第152話 152.襲撃された人々の治療

<真也>


先にハンバーショップの入り口に飛び込んだアリシャだったが、あまりの怪我人の酷さに口を押えて放心状態になっていた。

俺を見つけたアリシャが一瞬で気持ちを切り替え

「真也この大人数の怪我人どうしたら良い」


アリシャが迷うのも無理はない

一刻を争う大怪我

誰かを助けたら誰かが助からない・・


そんなジレンマ


どうする?


どうしたら良い?


クララが居ればもう少し何とかなったかもしれないが・・

無い物ねだりをしても無理なものは無理!!


俺達のやれる事をやろう。

俺は黒の森のカルデラの中に落ちていた魔晶石を数個両手に握ると、アリシャの両手を魔晶石と一緒に握って両手を上に向かって挙げる。


アリシャはビックリしたみたいだが無視!!

「アリシャ俺とアリシャの手の中にある魔晶石に向かって治療魔法を放出し此処に居る全員を治療するイメージで自分の持っている魔力を俺の魔力と合わせて同時に全部放出しろ!!


良いか同時だぞ!!

カウントダウンするからゼロになったら一気にいけ!!

行くぞ!!


3!!



2!!


1!!


ゼロ!!

『領域完全回復!!』」




俺とアリシャは見つめ合いながら

魔力を一気に増幅してゆく!!


俺達が上にあげてお互いに握った両手の中に有る魔晶石が真っ白に輝き始め辺りを眩しく照らし始めた


・・・


アリシャ結構苦しそうだ


「ガンバレ!!」


「結構・・キ・・ツ・・イ・・」

アリシャが苦しそうに呟いてくる


・・・


「凄い!!怪我人の怪我が治って行くぞ」

「何だ何だ、ケガをして倒れた奴らの火傷が治って行くぞ・・」

「何故治ってるんだ?」

「あの立ってる男の人と女の子が輝いているからあの子達の治療魔法じゃない?」

「魔法を使うには魔導書か魔法陣が必要なんだぞ、あの2人何も持ってないようだぞ?」

・・・

そんな外野の声が遠くで聞こえて来るが・・

今は無視だ



此れだけの負傷者だ!!

30人?・・・いや・・50人以上は巻き込まれただろう・・・


運のいい事に、奴は殺傷能力よりも広範囲に被害を出したかったみたいで広範囲に火球を拡散させたせいで一人一人の殺傷能力は落ちた事だ。

多分多くの人に被害に合わせたかったんだろう。

俺達を失墜させる為に!!


絶対にそんな事はさせない!!

誰一人死なせない!!


そう思い一層魔力を増大させ、アリシャの体の中にも魔力を送り込む

『マッチポンプ方式ともいう』


大量の魔力を魔晶石から取り込み体の中で濃縮し放出し治癒魔法として此処に居る人達に放出それを繰り返す。

アリシャは王族の濃縮した血筋で特に魔力が多い

その魔力を応用して俺の魔力を送り込んで魔力を濃縮アリシャの力でそれを治癒魔法として放出俺の治癒魔法と合体さして高密度の治癒魔法に昇華させ放出


アリシャ相当に苦しそうだな

「ガンバレ!!アリシャ!!無事に終わったらご褒美だ」

「はい!!頑張ります!!」


おい!!

アリシャ?今までの苦しそうだったあれはなんだったんだ?

目的が違ってきた感じが?


「じゃ~アリシャ一気に全開、完全回復行くぞ」

「はいいつでもOKです」


一気に魔力を放出すると同時に

『お互いの手に握った魔晶石が眩しく輝き辺りを真っ白に染めた』


その光が・・


徐々に・・



収まり・・


光は収束する。


その瞬間アリシャが俺の方に倒れ込んできて


『思わず抱き留めた』


「アリシャ良くやったな」

ってアリシャに声を掛けると


「はぁ~~~~~はぁ~~~~~」

っと荒い息をしながらも


「アリシャ頑張りま・し・た」

って息を切らしながらも答えて来る


広範囲に広がる火炎を浴びて大火傷を負っていた大勢の重症者は


「痛くない!!」

「怪我が治ってる!!」

「死んだんじゃないのよね?夢を見てるんじゃ無いわよね」

・・・・・

って歓喜の声を上げながら女性達抱き合っている

そして男性達・・・

女性は絵になるが・・・

男性はな~


殆ど・・全裸だし・・

怪我をした人達は落ち着いて来て自分達の状態に気が付いて


「きゃーーー」

「きゃーーー」

「きゃーーー」

「きゃーーー」

「きゃーーー」

「きゃーーー」

・・・

「な・・なんじゃ~服が燃えちまってるじゃねえか」

「どうやって帰ればいいんだ~」

「やばいぞこれ」


そんな声に徐々に自分の姿を確認した人達全員が気が付いたみたいだな。

どうにかしなきゃ・・いけないよな


俺は店舗作成でアリシャにダメ出しされた失敗作を2棟空間庫からオープンテラスの向こう側に排出


メイドさんにお願いして完治した全裸の女性を集めてもらい、俺は完治した全裸の男性を集めてゆくと

男性 21人

女性 77人

結構やられたな・・

魔法陣じゃこんなに広範囲に威力出ないハズなんだが・・

後で調べてみるか!!


今はこの人達の処置だ

男性は今出した店舗用に試作した建物で着替えてもらっても良いが、女性は1棟の中に入るのは無理だな。



俺はアリシャに

「この人達の着替えとかお願いするから少し待ってて」

そう言った後


うさ耳不思議の国のアリスちゃん10人程集まってもらい

「この女性達77人を大浴場に連れて行ってお風呂に入ってもらい今から渡す服と下着にきがえてもらってくれ。大浴場の使い方と服の着方とかも教えてやって欲しい」

そうお願いして彼女らの着替えを出して渡して全裸の女性77人を大浴場に連れて行ってもらう。


男性は俺が出した試作用の店舗に案内しジャージと男性下着を渡して着てもらう。

今後男性用も少しは用意した方が良いよな!!

今の持ち合わせで全員に合う服ってジャージしか無いんだよ。


怪我が完治した全裸の人達の処置を終えた後

「アリシャお待たせ。襲撃して来た男の事を調べよう」

と言ってアリシャとハンバーガーショップの入り口に面した大通りへと歩いてゆくと、歩道の上に大量の血痕と共に切断された右腕と魔導書が残されていた。


右腕の掌には・・・魔法陣が入れ墨されている

ジャクソン家の魔導士達は此れが普通なのか?


俺の中ではこんな暴挙に出るような魔導士はジャクソン家の人間だと断定している

そう思いながら落ちている魔導書を拾い上げて


「アリシャこの魔導書はジャクソン家の魔導書だよな?」

って聞くとアリシャは魔導書を見ながら


「確かにジャクソン家の第一の魔導書ですね。ナンバーズです」


と聞きなれない言葉がアリシャから紡がれた。

「ナンバーズって何なんだ?」

「ジャクソン家では魔導書のナンバーが1から10までのナンバーの魔導書を持った人間の事をナンバーズと呼んで特別視しています。真也の言葉で言えば『管理職』って感じですね」

「説明ありがとう。ジャクソン家の中でのナンバーズの権限が何となくだが解ったよ」


くそっ!!ジャクソン家の生き残りの仕業か!!

何かの都合で屋敷を出てて難を逃れたっぽいな


それにしても不味いな・・

手負いの状態で逃走してるんだ。遠くには行けそうに無いだろうが・・

何をするか解らないな・・


つづく・・・

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る