case3-4 看護師・深山環希


あいつのことだから大ヒントはきっとどこかで役立つんだろうけど、そんな兆しは一切見えてこなかった。数日後に環希さんから"なおったよ"メッセージが来て以来連絡することもなかったし、救世主潤奈も仕事が忙しいみたいで誘ってくれなくなって、本当に八方ふさがりになってしまった。



「どうしたものか。」



この訳の分からないプログラムに参加してから、独り言が増えた気がする。今も仕事中だっていうのに環希さんのことを考えながら、大きくため息をついた。



そっちの方は八方ふさがりで間違いなかったけど、今日は久しぶりに太一と飲むことになっていた。なんだか最近気を張っていることが多かったから、太一と楽な気持ちで飲めることがすごく嬉しくて、柄にもなく朝からハイテンションで仕事を進めた。



「お疲れ様で~す!」



元気よく挨拶をして外に出ると、雨が降っていた。

思えば季節はすっかり梅雨になった。香澄さんと再会してからもう3か月くらい経つなと思うと、少し感慨深くなる。



そんな気持ちに浸っていても今の状況がどうにかなるわけじゃないなんてことは、十分わかっているつもりだ。それでも雨のせいでもっと憂鬱になりそうな気持を何とか持ち直して、太一との集合場所に向かった。



「お疲れ。」

「おっす。」



太一に言われた居酒屋に行くと、ヤツはすでに飲み始めていた。

待つ気遣いを見せろよと一瞬思ったけど、俺も反対の立場だったら始めてたかもしれない。座りながらおしぼりを持ってきた店員にビールを頼んで、その到着を心待ちにした。



「なんかお前、デカくなった?」



太一に最後に会ったのはあの香澄さんと再会した日だから、もう3か月前になる。筋トレの成果が出ていることに内心喜んで、俺は得意げに「鍛えてんだ」と言った。



「なんで?」



その時運ばれてきた俺のビールに自分のビールを挨拶程度に合わせて、太一は聞いた。確かに"なんで急に"って思うのは普通なんだけど、なんとなく、太一に香澄さんのことを言い出せずにいた。



「わかった、女だろ。」



中途半端な男をしていても、太一はそのくらいは察することが出来るらしい。

自分から言い出すのはためらっているけど、ウソをつく気もない俺は、素直に「うん」と答えた。



「お前に会ってない間、

俺にはすごく色々あったんだ。」

「なんだよそれ。」



太一はどうせ大したことないと思っているだろうけど、大したことがありすぎたのは事実だ。こいつに会ってない間、俺は同期の不倫を暴いてキスまでしたし、急に年下の女に誘われて、その日にヤッてしまう失態まで犯している。


でもプログラムのことは言えないし、どこまで話していいのかもよく分からない。太一は「はあ」とため息をつく俺を不思議そうな顔で見ながら、ビールをごくごくと飲んだ。



「んで、誰なの?」

「何が。」

「好きな人。」



「あ、もう彼女?」と聞いてきたけど、それには食い気味で頭を振った。太一はそれを見て「だよな」と言ってきたので、一応不快な顔はしておいた。



「香澄さん。」

「え?」

「だから、香澄さんなんだよ。」



もうこれ以上引っ張ったら本当に言えなくなると思って、勇気をもって発言した。これだけ勇気のいる発言だったのに、太一は「冗談キツイぞ」と言いながら、何を食べようか真剣に考えてるみたいだった。



「全然面白くないぞ、

その冗談。」

「冗談だったらいいのにな。」



まだ冗談だと思っているらしい太一は、最初に頼んだんであろう唐揚げを持ってきてくれた店員さんに、テキトーに追加の食べ物を頼んでいた。俺はその様子をじっくり観察しつつ、「はぁ」と大きくため息をついた。



