case4-6 元カノ・白石凛香


夢のような夜から1日。

朝目覚めてもまだあれが夢だったのか現実だったのかよくわからなかった。



「香澄さん…。」



とりあえず寝ても覚めても頭の中は香澄さんでいっぱいで、仕事に行く準備をしなくてはいけないっていうのに、頭の中がボーっとしているせいか、ベッドからなかなか動き出せない自分がいた。



「付き、、、。」



付き合った…?俺が?香澄さんと?



「夢だよな。」



そうに決まってる。

昨日は精神が相当弱っていた。

せめて神様が幸せな夢は見せてやろうと、配慮してくれたんだ。



散々期待させておいて、夢落ちとかみなさんすみません。つまんないですよね。

でもそれが俺の中途半端な人生なんですよ。




「やべ、準備するか。」



頭の中で状況を整理しているうちに、時間がやばくなってきた。そろそろベッドから立ち上がろうととりあえずスマホを確認すると、1件メッセージが来ていた。



"昨日は大丈夫だった?

また週末楽しみだね。"


それは渦中の香澄さんからのメッセージだった。



昨日…?



やっぱり香澄さんと会ったところまでは本当みたいだった。

会ったところ、まで?本当?え?嘘だ。



もう一人では収集が付かなくて、気が付けば俺の指は香澄さんへと電話をかけていた。



「つむくんおはよ。

どした?」



しばらくコールすると、香澄さんがいつも通りの天使の声でそうささやいた。もう朝から声が聞けたから、別になんでもいいやと思い始めた。



「昨日…。」

「あ、そうだ。

大丈夫だった?」

「あ、うん。」


やっぱり、俺たちが会っていたのは夢ではない。夢、ではない。っていう事は…。



「香澄さん。

えっと。」

「なんかさ

"香澄さん"って固いよね。」

「え?」

「だって普通彼女に"さん"つけないでしょ?」


あれ?もしかしてここまで含めて夢なのか。そうだとしたらソロソロ起きないと多分遅刻する気がする。

何もかもよくわからないまま、俺はそのまま自分の頬を左手で思いっきりたたいてみた。



「いっったッ…!」

「え、どしたの?

ほんと大丈夫?」



痛かった。とても痛かった。つまり、それは、つまりそういうことだ。



「香澄さんは、

俺の、彼女…?」

「ねぇ、まだ言ってんの?

そろそろ怒るからね。」



そう言って香澄さんは笑った。

みなさん朗報です。夢落ちじゃありませんでした。



ようやく現実を現実として受け止め始めた俺の頭は、昨日のことをゆっくりと思い出し始めた。



"泊まって、行く?"



確か、香澄さんは俺にそう言った。あのうるんだ瞳で。

心がぐらぐらと揺れる音がしたけど、俺はあろうことかそれを断った。誠実ぶりたかってのもあるし、頭のどこかで"明日も仕事だぞ"と言っている自分もいたからだ。



"じゃあ、

週末は絶対デートね。"



記憶の中の香澄さんが、俺にそう言った。

数年ぶりの、彼女とのデート。

し、しかも、香澄さんとの。



え、やばくね?俺。



「つむくん、

私そろそろ時間なんだけど。」

「あ、俺もだ。」

「朝から声聞けて嬉しかった。

じゃあ、今日も頑張ろうね!」




俺とは反対に、すごく余裕そうに香澄さんは言った。男としてこんなに余裕がないってのはよくないと思う。

少しずつだけど香澄さんと付き合えたってことも消化しつつ、男らしいところも見せなくてはいけない。


やっとちゃんと浮かれることが出来た俺は、急いで会社に行く準備を始めた。同じ部屋の中のはずなのに、自分の家全体が光っているみたいにキレイに見えたし、通勤路も電車の中も、世界がなにもかも明るく見えていた。






