第318話 318.誘き出そう

<真也>


俺達は首都ナルノアールの大通りを騎馬に乗った騎士達に護衛されながらナルノアール城に向かう。


遠くからお城の上の方しか見えなかった光景が段々と湖の傍に建つ真っ白なナルノアール城のシルエットが見えだすと


「うわ~綺麗~~やっぱり湖の傍に建つ真っ白なお城って凄く綺麗よね~」

「うんうん~こんな風景の中で暫くのんびりしたいわよね~」

「湖に映る白いお城って凄く良いですよね~~こんな景色の中で結婚式を上げたいな~」

「私達海に休暇に行く途中でジャクソン家のゴタゴタに巻き込まれちゃって結局行けなかったものね~」


リリス、トリア、ナスティアの4人は湖の傍に建つお城を眺めながらそんな話をしだすとアリシャも


「そう言えばあの時以来色んな事が重なって何処にも行けないままだったわね」


って少し悲しそうな表情?


俺は


「ジャクソン家やオールデス家の魔導士達には腹が立つけどこうやって俺達はめぐり合う事ができたんじゃないか?」


ってかっこよくいったつもりが・・ちょっとキザっぽい言い方になった?

そう思ったら凄く恥ずかしくなってしまった俺


『言わなきゃ良かった~~』


と思ったがもう出てしまった物はしょうがない


「そうよね。真也と出会えたんですもの、そう思うとジャクソン家の魔導士達には感謝しなきゃね」


え・・アリシャ?

ジャクソン家の魔導士達にあんな仕打ちされたのに感謝しちゃう?


「そうですね~変な所に嫁がされずに済みましたものね~」

「私なんて45歳のアシュバートン侯爵の第四婦人って酷くない?」

「私もトリアと同じようなものよ!!私の嫁ぎ先なんて51歳のデインズ侯爵の第2婦人よ?私もあんなおじいちゃんの所なんて嫁ぎたく無かったわ」

「私はカーティス子爵家の16歳の嫡男コンラッド様だけどあの豚の所は私も嫌だったわ。そういう意味ではジャクソン家の陰謀に巻き込まれたのはラッキーだったかも~」


うをぉ~リリス、トリア、ナスティアって結構ポジティブ思考?

そういう意味では俺ってマイナス思考かも・・

有る意味羨ましい性格だな


話している内に、俺達が乗った馬車がゆっくりと止まり


「姫様方、王城に着きました」


そんな声と共に馬車のドアが開けられ、俺達が馬車から降りるとアンドリュー国王とキャロライン王妃が既に待って居て


早速アンドリュー国王が

「アーネスト無事で何よりじゃ」


そう言ってアーネストを抱き締めた。

アーネストは少し恥ずかしそうだが・・

心配してくれたのにウザいと言えない感じ?


キャロライン王妃も


「襲われたと先触れが走って来た時にはビックリしましたが、皆の顔を見たら安心しましたわ。今日もまた大勢の女の子が一緒だけど・・もしかして・・・」


と少し心配そうなキャロライン王妃が言おうとした言葉をアリシャが

「4侯爵家がよりにもよって造反しかけたせいで真也に嫁が増えてしまいました。これもリトリア王国の安泰の為とご納得お願いできればと・・」


前にも一緒だったけど、今回も連れてきちゃったからキャロライン王妃も薄々感じちゃった?

結婚、急に決まっちゃったもんな・・

4侯爵家から贈り物が届いて開けて見てさ~~

俺だってビックリだよ


「そ・・そう・・そんな事が有ったのね」

「では4侯爵家の娘さんがこの4人と言うならば結婚式も一緒に盛大に行おうでは無いか」

アンドリュー国王様~そんなにはっきりと結婚って言われるとなんか急に緊張して来たぞ



「それはそうと、馬車の後ろに縛られて引きずられてきた者達は襲撃して来た魔導士達なのか?」


「そうです。今回は何とか捕縛出来ました。この者達が前回襲撃して来た者達ならば良いのじゃが、これ以外にも残党が居るとなると厄介じゃの~」


「それならば、この捕まえた者達を檻に入れて『市中引き回し』して仲間に助け出させると言う方法はどうでしょう?」


「そう上手く行くじゃろうか?」

「襲撃して来たこの者達を檻に入れ御者一人だけで檻を引かせれば、必ず仲間が助ける為に襲撃してきます」

「それではせっかく捕まえたこの者達を逃がす事になるのではないか?」

「捕まえた者達には目印を付けておきますから、ワザと回収させて合流した所を一網打尽にするのです」


「ほう流石婿殿じゃの~それでは細かい事を話し合おうではないか」


そうして俺達は囮作戦について話し合うのだった。


つづく・・・

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