「んで、香澄さんがなんだって?」

「好きな人が、香澄さん。」



まだいうかって呆れた顔で太一は俺を見た。

でも気まずそうな顔をしている俺をみて、少しずつ表情がこわばっていった。



「え、まじ、なの?」

「うん、残念ながら。」



ここまで来てやっと、太一はその話が本当だと察したらしい。俺が否定しないから一瞬びっくりした顔のまま固まったけど、しばらくして「無理無理無理」と言って動き始めた。



「だよな。」

「身の程を知れよ。」

「ほんとに。」



太一の言うとおりだ。

これまで俺のことも香澄さんのことも知ってる人に相談してこなかったからこんな反応は初めてだったけど、2人を知っている人にとってこの反応は順当だ。それに自分もそう思っているから、否定しなかった。



「またなんで…。」

「あの日以来さ、

俺香澄さんと結構遊んでんだ。」

「はぁ?!?」



それすらも信じられないって顔をして、太一は固まった。まだどこかで信じられていないみたいだったけど、こんなことで嘘をつかないってことも同時に分かっていたようで、なんとなくビールのペースが上がった気がした。



「なんでかしらないけど、

香澄さんに誘われて

二人で飲みに行ってさ。」

「嘘だと言ってくれ。」

「その後ランチにも誘ってみた。」



太一はもう何も言わなくなって、ビールを口に運び続けた。だんだんその反応が面白くなってきて、俺は話すのをやめなかった。



「こないだなんてさ。」

「まだあんのかよ。」

「香澄さんの部屋、行った。」

「う、ウソだろ…。」



また太一はしばらく固まった後、「で?」と聞いてきた。なんの「で?」か分からなかった俺が首をかしげると、「なんだよお前!」と叫びだした。



「部屋まで行って?!

何もしてねぇの?!?」

「あ、うん。」

「信じ、られない…。」



確かに部屋に入れるって、相当なことなのかもしれない。

でも俺がここで性欲に任せて香澄さんを襲ったりなんかしたら、すべての努力が水に流れることは明白だった。



「何したの?」

「パスタ作った。」

「お前が?香澄さんに?」

「うん。」

「で?」

「帰った。

また来てねってさ。」



太一はついに、完全に動きを止めた。しばらくして残っていたジョッキ半分のビールを全部飲み干したと思ったら、「クソ…っ」と叫んだ。



「クソ…っ!

うらやましい!

お前が付き合えるとか

そういうのは置いといて、

とりあえずうらやましすぎる…っ!」

「だろ。

俺もまだ信じられてないし。」



勝ち誇った顔でビールをたしなみながら、俺は言った。

太一はそれを聞いてもっと悔しい顔をしながら、「うわーーーー!」と発狂し始めた。



「俺が仕事してる間に、お前は…。」

「なんかごめんな。」



それを聞いて、太一はついに俺をにらんだ。俺はそこで初めて得意げな顔で、ニヤリと笑ってみせた。



「でもそれでも、

お前が香澄さんと付き合えたわけじゃ…。」

「そこなんだよな~。」



そこなんだよ、太一。

心の中でもう一回繰り返した。確かに俺は大学時代より、香澄さんとの関係は近づいている。家にまで行ったし、きっと香澄さんは俺を嫌いとは思っていないだろう。



でも、これ以上、進める気はしなかった。

まず環希さんとのことだって進める気がしていないのに、香澄さんのことなんてもっと進める気がしていない。


さっきまで得意げな顔をしていたはずなのに今度は大きなため息をついて、頭を抱えた。


「お前さ。」

「うん。」

「この運が全部

不運に変わって降りかからない?」

「あるよな。死ぬかも。」

「そん時はちゃんと手合わせるよ。」


まだあまり信じ切れてないらしい太一に、「葬式にはせめて香澄さんを呼んでくれ」とお願いしておいた。


「香澄さんの部屋、どうだった?」

「13階。」

「うっそだろ…。」

「部屋入った瞬間めちゃくちゃいい匂いした。」

「うわぁああああーーー!」



それから太一は、尋問かってくらい香澄さんのことを詳しく聞いてきた。

太一と会う前は、気軽に飲んで話せば最近の重い気持ちが少しは軽くなるかと思っていた。けど結果的に話せば話すほど俺と香澄さんの距離がまだまだ遠いことを実感してしまって、雨の中どんよりした気分で帰ることになってしまった。



