第127話 127.小さな小部屋の向こう側の世界

<真也>


俺は・・

「いや今は良い・・」

そう答えたのだった


金髪美少女の言った

「マスターお帰りなさいませ。1000年と201日ぶりご帰還お疲れ様でございました。

マスター早速ですが、ご飯にしますか?お風呂にしますか?それとも私にします」


『1000年と201日ぶりご帰還お疲れ様でございました』

の言葉がどうしても頭の隅に引っかかったのだった

そして彼女の言うマスターの振りをする事にした。


どう足掻いても、この領域から魔法の転移が出来ない以上、彼女の言うマスターに成り切って彼女の真意を探ろうと思う


そんな思惑に廻っていた俺に

「そうですか、ではご案内致します。手をお取りください」

と少女は手を差し出して来るが・・

全裸の見目麗しい美少女に俺は心が揺れて平常でいられない


「あ・・あ~」

そう言って差し出された手を握るのが精いっぱいだった俺に

「お疲れのようですね。1000年以上の時が過ぎているのですからね」

と言って

『ニコッ』

っと笑顔を向けた瞬間、俺の手を引いて壁に向かって突っ込んでゆく少女


「え?」

っと声を上げた途端に少女は壁の中に吸い込まれるように消えてゆき、俺の体も握った少女の手から続いて壁の中に吸い込まれてゆく。


『手を握られたのは・・俺に好意が有った訳じゃ無く、この壁を向ける為?』


そう考えるのが妥当!!

そして壁を抜けた先に見えたのは広大な空間


空には


『太陽?』


気温は暖かい!!

広大な空間の中に所々に森が点在し、野菜や、果物が鈴なりになった庭園

そして湖

湖の傍に建った白亜のお城


そして何よりも異彩を放った物体が目を引く!!


な・・何と・・


『巨大な宇宙船!!』


何で!!

何で!!

何でこの世界にこんな場違いな巨大な宇宙船が有るんだ?


『この手を繋いでくれている全裸の美少女に聞きたいけど・・・怖くて聞けない』


少女は俺から手を放した後姿勢を正して

「マスター1000年と201日ぶりご帰還お疲れ様でした。改めましてお帰りなさいませ。

早速でございますが、1000年と201日の情報の齟齬を共有補完致しますのでこちらに」

といってあの巨大な宇宙船の中に俺を導いてゆく。


少女が宇宙船に近づいて宇宙船にぶつかると思った瞬間に宇宙船に吸い込まれるように消えて行った。

俺も慌てて少女の後に続く。


気が付くと部屋全体が透明で外の景色が360度見える。

少女と俺は丁度地上50メートル地点の空中から、この入って来た空間を見ている感じだ。

少女は

何も無い空間に手を差し伸べ空中に表示された操作盤を操作し何かをしている。

そして

「マスターこれからマスター1000年と201日の間の情報の齟齬を補完修正致します」


そういった瞬間に俺の頭の中に膨大な情報が流れ込んできた。


「ぐぁ~~~~~~」


脳が焼き尽くされるような痛みに頭を押さえながら俺は絶叫し、頭の中が真っ白に塗り潰され次第に意識が無くなった・・・



つづく・・・

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