせた負い目もあるから俺が落ちた事を捕まらなければ言わないだろう。
ポータルはダンジョンコアの魔力がなくて使えないから歩いて地上まで行こう。
しばらく歩いて気がついた。
モンスターが一匹もいない。
これならポーターだけで脱出できた言い訳にもなる。
◆◆◆
えっちらおっちら進む事9階層。
外の太陽の眩しい日差しを浴びて人心地がついた。
ああ、無事、地上に戻ってこれたんだな。
囮にされて落とし穴に落とされた屈辱が湧き上がってくる。
ちくしょう、どうしてくれよう。
「おや、まだ中に人がいたのかい?」
鎧を着て剣を腰にぶら下げた門番が話し掛けて来た。
「ポーターなんですが、モンスターが突然大群で湧いてきてパーティとはぐれました。小部屋に立てこもり物音がしなくなったので出てきました」
俺はしれっと嘘をついた。
「規則なんでね。アイテムボックスの中をボックス鑑定で覗くよ」
門番はルーペみたいなドロップ品で俺を見る。
「ダンジョンコアは無いね。魔石は36個だね」
やっぱりダンジョンコアを探している。
ひやひやしながら、俺は机の上に魔石を全て出す。
冒険者なら三つまでダンジョンの魔石を持ち帰ることが出来るが、ポーターは一個も持ち出せない。
門番は魔石を秤に乗せ伝票に数値を書き込むとサインをした。
俺に伝票を渡してきたので受け取り会釈する。
早足にならないよう気をつけてその場を離れた。
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