香澄さんが俺の彼女になって数日たった。

それでもやっぱり俺は慣れることは出来ていなくて、少し地面から浮いた状態で仕事をしていた。



「じゃあ週末は~、

家で映画でも見ようか。」

「そうしよ。」



週末どんなデートをするってことまでは決めていなかったみたいだけど、その日のデートはお家デートだって決まった。

香澄さんが、俺の彼女になって、しかも彼女の家で、恋愛の映画を一緒に見られる。本当は全世界中に言いふらしたいくらいの気持ちだったけど、地に足をつけるためにも、それを何とかおさえて週末までの仕事をしっかりとこなすことにした。



「佐々木君。

新田さんから電話だよ~。」

「ありがとうございます。」



あれから数回調整を繰り返して、前香澄さんと行ったお店でいくつかの商品を採用してもらうことに決まった。香澄さんはキレイでかわいくて天使で、その上アゲマンみたいだ。



ああ、ありがとう、神様。

ありがとう、香澄大天使様。



「では、来週どこかで

またお会いできるでしょうか?」

「もちろんです。

少々お待ちくださいね。」



心の中ではバカなことを考えながらも、新田さんとしっかりと今後の話をした。アポイントの時間を調整するために鞄から手帳を取り出そうとすると、鞄の中にラッピングされたリップが入っているのが見えた。



―――忘れてた。




色々なことがありすぎて、香澄さんにアレを買ったのを忘れてた。


渡したら喜んでくれるだろうか。

喜んでくれるかどうかわからなかったけど、想像するだけでかわいかった。もう脳内だけでかわいいってどういうことだよって思った。



「水曜日の10時とか、

いかがでしょう?」

「大丈夫です。

ではお待ちしています。」



早く香澄さんに会って渡したい。

本当はサプライズとかあんまりできない体質だから、今すぐにでもメッセージを送って言ってしまいたい。そんな気持ちをおさえるためにもしっかりと仕事をすすめて、明日のお家デートに備えることにした。





"これから、会えない?"




すっかり存在を忘れていた凜香からメッセージが入ったのは、仕事が終わるくらいだった。香澄さんと付き合えて目標を達成した俺は、薄情にももうあの日の辛さなんて忘れていた。


でもプログラムなんてなくても、俺にとって凜香が大切な人だったことには変わりない。それにアイツがどうなったか、気にならなくなったわけではなかった。

どこか着地点を探している気持ちをしっかりと地につけてあげるためにも、俺はそのメッセージに迷わず"了解"と返した。




「いらっしゃいませ。」

「あ、待ち合わせです。」




凜香が指定してきたのは、まだ付き合っていたころに二人でよく行ったカフェだった。お互いの職場の真ん中あたりにあったし夜遅くまでやっているってこともあって、俺たちはよくそこであって色々な話をしていた。


懐かしい気持ちを抱えながら店内を見渡すと、その頃よく座っていた席に凜香が座ってこちらに向かって手をあげていた。俺もそれにこたえるように手をあげて、そのままその席へと向かった。



「ごめん、待たせた?」

「ううん。

呼び出したの、私だから。」



凜香は少し気まずそうにそう言った。

そりゃ、元カレにあんな気持ち悪いこと言われたら気まずいよなと少し反省しつつ、あの頃よく飲んでいたホットカフェオレを頼んだ。



「懐かしいよね、ここ。」

「うん、変わらないな。」



多分3年ぶりくらいに来たけど、雰囲気もメニューも味も、大きな変わりはなかった。あの頃俺たちはここでよく、お互いの仕事の目標みたいなことを話していた。



「私は変わっちゃったけど。」

「そう?

