第89話 89.ゴブリンって食べれるの?

<真也>


レイノワさんは倒して周りに倒れたゴブリンの動かない死体を見回しながら

「それにしても倒したゴブリンの数をこうして見回してみると物凄い数ですな。

この数のゴブリンに襲われて我々が生きて居られたのが奇跡に思えます


しかし、この数のゴブリンから魔石を取り出すのは一苦労ですな

今晩一晩かかりそうです。このままにしておくと魔獣を呼び込んでスタンピードが起こりかねますからこまりましたな」


と困り果ている。

確かに

普通はこの数の魔獣の処理はどうにか出来る数じゃないからな

まあ・・俺には空間庫にしまってしまえば良いだけなんだけど!!


でも

『鬼歯が2本出たちょっと似蝙蝠の顔を崩したような奇怪な顔の魔獣って食えるのか?』

この顔を見ると食欲はわかねえ・・・


食べれたら、これだけの数だと相当な人が飢えないで済むと思うんだが・・


「レイノワさんゴブリンの肉は食べれるんですか?」

俺は気になってレイノワさんに聞いてみたら


「食べれなくはないですが、凄く臭くて不味いですよ。

そもそもゴブリンの肉は火が通りにくくて、中まで焼けない間に焦げてしまうのと独特のえぐみがあって食べれたものではないですよ」

って言われてしまった。


『中まで火が通りにくい?えぐみ?』


唐揚げみたいに揚げてみたら食べれるんじゃね?

えぐみなら油で揚げれば変わるかもだし!!

『例の直感さんが突然に頭の中にピッコーンっと来ちゃったよ』


俺は倒したゴブリンの死体を一気に空間庫に収納!!


「「「「「うわぁぁぁぁぁぁぁ」」」」」


商隊の皆が一斉に叫んだ。

目の前のゴブリンの死体が一瞬で無くなったら当然驚くよな


空間庫の中で・・血抜き?血だけを分離?


流石に収納しただけじゃ無理か~

『無理?・・だよな~』


じゃ~

・・

一度他の空間に血だけ転送し再度戻したら?

『疑似空間作成』

『ゴブリンの血を転送』

『転送した血を空間庫に戻す』


お~分離出来たじゃん!!

血抜き完了!!

それを肉にも応用!!

ゴブリンの肉の完成!!


俺は空間庫から鍋を取り出して

その中にひまわり油をドバドバと数本分一気に注ぎ

『油に加熱魔法』


そしてフライドチキン大に空間庫から取り出して、空中で小麦粉をまぶして速攻油の中に!!

『火が通りにくいらしいから中まで加熱魔法!!』


魔法めちゃめちゃ投入の


『ゴブリン唐揚げ』


の出来上がり!!

食べれるのか?


誰か・・毒見・・とかしない?


『俺しか・・居ないか・・・』


って思ってたら!!


クリスが

「うわ~~良い匂い~めちゃめちゃ美味しそう~」

って覗き込んできたから

フォークを渡して

「食ってみみるか?」

って聞くと

尻尾があったらふりふりするように

『うん』


『うん』


と頷いた瞬間俺からフォークを取り上げて出来上がってお皿に置いた大量の

『ゴブリン唐揚げ』

を一気に口に入れ


「あちゅい~~」


と悲鳴をあげ苦しみだしたクリス

『やっぱり食べれなかったか!!』


俺は焦った


死ぬなよクリス!!

兎に角!!か・・回復魔法を!!

って思った瞬間


「うをぉ~~これ何!!これ何!!これ何!!これ何!!これ何!!これ何!!これ何!!美味しい~でも口の中火傷しちゃった~」


って・・

「おい!!クリス!!驚かすんじゃね~」

ってほっとしながらも俺はそう叫んで、回復魔法をクリスにかけてやる。


「お・・」

「真也~ありがとう~回復魔法かけてくれたんだ~めちゃめちゃあつかったけど凄く美味しい!!真也これもっと食べて良い?」

「ああ~好きなだけ良いぞ」

って言うと物凄い勢いでフォークを突き刺したゴブリンの唐揚げを頬張るクリス


後の麗香、アリシャ、リリス、トリア、ナスティアの5人も

「私達も食べたい。あれ出して」

とクリスの持っているフォークを指さす5人

フォークを出すとひったくるようにおれからフォークを奪い取り我先に出来上がったゴブリン唐揚げを口の中に一気に頬張り・・



「ふぎゃあ~」

「ふぎゃあ~」

「ふぎゃあ~」

「ふぎゃあ~」

「ふぎゃあ~」



ってまるでゴブリンの鳴き声

「熱いから気を付けろって言おうしたのに遅かったようだな」

「ふぅふぅ~おひぃし~」

「はうぅ~はうぅ~」

・・・


『少しは言葉にしろよな』

食べるのに必死で言葉にならない?


