第303話 303.其々の思いと行動

「あの巨大な鉄の塊は何だ?」

「怖いわ貴方、あれは何なんでしょう?」

「とうちゃん怖いよ~」


・・・・


・・・・


夕刻が迫るトリステインの街の中大通りの向こうに見える、突然に現れた高さ5メートルもの人型のアイアンゴーレム


大通りの向こうに徐々に頭が見え始め、徐々にアイアンゴーレムの体が見え始めた頃、馬に騎乗した騎士が


「今日これから首都トリステインの街と外はこのアイアンゴーレムが周回し街を守る事になった。

このアイアンゴーレムは皆を守る守り神である。

絶対に攻撃をせぬように!!

そして定期的に街の中を回り皆を守る為、アイアンゴーレムの進行を邪魔せぬようにお願いする」


騎士達がそうお触れを市民に公言しながら街の中を練り歩いてゆくと、最初こそ市民はアイアンゴーレムの姿に驚いていたが、次第に落ち着きを取り戻していった。


・・・

「魔導士達の逆襲か?」

「お前聞いてなかったのか?あれは国王様がトリステインの街の街を守るために配置して頂いた守り神だぞ」

「へぇ~流石ヘンリー国王様だ。街の為にあんな凄い物を入れて下さるなんて国王様には足を向けて眠れねえな」


・・・

そんなやり取りがあちらこちらで行われている。


・・・

そしてエクムント侯爵家では突然屋敷に走り込んで来た家人の1人が


「侯爵様大変でございます」

「騒がしいな。何が有ったのだファインズ」

「大変でございます」

「だから何が大変だと聞いている」

「アイアンゴーレムです」

「アイアンゴーレムが何だというのだ?


ファインズと言う家人も今まで見た事も無いような金属のゴーレムを見て気が動転してしまっているのだろう。


「侯爵様、侯爵様大変でございます」

また一人の男が大声で叫びながら駆け込んでくる


「何でどいつもこいつも大変だ大変だと大声で騒ぎながら駆け込んでくるんだ?何が大変だと言うんだコックスよ」


「ヘンリー国王が5メートルもの大きさのアイアンゴーレムを首都トリステインと首都トリステインの城壁外に各10体を投入しトリステインの警戒に当たらせ始めました」


コックスの報告を聞いたエクムント侯爵は驚き


「な・・な・・なんじゃと~~国王は何処でそんな5メートル以上も有るゴーレムを20体も手に入れたのじゃ!!

コックス至急アレクシス侯爵、ティーダ侯爵、ドミニク侯爵に使者を出し例の場所に集まるように伝言を伝えろ!!

儂も直ぐに外出する」


そうコックスに指示を出すと早速支度を始め馬車を用意させ出てゆくハーバートであった。


その後30分程間を開けエリザベス王妃からの先触れが訪れ


「エリザベス王妃様から緊急のお茶会のお誘いです。

エリザベス王妃様がアレクシス侯爵家、ティーダ侯爵家、エクムント侯爵家、ドミニク侯爵家の4侯爵家の存続に関わる緊急の要件の為、馬車を用意致しますのでシエンナ様にも是非に集まって頂きたいとのお願いでございました。


1時間後馬車でお迎えに伺いますとの事ですので、お茶会へのご出席お願い致します」


そう言ってエリザベス王妃からの先触れは帰って行ったのだったが・・・

エリザベス王妃の先触れが告げた『4侯爵家の存続』という言葉と『至急』という言葉がどうしても頭の隅に引っかかっていた。


突然のエクムント侯爵家の当主ハーバートが家人の連絡で慌ただしく出て行った件とエリザベス王妃の至急のお茶会のお誘いがなにか繋がっているような予感に否が応でも冷や汗が額に滲む。


『エリザベス王妃様が焦って私達を集めるなんて、主人達何を企んでいるのよ?』


長男のロジャーや次男のドナルドも居る事だからもうハーバートも要無しね。最近はアソコも使い物にならなくなって種馬としても使い物にならないし・・・今日の話の成り行きでは、最悪はハーバートは事故死してもらって長男のロジャーにエクムント侯爵家を継いでもらう事にしましょう。




これからの事を思案しながらシエンナは


『ふふふっ』


っと笑みを浮かべるのだった。


つづく・・・

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