そんな変わりないだろ。」



変化というものには、いいものと悪いものがあると思う。

でも凜香の言葉には"悪い事"みたいな意味が含まれている気がして、俺はそれを否定した。



「あの頃ね。」



すると凜香は小さく「ありがとう」と言った後、小さな声で少しずつ語り始めた。



「あの頃、

一生懸命仕事してたじゃん?」

「そうだな。」



凜香は俺が見ても、本当に一生懸命仕事をしていた。

社会人になるってだけで大変だったのに、その中で勉強もして資格も取って、日々頑張ってきた姿を俺が一番よく見ていた。



「証券の世界ってさ。

思ってるよりずっと汚いの。

なんていうか、

やっぱりお金がかかわることだからさ。

汚いやり方してる人も、

たくさん見てきた。」



あれだけよく話をしていたはずなのに、こうやって凜香の口から後ろ向きな話を聞くのは、初めてな気がした。ちゃんと話を聞いてあげられていたのかと、自分自身に聞いてみたけど、はっきりした答えは出てこなかった。



「仕事だから仕方ないって思った。

それにね、

営業成績が上がったらもちろん嬉しくて、

どんどん違和感もなくなり始めた。」

「しょうがないだろ。」



人はどうしても慣れるものだ。

それに、別に凜香は犯罪をおかしてお金を巻き上げていたわけではない。だからしょうがないって思ったけど、凜香は首を横に振った。



「そうなんだけどね。

多分その頃からだと思う。

侑のまっすぐさが、

まぶしかったの。」

「俺の…?」



凜香は悲しそうな顔をして「うん」と言った。

何のことを言っているのか分からなくて、俺は頭にハテナを浮かべたままだった。



「侑はさ、

自分の利益より相手のこと考えて、

チームで協力して

大変だけど楽しそうに仕事してた。」



確かにあの頃から、俺のチームは仲が良かった。

自分なりにがむしゃらに仕事をしていたけど、あの頃なんて失敗ばかりで、怒られたことも何度もある。それでも頑張ってこれたのは、先輩とか上司が愛情を持って叱ってくれたからだと思う。