太一に指定されるがままテキトーにやってきたけど、飲んでいた居酒屋は環希さんや潤奈のマンションの駅から一駅離れたところにあった。

そういえば潤奈の鍵をまだ返せていないことを思い出した俺は、終電までまだ余裕があったから、酔いを冷ます意味でも歩いて鍵を返しに行くことにした。



会社を出た時より、雨が強くなっていた。

小さい折り畳み傘では心もとなくて、途中で一駅でも歩こうとしたことを後悔したけど、その頃にはもう半分くらい歩いてしまっていたから進むしかなかった。




「暗いな。」



この周辺の地域は、昼間は活気があるし駅の周りはすごく栄えている。でも大通りから一本別の道に入ると人通りが一気に減るし、街灯の数も少ない。二人のマンションもセキュリティがしっかりしているとはいえ、女の人一人でこの辺りを歩いたら怖いだろうなと思った。


警戒心がなさそうだから、特に潤奈には一言お兄ちゃんとして言っておこうと決めると、ちょうどその時、目の前を傘をささずに横切った女の人がいた。



「あれ…?」



こんな大雨の中、傘をさしてないってだけでも目立つから思わず凝視したけど、そのシルエットはどう見ても環希さんだった。一瞬だけ見えた環希さんはすごく早歩きをしていたから急いで家に向かってるのかなと思ったけど、向かっているのは全然家の方じゃなかった。



こないだ風邪もひいたのに何やってるんだと思って、俺は思わず環希さんを追いかけた。



環希さんはすごいペースで歩いているようで、俺が角を曲がった頃には道のだいぶ先を行っていた。追いつくためにも走ってみたけど、こんなくらい中背後から誰かが走ってきたら怖いだろうなと思った。


今まで何度も驚かせてきた実績があるから、そうならないためにも声が届きそうな距離まで近づいたところで、「たまきさ~ん!」と大声を出してみた。



環希さんはその声に反応して一瞬ビクッと肩を揺らした後、足を止めてゆっくりとこちらを振り返った。するとすぐに声の主が俺だと気づいたようで、なぜだか少しホッとした顔をして手を振ってきた。



「ちょっと、

また風邪ひきますって。」



手を振る環希さんに小走りで近づいて、自分の小さな傘をさしだした。もう手遅れなくらいべたべただったけど、これ以上雨に打たれたら本当に良くない。


でも俺の心配なんて気にすることなく、環希さんはその傘を俺の方に戻して、「私は大丈夫だから」と言った。




"大丈夫に騙されるな"