そんな様子をみて何も言ってこないハズはない

早速グランドレア商会の会頭レイノワさんが

「その皆さんが美味しそうに食べている物は何なのでしょうか?それにその液体は油みたいですが・・かなり高級な物ですよね。それのあの粉は何でしょう?そして女性が食べている物に突き刺している器具は何なのでしょう?」


と矢継ぎ早に聞いてくる。

「レイノワさんまあ~そんなに急がないでも一口食べてみてください」

俺はフォークを1本取り出してレイノワさんに手渡す


恐るるフォークでゴブリンから揚げに刺して口に運ぶレイノワさん

一口食べて


「あ・・熱いですが、凄く美味しいですよこれは!!これがあの激マズのゴブリンの肉だったとは到底考えられません」


そう言った途端に一心不乱にゴブリンから揚げを食べはじまた。

麗香、アリシャ、リリス、トリア、ナスティア、クリスも一言も喋らず黙々と食べてるな・・


ゴブリン唐揚げは魔法加熱が有るからめちゃめちゃ高速作成可能

どんどんと製造だ!!


たの商隊の人達も俺達を物欲しそうに眺めているが・・

助けられた手前、何も言えなさそう

商隊の皆に向かって

「皆さんもどうですか?」

ってフォークを差し出しながら言ってみると・・

集まるわ!!集まるわ!!


『芋の子を洗う状態』


っていうのはこういう事を言うんだろうな!!

一時間の間、もう皆食いに食いまくったよ!!

『だって無料だからね~』


食材は・・・

『ゴブリンを倒した肉!!』

でも3体も食べれば皆お腹いっぱいになって座り込んで


『もっと食いたいのにもうこれ以上食えねえ~~』


って本泣きしてるよ

『なくこた~ねえだろ』

って感じだぜ


倒したゴブリンの数は254体

3体は皆のお腹の中に入ったから残り251体

普通はゴブリンの肉はマズくて臭くて魔石しか売れないらしい。


現在ノエリアの街までグランドレア商会の会頭レイノワさんの馬車に乗って移動中

俺はと言えば・・

レイノワさんに絶賛尋問されている。


「あのあの唐揚げに使っていた油は何なのでしょう?」

そんな感じで詰め寄られ中

なので一つ一つ説明だ・・・説明するのが難しい・・


この世界の油は魔獣から取る魔獣油が有るが、食用にすると臭くて食えたものではないらしい。

食用ではドウラという硬い殻に覆われた実の中から抽出するドウラ油か主流

でもドウラの実が硬いのと、そんなに取れないので相当に高級品

500ミリペットボトル1本分が金貨5枚なんてとんでもない金額らしい。


俺は持っていたひまわりの実を渡し油の採取法を伝授

「それは凄い!!革命ですぞ!!油の革命ですぞ!!」

って大喜びでひまわりの実をおれからダッシュしてたよ

リスの餌用にペット店でも売ってるし園芸店でもめちゃめちゃ安く売ってるからあっちの世界じゃ高級品じゃないしね。


そして意外に食いついてきたのがフォーク!!

この世界ではフォークが無いらしい

有るのは


ナイフ と スプーン


この世界ではその2つで食事をしているらしい。

この世界にないフォークを出した事でビックリされた訳だ


馬車の中でそんな話をしている間に商談成立

フォークはコピーで幾らでも作れるんで今回1000本を即納 金貨20枚?

けちゃめちゃ俺ボッタくりしたんじゃね?

この世界の価値がわからねぇ~


そしてひまわり油

これは20本しか手持ちがない!!

食物はコピーしたらどんな影響が有るか解らないからしない!!

この前コピーして死にかけたからな!!

なので手持ちの20本を即納 金貨2枚で良いって事にしたよ

本来はドウラ油500ミリペットボトル1本分が金貨5枚って事だから1本で金貨10枚って事になるんだろうけど今後ひまわり油で価格破壊するらしいから俺としても高値にはしたくない。

ひまわり油は来年から製造開始するらしいから儲けの1割を俺に還元してくれるとの事だ。


そして小麦粉、この異世界でもあるらしいが、俺が出した小麦粉の質には敵わないらしい

1キロ入り小麦粉50個手持ちを放出 金貨10枚

今回の商談は全部で金貨32枚となった。


そしてゴブリンの肉10頭分を金貨1枚で譲った

ギルドでフォークと唐揚げの商権を登録して、早速レノウンの街で唐揚げ商売を立ち上げるそうだ

流石商人レイノワ!!招魂たくまし過ぎる!!


そんな話を詰めている間にレノウンの街の第1の門か見えてきた。


つづく・・・

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る