「私のチームはね、

常ににらみ合ってる感じだった。

チームの中でもトップになるように、

お客様をだましてるみたいな、

そんな気持ちにどんどんなっていったの。」

「なんで…。」



何で言ってくれなかったんだ、と思った。

でも言わせられなかったのは、自分の責任だ。



「だっていつも侑はまっすぐだった。

頑張ってる侑に、

後ろ向きな姿なんて見せたくなかった。

侑に負けないように頑張るってのの

ベクトルがどんどん違う方にいっちゃってた。」




全く、気が付かなかった。見えていなかった。

確かに凜香は忙しそうにしていたけど、それはただ充実しているんだと、そう思っていた。



「もう嫌になって、

飲みに行ってベロベロになってさ。

その時、彼に出会ったの。

それでそのままの勢いで浮気しちゃったの。」



「ほんとにごめんね」と凜香は謝ったけど、俺が謝りたいくらいだった。あの頃は浮気されて捨てられたと思っていたけど、浮気させたのは俺の方だと、そう思った。



「どんどん曲がっていく自分が、

本当に許せなかった。

その上浮気までしてさ。

これ以上侑と一緒にいられないって思った。」

「そっか。」

「勝手だよね、本当に。」

「そうだよ。」



勝手だよ、本当に。

分からなかったのは、俺のせいだ。浮気させたのも、俺だ。



――――でもせめて、

     そこで終わらせないでいてほしかった。




「彼とはそれ限りだと思ってたんだけどね。

曲がったとこも含めて全部、

私を受け止めてくれたの。

最初は勢いだったけど、

どんどん惹かれていって…。

って、ごめんね。こんな話。」

「いいよ、続けて。」



何でもないって言ったら、ウソになる。でもここで話を止めて帰る気にはなれなくて、俺は話を続けるよう促した。



「彼と結婚したら

ストレスの元になってる仕事も辞められる。

まっすぐに誰かを愛せるって思った。

今思えば逃げてるだけなんだけどね。」



逃げてもいいんだと思う。逃げた先で幸せになれるのなら、逃げればいい。




「だからね、

離婚しようって思えなかったのも

意地みたいなものだったと思う。

自分が選んだ道が間違ってなかったって、

思いたかったんだと思う。」



でもそうではないから、凜香は苦しんでいる。そんなことは俺が言わなくたって、きっと凜香はよくわかっている。



「でもね、侑に言われて冷静になって思ったの。

"あれ?まっすぐになれてない"って。

曲がった自分が嫌だったのに、

いつしか曲がり切ってたなって。」



そう言って、凜香はにっこり笑った。その目に全く迷いがないように見えて、少し安心した。



「だからね、

離婚しようって決意できたの。

曲がり切った自分は、

ここで本当に終わりにしようって。」



決意に満ちた目はキラキラと輝いてキレイだった。その目を見ていたら、まるで大学時代にタイムスリップしたみたいな、懐かしい気持ちになった。




「今まで集めた証拠を突き付けて、

彼に言ったの。

離婚しようって。」

「そっか。」



凜香はあの頃から、思い立ったらすぐ行動するタイプだった。

でもあの日から一週間もしないうちに行動している事には、さすがの俺も驚いた。



「でもね。」

「ん?」

「彼、全部白状したの。

私がまだ証拠を出してない女の話も、全部。」



驚いている俺に、凜香はもっと驚く話をした。驚いている俺の顔を見て、凜香はクスクスと笑った。



「バカだよね。」

「少なくとも

器用なタイプではなさそう。」

「ね。」



凜香はまた吹っ切れた様子で、クスクスと笑った。口に添えられた左手にはキラキラと輝く指輪が、しっかりつけられていた。



「やり直したいって、

そう言われたの。」

「そっか。」

「正直迷ったよ。

繰り返されないかって心配だし。」



答えはもう、その指輪を見れば明白だった。

でも幸せそうな顔をして話す凜香の話を、あの頃聞けなかった分だけ聞くことが、俺に出来る最後のことだと思った。



「さすがに私も1日は迷ったの。」

「うん。」

「でもね決めたの。やり直すって。

私だって間違いを起こしたことがある人間だし、

一回は許してあげようって。」

「そっか。」

「誓約書まで書かせたんだよ。」



そう言って凜香は、誓約書をみせてくれた。

その書面の中にはもう不倫しないこと、次にしたら数千万円の慰謝料を払って親族全員の前で報告することとかが書かれていた。他人の俺が見てもゾッとする内容だった。



「それにね。

私、また妊娠したの。」

「え?!」



驚きすぎて声が出ない俺を見て、凜香は「ほんとだよ」と言った。



「その悩んでる1日にね、

そう言えばと思って検査したの。

そしたら妊娠してた。」

「すごいな。」

「でしょ?!」



興奮気味で、凜香は言った。女の子ってよりお母さんって感じの柔らかい顔をしていて、本当にたくましいなと思った。



「もう一回だけ頑張れって、

そう言われた気がした。

やり直せって、背中を押されたの。」

「よかったな。」


