第91話 91.ゴブリン討伐報告

<真也>


暫くすると受付の女性と共に、40代くらいの金髪の壮年の男性が姿を現して

「これは珍しいなグランドレア商会の会頭レイノワじゃねえか、ゴブリン254体の大軍に襲われた~だと~?何寝言、言ってんだにわかには信じられねえな!!

254体のゴブリンの大軍と言えば、魔導士軍団で包囲し攻撃魔法を連発でもしない限り勝てる見込みはねえんだぜ?それを怪我人なしで遣っ付けたなんて話は流石に信じられないな」


まあ。ギルドマスターの言う事が正しいだろうな

普通はあり得ない


俺は

「此処に解体場は有りますか?有ればゴブリンの死体を出してお見せする事は出来るのですが」

って援護射撃

「君は見た事無いけど誰だ?」

「私はシンヤと言うもので、今回連れの女性達と一緒にゴブリン254体を狩った者です。13体は素材として既に使ったんで残り241体のゴブリンの死体だったら出すことが出来ます」

「お前さん、いやシンヤだったな。200体を超えるゴブリンの死体なんて運べるわけねえだろ!!俺をおちょくってんのか?」


そう言えば・・この世界に来てアイテムバックなんて聞かないな・・

ラノベじゃ定番アイテムなんだが。この世界じゃ無いのか?


『もしかして、俺ラノベの情報にめっちゃ毒されてる?』


普通アイテムバックの機能とか有ったら怖い・・よな・・

ラノベじゃ定番の

『ステータス画面』

『レベル』

『鑑定』

そんな機能も全然聞かないし・・

『うをぉ~またラノベの情報に毒されてる~~』

ラノベから離れろ俺!!


見て

信じてもらう

それしか・・無い・・よな~


「レイドリック様、シンヤ様は本当に不思議な術を使われるのです。その術で狩ったゴブリンを何処か他の場所に収納しているようでございます」

レイノワさんが空かさず俺の援護射撃をしてくれたが

「別の場所?魔導士でも数十人から数百人寄って魔法陣を起動すれば出来るってのはジャクソン家の長男が発見して知ってるが・・・不思議な術?まあ~良い!!それじゃ解体場に連れて行ってやるから付いてこい!!


とレイノワさんにレイドリックと呼ばれていたギルド長は受付嬢を従えて俺達を先導してギルドの奥の通路にはいって行く。

俺達も遅れずに付いてゆくと、ギルドの裏が大きな倉庫になっていて巨大な空間で魔獣の解体をしている人達が居た。


ギルド長はそんな俺達を見て

「凄いだろ!!驚いたか!!これがレノウンギルド支部きっての解体場だ、幾らでも狩った魔獣を出して良いぞ」

鼻高々に自慢している。


「此処じゃ~100体位しか出せないんですけど・・」

って聞いてみると

「じゃ~100体で良いから出してみろってんだ」

ギルド長は俺達がゴブリンを254体も狩ったのを本当には信じていないみたいだ


俺は一気に100体のゴブリンの死体を倉庫一杯に排出!!


「「「「「「「わ~~~~~~~~~~何だ!!何だ何だ!!何だ何だ!!何だ何だ!!何だ何だ!!何だ何だ!!何だ~」」」」」」


倉庫の中で作業していた従業員やギルド長は一斉に驚きの声を上げた。

「ど・・何処から出しやがった!!魔導書なんて使って無いだろ!!」

「女神様から頂いた能力ですから、魔導書なんて使ってないですよ?」


うんうん~此処でもめっちゃ~詐欺師してやるぜ!!

『魔導書に毒された奴らには女神様の権威が一番効くだろ!!』


「女神様だと~~~」

ギルド長は俺の言葉にめちゃめちゃ驚いたが、レイノワさんが俺達の事を説明してくれて・・

『正直真顔で、俺の言った嘘八百並べた数々の嘘で塗り固めた内容を傍でレイノワさんに話されると流石に居心地悪い・・』

しかしだな・・

段々と話が誇張されて、俺達7人の話が美化されてきてるんだが・・

『良いのか・・此れ?』


最後には俺達、神様にされちゃうんじゃないか?


「これだけのゴブリンを出されちゃ信じるしか無いな」

ギルド長・・

『あのお釈迦話で納得したのか?それで良いのかギルド長?』


ギルド長は解体場一杯にに並べられた100体のゴブリンの死体を見回し一体一体詳しく見ながら

「眉間を一発で打ち抜かれてやがる。凄い腕前だな」

そう言いながらゴブリンの死体を見ていたが・・


「おい!!あの一回り大きい奴ゴブリンキングじゃねえのか!!」

そう言って他より一回り大きいゴブリンの死体に駆け寄って何かを調べて

「シンヤだったかこのキングの素材金貨20枚で売ってくれないか?」

「買って頂けるんなら良いですよ」

って即答だ!!

だってゴブリンって臭くて不味くて食えない不人気素材だって言ってたし売れるもんなら売りたい!!

それも金貨20枚?

ゴブリンとゴブリンキングってどう違うんだ?

まあ買ってもらえるんなら文句はねえ


俺はそのゴブリンキングの死体だけ残して後は収納!!

ダメ元で

「シルバーウルフの素材とかもありますが・・」

「おい!!シルバーウルフの素材も有るのか!!売ってくれ!!」

「何体要ります?500体くらい有りますけど?」

って言ったら・・

ギルド長・・固まっちゃったよ!!

シルバーウルフの毛皮は凄く質が良いらしく、これから冬に向けて需要が多いそう

それに肉の質も良くて最高級肉扱いらしいんだが、すばしっこくて中々狩れない魔獣との事

一体金貨1枚で50体金貨50枚確定


「ワイバーンの素材も・・」

って言おうとしたら

「売ってくれ!!1体金貨100枚出すから是非売ってくれ!!」

俺が言い終わらないうちに商談成立しちゃったよ

ワイバーンは空を飛ぶ魔獣

余程の事が無い限りワイバーンの素材は出回ることが無いらしい。

ワイバーンの外皮は凄く硬くて武具の素材として需要があり、捕獲量が皆無に近い為に絶対的に足りていないのが現状らしいが、一体だけ買取に出した!!

『あの俺が頭を爆散させた奴・・』

何であんな硬い外皮で覆われたワイバーンの頭を爆散出来るんだ・・・って詰め寄られたけど無視だ無視!!


今回の商談で

ゴブリンキング 金貨20枚

シルバーウルフ 金貨50枚

ワイバーン   金貨100枚

合計で     金貨170枚


お金の価値が解らないから、これって凄いのか?

後でグランドレア商会の会頭レイノワさんにお金の価値を教えてもらっておこう。



つづく・・・

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