第273話 273.うう~なんか俺の評価悪くね?

<真也>


暫くするとナストレーア王国のアンドリュー国王に明日国防についての会議日程確認をお願いしていたギルドマスターのラグアシェルが執務室に帰って来た。


「姫様、真也様ナストレーア王国首都ナルノアール・ギルドのギルド長クラークに連絡を入れアンドリュー国王に確認してもらうように手配しました。連絡があるまで暫くお待ち頂けますか」


そう言って俺達の向かい側の席に着席すると同時に

「この丸い食べ物はなんですかな?美味しそうな甘い香りですな・・・」


とテーブルに置いていたクッキーに顔を近づけてまじまじとクッキーを見ているギルドマスター

ギルドマスターラグアシェルの目が


『食べたい』


と訴えているんだが・・・

お預けとかさせてみたいな・・



『3回まわってワンと言わせたら面白いだろうな』

なんて一瞬妄想して

イヤイヤそれは人間としてやらしちゃダメだろ!!

と思い直して


「ラグアシェルさん良かったら食べてみませんか?美味しいですよぉ?」


とクッキーを勧める俺

うんなんとか抑えたぞ!!


ギルドマスターのラグアシェルが入れ物に入ったクッキーを一枚手に取って一口齧った瞬間目を一杯に開いて

「真也様、このクッキーは何処で手に入れましたかな!!これほど美味しい物を儂は食べた事が無い。これは売れますぞ!!出来れば購入先を教えて欲しいのだが」

と分厚い顔で俺に詰め寄って来る



困った

『此処とは違う世界で売られています』


なんてぜって~~言えねえ~~

『くすっ』

『くくくっ』

『ふふっ』


他人事だと思って麗香、アリシャ、クララよそんな目で俺を見ないでくれ~~


「あ・・あ~そのクッキーは私が作った物なので販売はされていないのですよ」


「ほ・・本当ですか?それは勿体ない!!物凄く美味しい!!この味ならばこのクッキー1枚で確実に大銀貨1枚は確実にしますぞ!!

これを真也殿が御作りになられたものとは・・

そうじゃ真也殿は『不思議の国のアリス』を運営されておりましたな。その『ゴブカラ』なる物も真也殿が開発したものとか・・

おお~そうじゃあ真也殿このクッキーを大量に作る事は可能でございましょうか?

可能であればギルドの方でこのクッキー1枚銀貨8枚で購入致しますが如何なものでしょう?」


銀貨8枚?って俺ボッタクリじゃね?

俺これ買ったのイギリス商品のインポートフェアで大量買いした奴で25枚1箱500円で買ったんだけど・・・


イギリス産だから味は超~一流なんだけど、銀貨8枚は貰いすぎだろ・・


『でも美味しい取引だよな~ぐへへぇ~』


思わず笑みが込み上げてくる俺


「真也、悪い笑みが零れてるわよ」


「良くない事考えてるでしょ」


「こうなる事を見込んでクッキーを出したのですね。流石マスターは商売上手ですね」



うう~なんか俺の評価悪くね?


良い機会だ『不思議の国のアリス』で作らすって事で取引に持ってゆこう!!

「ラグアシェルさん、私は忙しいので、このクッキーを『不思議の国のアリス』で作らすようにしますので『不思議の国のアリス』から納品という形で宜しいでしょうか?

1箱に25枚入れるようにしますから1箱25枚入りでおまけして銀貨20枚にしますがどうでしょう?」


「それでは真也殿が損をするのではありませんか?」

ギルドマスター心配してくれてるの?

でも一枚で銀貨8枚とかもらっちゃうと俺の心が痛むんだよな~

銀貨一枚で日本円にして1000円

ギルドはクッキー1枚8000円でおれから仕入れてクッキー1枚を1万円で販売するっていうんだから俺もギルドもボッタクリ過ぎだろ?


「いえクッキー1枚小銀貨1枚でも貰いすぎですよ?」

「そ・・そうなのですか?それでは25枚入りのクッキー1つ銀貨20枚で納品お願いします~真也殿の気が変わらない内に契約書を作りましょう」


そう言って机から契約書を取り出してサラサラと契約内容を書き込んでゆくギルドマスター

まさかとは思うんだけど・・・

ギルドで最初に行ったクッキー1枚、大銀貨1枚とかで販売しないよな?


うう~怖くて聞けない・・・

麗香が呆れた表情をしているよ・・・

解ってますって・・


日本のインポートフェアでイギリス産のクッキーを25枚入り一包み500円で買った物

一枚換算にすると クッキー1枚20円

それを25枚一包み2万円で販売

千倍の値段でギルドに販売って超~ボッタクリ価格


『はぁ~』



っと思わずため息を付くと麗香がそれを見て


「くすっ」


っと笑って思わず口を押えている

『ボッタクリした分はこの世界を進歩させて還元してやるさ』



つづく・・・

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