そこで相沢の言葉を思い出した。

思えばいつも環希さんは大丈夫と言っている気がするけど、それは本当に"大丈夫"と思っているのか。


いや、きっと思っていない。それは分かっている。


でも踏み込みすぎるとかえって気を使って、もっと大丈夫じゃなくなるんじゃないかと、俺は今まで遠慮していた。




「環希さん。」



でも、だまされちゃダメなんだよな。

心の中で相沢のアドバイスを、もう一度繰り返してみた。思い返せば朱音にも、俺は最後の押しが弱いって言われたこと、あったっけ。


もしかして今が環希さんの"グッと来てほしい時"なのかもしれないと自分に言い聞かせて、俺はもう一回傘を差しだして、環希さんの名前を呼んだ。



「大丈夫でも、

使ってほしいんです。」



どうしてそんなに一人で強がっているのか、どうして大丈夫と繰り返すようになったのか。


俺にはわからないしもしかして話してくれないかもしれないけど、とりあえずもう雨に打たれるのだけはやめてほしくて、環希さんの上に傘をさしつづけた。


すると環希さんはものすごく申し訳なさそうな顔をして、「ごめんね」と謝った。



「あの…。

侑、くん。」

「はい。」



そしてそのまま続けて、環希さんは言いづらそうに言った。

焦らせることなく次の言葉を待っていると、環希さんは恐る恐る僕の後ろの方を指さした。



「誰も、いない?」



環希さんは見たこともないくらいおびえた顔でそう言った。

若干それに驚きつつ、反射的に自分の体で少し環希さんを隠しながら、環希さんの指さす方を振り返った。


すると俺が振り返るのをみて遠くの角で誰かが素早く隠れるのが見えて、すぐに傘で環希さんを隠した。



「あれ、誰すか。」

「いる…よね…。」



環希さんはそう言って、両手を固く結んだ。その手が小刻みに震えていて、見かねた俺は自分のスーツのジャケットを環希さんにかけた。



「行きますよ。」



そしてそのまま環希さんを自分の体と傘で隠しながら、振り返ることなく前に進んだ。速足で進んで角を曲がる前にチラッと振り返ると、そいつは遠くの方からジッと俺たちの方を見ていた。




