第317話 317.ドМ男にならなければ良いんだが・・・

<真也>


「姫様~~~」

「姫様~大丈夫でございますか~~」

「姫様~~」


・・・・


大通りの向こうの方から馬に乗った騎士達が叫びながら近づいて来ている。

首都ナルノアールの正門から王城に先触れを出して貰っていたから、王城から迎えを出したのかも?

あんなに慌てているのは、今さっきの爆炎が遠くからでも見えたのかもしれない。


騎馬に乗った騎士は俺達に近づくと、馬から降りて跪き


「遅れて申し訳ございません。遠くから爆炎が見えましたが大丈夫でございましたか?」

30過ぎ位の金髪の一見して鍛えていると思われる筋肉隆々の男性が少し緊張した表情で聞いて来る。

「魔法による攻撃が有りましたが、撃退してあの路地に縛り上げております」

とアーネストが細い路地に縛られて倒れている襲撃者達を指さした。


その瞬間騎士の男性は


「おおお~これは素晴らしい~これは芸術ですな~」

え?



芸術?


何それ?


「素晴らしい~なんと素晴らしい縛り方!!こんな美しい縛り方が有ったとは知りませんでしたぞ姫様。この縛り方はどうやったのですか?」


え?

縛り方に驚いてるの?


『うそんっ』


お前達の目はどうなっているんだ~~!!

「この縛り方は・・

リリス、トリア、ナスティアの4人が縛りましたのよ」


アーネストはしょうがないかと、4人を前に出して

『私は関係ないからね?とアピール?』


「私にも是非あの縛り方をご教授くだされ」

恐ろしい位の勢いで4人に詰め寄る筋肉隆々の騎士

ハッキリ言って


怖いぞ!!

『その内この異世界にも緊縛同好会なんて出来たりしないよな?』


この騎士、趣味で緊縛同好会とか作りそうで怖いんだけど・・・

「え・・ええ~いいですよ・・私の知ってる縛り方で良いなら・・・」

リリスが恐る恐る答えているが・・


あの形相で詰め寄られると怖いよな~


・・


「ゴトゴト」


「ゴトゴト」


・・・


遠くから音が聞こえて来る

音の聞こえる方向を見ると・・

王宮から出て来ただろう馬車が走っているのが見えた。


その馬車は次第に俺達の所に近づき、そして俺達の前で止った。

そして御者が降りて来ると


「皆様方遅れて申し訳ございません。ささ~馬車にお乗りくださいませ」


と俺達を馬車に乗せてくれる。

騎士達は・・

どうも気絶したままの亀甲縛りされた襲撃者を大通りの地面に寝かせ、馬車の後ろからから縄をだして襲撃者をそのまま引きずっていくらしい・・・


これって結構痛そう・・・

亀甲縛りされたまま馬車で引きずられるって・・・


『ドМ男にならなければ良いんだが・・・』


襲撃者の11人は亀甲縛りされたまま大通りを通る民衆に物珍しいものを見るような視線を浴びながら俺達の乗った馬車に引きずられて王城にひた走るのであった。



つづく・・・

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る