第320話 320.密偵疑惑

<真也>


会議が終わって重鎮達が堆積すると、アンドリュー国王が


「今日は食事を用意させたから家族水入らずで一緒に食事をしようではないか」


と誘ってきたのだ。


「私達はまだ結婚式も上げておりませんし、アーネストとゆっくりと話すならば私達が居ない方が良いのではないですか?」


俺達がオールデス家のクーデターから助けたとはいえ、まだまだ親しい間柄じゃ無いって思ってるし・・

何を喋れば良いかさえ解らないし・・


そう思って遠慮しようと思っていたんだが・・

「何を言うんじゃ!!ナストレーア王国が今有るのは婿殿のお陰なのだぞ!!それに婿殿は儂とキャロラインの命の恩人じゃぞ!!何を気遣っておるんじゃ?気にする必要は無い。儂達が一緒に食事をしたいんじゃよ」


其処まで言われたら・・断れないよな~

アリシャ、麗香、クララ、アーネスト、リリス、トリア、ナスティア、クリスの方を見ると一斉に


『うん』



っと頷いてくれる。

了解って事なんだろうな。


「じゃ~お言葉に甘えてお食事をご一緒させて頂いてもよろしいでしょうか」

「そうじゃそうじゃ~それでいいんじゃよ~」


アンドリュー国王とキャロライン王妃を交互に見ると満面の笑顔で満足そうに俺に頷いてくれる。


俺は気になる事が有ったので


「アンドリュー国王、一つ気になる事が有るのですが宜しいですか?」


って前置きすると

「アンドリュー国王というのは他人行儀過ぎるぞ!!家族だけの時は義父おとおさんと呼んでくれ」

「そうですよ私の事は義母おかあさんと呼んでね」


はぁ~それはハードル高いぞ!!


「アンドリュー国王、キャロライン王妃それはちょっと~」

「ちょっとじゃありませんよ。義母おかあさんです」

「そうだぞ義父おとおさんと呼べ」


「アンドリュー国王、キャロライン王妃それはまだ早すぎます」

義父おとおさんだ」

義母おかあさんです」


そんなやり取りを何度もして・・


「お・・おとう・・おとう・・・・おとうさん」

「お・・おかあ・・おかあ・・・・おきゃ~しゃん」


う・・噛んじまった~~



「うふっ~可愛いですね~まあ『おきゃ~しゃん』で許してあげますわ~ずっと『おきゃ~しゃん』でも良いのよ?ふふっ」

キャロライン王妃に笑われちまったじゃねえかぁ~

それに弄られてるような・・・


「婿殿、それで気になる事とはいったい何なのじゃ?」


アンドリュー国王、やっと本題に入ってくれたか・・

「あのですね、私達はアーネストがナルノアールの街が心配だと言ったので、急に首都ナルノアールに来たんですよ。首都ナルノアールの正門で門番に検問を受けた時、王城に先触れを出してもらったんですが、それにしては、ジャクソン家の残党が襲ってきたのが早すぎるんじゃないかと思うんです。


何時来るか解らない相手を、11人もの人数で待ち伏せ何て普通しないと思うのですよ。

先日、鉄の精錬所に行った時も魔導士達の襲撃に会ったわけですが、魔導士達の行動が早すぎると思うんです。


まるでジャクソン家の魔導士達に王城の動きが即時に漏れてるんじゃって思いませんか?」


「な?何じゃと?

それは王城の中に密偵が紛れ込んでいるという事か?」


「そうは思いませんか?王城の中に密偵が紛れ込んでいてジャクソン家と内通している者が情報を流していないと、こんなに早くは襲われないでしょう?」


「そ・・そうじゃの!!確実に密偵が入り込んでいるな!!

直ぐにエバンズを呼べ!!至急だ!!」


アンドリュー国王はドアの向こうに控える従者に向かって叫んだのだった。


つづく・・・

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