それから無駄にぐるぐるとその周辺を回って、アイツがいなくなったことを確信してから、俺たちは環希さんの家に向かった。


本当はこのまま家に帰ったら危ないだろうから俺の家にでも連れて行きたかったんだけど、二人とも濡れてしまっている体ではタクシーにも電車にも乗れそうになかった。



「ごめんね、ほんとに。」

「いいんですよ、

俺がやりたくてやったんだから。」



家に入って、環希さんはすぐにタオルを持ってきてくれた。素直にそれを受け取って体を拭いていると、環希さんは「シャワー使って」と遠慮がちに言った。



「環希さん、先どうぞ。」



まるで俺の家のシャワーかのように、そう言った。

すると環希さんは取れそうな勢いで首を横に振って、「とんでもない」と言った。



「俺、結構体丈夫なんで。」

「でも…。」

「絶対入りませんよ、

環希さんが入るまで。」



言う事を聞かなそうな環希さんに決意をみせるためにも、俺は玄関に張り付くみたな動作をみせた。環希さんはそんな俺を見て困ったように笑って、「急ぐね」と言った。



もしかして先に入らせたのは失敗だったのかもしれない。


環希さんは本当に急いでシャワーを浴びたみたいで、すぐに出てきて俺に入るよう促した。

そこで「もっと入れ」なんて言っても、さすがに聞いてくれないだろうと判断して、俺は素直に環希さんの言葉を聞いて、シャワーを拝借した。



「すみません、

ありがとうございました。」

「ううん。私のせいだから。」



環希さんはそう言って、暖かいココアを出してくれた。

部屋には季節外れの暖房が付けられていたおかげでとても暖かくて、環希さんも厚手のものを着こんでいたから安心した。


俺の方もしばらく雨に打たれたせいで体が芯から冷え切っていたようで、ココアを一口飲むと、それが全身にしみわたるのがよくわかった。



「あの。

誰なんですか?」



聞きづらい事ではあったけど、もうためらうことなく俺は聞いた。すると環希さんはすごく困った顔をして、しばらく黙ってしまった。



「話したくないなら大丈夫です。

けど…。」



その沈黙を先に破ったのは俺の方だった。

環希さんは一瞬驚いてこちらを見たけど、その顔はまだすごくおびえているように見えた。



「大丈夫じゃないのに大丈夫だって、

もう言わないでください。」



環希さんは俺の言葉を聞いて、もっと驚いた顔をした。そして自分の両手で自分を抱きしめるようにして、うつむいてしまった。



「あの、ね。」



やっぱり言いたくないことは、聞かない方がいいと思った。

でも今を逃したらもう今後環希さんから話が聞けることはなさそうだったから、俺はもう話を止められなかった。



「元、旦那なの…。」

「え…?」



ストーカーとかそういうものだと思っていたから、驚いて情けない声が出た。すると環希さんはとても苦しそうに、「へへ」と笑った。



「迷惑かけて、ごめんね。」



環希さんは今にも泣きそうな声で言った。

迷惑だなんて思わないでほしい。そういう気持ちをこめて首を横に振ると、環希さんは自分を抱きしめている手グッと強めた。



「多分、家を、探られてる。」

「なるほど…。」

「ちょっと前からおかしいなって。

裁判でね、接近禁止って、

言われてるんだけどね。

執着…みたいなもので…。」



本当は抱きしめてあげたかったけど、うかつに触れなかった。元旦那との間に何があったのかはわからないけど、どうみても環希さんはおびえていたから、もしかして男に対して恐怖心があるのかもしれない。これまで軽々しく行動してきた自分を、心底反省した。



「ごめんね、

関係ないのに巻き込んじゃって。」



環希さんは本当に申し訳なさそうな顔をして言った。俺は出来る限り穏やかに笑って「関係なくないです」と言った。


「友達、じゃないですか。

俺たち。」

「友達?」

「はい。

一緒の鍋を食ったらもう友達っすよ。」


確かに"友達"とこの関係を呼ぶには違和感があったけど、だからと言ってなんて呼べばいいかと考えても、いい案が浮かばなかった。一番近いのが友達かなと思って言うと、環希さんはにっこりと笑って「友達か」と言ってくれた。



「環希さん。

警察に、相談しましょう。」



俺の言葉を聞いて、環希さんはすごく驚いた顔をした。でもその後すぐに「大丈夫だよ」と言って、にっこり笑った。



「自分で何とか出来るよ。」



その顔が全然笑えていなくて、俺は"踏み込めない"という気持ちをもう一度グッとこらえた。



「環希さん。」



ずっとうつむいていた環希さんを、出来るだけ穏やかな声で呼んだ。すると環希さんはゆっくりと顔をあげて、俺の顔をやっと見てくれた。



「一人で、頑張りすぎです。」

「私の、問題だから。」



この人もなかなか頑固だなと思った。でもきっとこうさせた"何か"があったってことも今は十分理解できたから、俺も今回は折れなかった。



「頼ってください、もっと。

俺のことだってそうだし、

頼れるところには頼っていいんです。」

「でも…。」

「でもじゃありません。」



このままでは、いつか環希さんが殺されてもおかしくない。

常に俺が守れたらいいけどそういうわけにはいかないし、環希さんが気を付けて行動したとしても限度がある。



「環希さんが行かないなら、

俺だけでも相談に行きます。」



きっと環希さんは"そんな大事に"なんて言いだしそうだけど、これは大事にすべきことだ。


環希さんが行かないというなら、本気で俺だけで相談に行こうと決意をこめて言うと、環希さんはまだおびえた顔で笑って「ありがとう」と言った。



「大丈夫。

俺、一緒に行きますから。」



また否定されるかと思ったけど、俺の提案を始めて一度も断ることなく、環希さんはうなずいてくれた。


本当はすぐにでも相談に行きたかったけど、その日のうちに環希さんを外に出すのは怖かったから、その日はおとなしく家に帰って、次の日の昼間に近くの交番に行った。



「侑君は、外で待ってて。」


交番に行くと言っていても、本当に行かないかもしれない。

どこかでそれを心配していた俺は、環希さんが警察に相談しているところを見るだけでも十分だった。きっと個人的な話も聞かれたくない話もあるだろうし、これ以上踏み込むべきではない。


元々そう思っていた俺はその言葉に静かにうなずいて、交番の外で環希さんを待つことにした。



「お待たせ。」



出てきた環希さんは、少しホッとした顔をしていた。

まだ環希さんが具体的に何かされたわけではないから何も出来ないと言われたようだけど、家周辺の見回りを強化してくれるということだったから、とりあえず俺も少しは安心した。






―――でもここで少しでも

    安心してしまったことを、 

     俺は後悔することになる。


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