素直にそう言うと、凜香はすごく幸せそうに笑って「ありがとう」と言った。そんな顔を見せてくれて、こっちがありがとうを言いたいくらいだった。



「これからどうなるか、

私にも全く分からない。

でもね、もう迷わない。

それに不倫されたとしても、

もう絶対にこんなことはしない。」

「うん、そうだな。」



もう凜香は大丈夫だと、その顔を見ていたらよくわかった。俺の言葉を聞いた凜香はもう一回にっこり笑って、「ありがとう」と言った。



「幸せになれって言ってくれて

ありがとう。

全部侑のおかげ。」

「そんなことないよ。」



本当にそんなことないんだろうけど、凜香は「素直に認めて」と言って笑った。



「あの頃、

何も気が付いてあげられなくてごめんな。」

「ううん。

それでも悪いのは浮気した方だから。」



凜香の言葉に「そうだな」というと、ストレートすぎだと言って、凜香はバツの悪そうな顔をした。まるであの頃の俺たちの関係に、戻ったみたいだった。


「こんなこと、

私が言える立場じゃないけど…。

侑も、幸せになってね。」

「おう。」


俺たちはやっぱりあの頃みたいに笑って、ドリンクを飲み干した。そして無難な話をした後店を出て、そのまま一緒に歩いて駅まで向かった。




「懐かしいね、この道。」

「な。」



その駅はあまり大きな駅ではないから、ほとんど人通りがなかった。

昔は話足りなくて、カフェから駅までの道を遠回りして帰ったこともあったけど、今日はまっすぐ駅まで向かった。



「じゃあ、行くね。」



駅に到着して、凜香は言った。



「俺たち、

これでやっとちゃんと別れられるな。」

「そう、だね。」



最後あんな風に終わっていたから、これが本当のお別れだと、そんな感じがした。何となく切なくて名残惜しくてそう言うと、凜香も少しうつむいて笑った。



「あのさ。」

「ん?」



これ以上ここにいても名残惜しさが増すだけだと思って帰ろうとすると、凜香が少し気まずそうに言った。



「キス…。」



え?今キスって言った?



凜香の声はとても小さかったから、聞き間違えたかもしれない。

そう思って「なに?」と聞き返すと、凜香は慌てた様子で首を横に振った。



「いや、なんでもない!」

「なんだよそれ。」



凜香はやっぱり慌てた様子のまま、「ごめんごめん」と言った。



「握手、しよ。」

「え?」

「お互いの幸せを祈って。」



そう言って凜香は、指輪の付いた左手を元気に差し出した。

せめて気を使って右手を出してくれよと思ったけど、凜香が左利きだったことを、そこで思い出した。



「元気で。」

「侑も。」


まるで選手宣誓みたいに、すがすがしく俺たちは握手をした。

そして何もなかったみたいにそのまま改札に向かって、逆方向の電車に乗った。



あの時、凜香はなんて言おうとしたんだろうか。

気にならないことはなかったけど、そんなことはどうでもよかった。



俺の初恋は、ここでやっと終わった。



そう実感したとたんに、なんだか香澄さんの声が聴きたくなった。




「もしもし?」



駅についてすぐ、香澄さんに電話をかけた。

時間が少し遅いせいか眠そうな声で答えた香澄さんが、とにかく尊かった。



「ごめん、寝てた?」

「ううん、だいじょぶ。」



大丈夫じゃなさそうな声で、香澄さんは言った。今すぐにでも抱きしめに行ってしまいたい衝動をおさえながら、「そっか」と答えた。



「どしたの?」

「別に。

声、聴きたくて。」



そう言うと香澄さんは、楽しそうに笑って「明日会えるじゃん」と言った。"約束"があることが、こんなにも嬉しい事なんだと思った。



「あ~。

早く会いたい。」

「今からくる?」



香澄さんは本気のトーンで言ったけど、今行ってしまえばめちゃくちゃに襲ってしまいそうだから、それは避けたかった。



「楽しみは後に取っといた方がいいでしょ?」

「なんだ、こないのか。」



俺が来ないと聞いて、香澄さんが、悲しんでいる。

そんなことこの世にあっていいものなのかって、心から神に感謝したくなった。



「あ~好きだ~。」

「どうしたのよ。」



好きが止まらなくなって急に大声を出すと、香澄さんはクスクスと笑った。

その声をアラームにして朝起きたら、目覚めが格段に良くなりそうだと思った。出来る事なら商品化したい。



「香澄さん。」

「ん?」

「また、明日ね。」

「うん、明日。」



今まで経験した辛いことも、中途半端だった自分も、全て今日のためにあったのかもしれないと思うほどに幸せだった。さっきまでセンチメンタルになっていた気持ちはどこか遠くに過ぎ去っていて、もう今度何があっても、耐えられるんではないかとすら思った。


無敵な気持ちを抱えたまま家について、鞄から鍵を取り出した。

うきうき気分で鍵を開けようとした時、ふと目に入ったスマートウォッチの画面には、そこには他の人を"攻略"した時と同じように"Congratulations!"の文字が浮かんでいた。


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