第81話 81.大陸の現状

<アリシャ>


心はとっくに決まっているハズなのに、どうしてもドキドキしてしまう。

ジャクソン家を排除すると決めてから、この命は無い物と一旦は諦めてた。

この世界の軍事に深く根を下ろした魔導書

最近、それを運用し莫大な利益をあげ、国の軍事まで口をはさんできて、私まで政略結婚の道具に指定されてしまった。


偶然に魔導士団長グラノラ・ジャクソンの野心をしってしまった私

ジャクソン家は原初の魔導士モノリスストレイアの弟子の一つ

この国から魔導士を排除すると決めた時、私は死を覚悟した。


この世界から魔導士を排除するという事は、軍事面で他国と比べて相当に軍事力が低下する。

それを私の父親も母親もリトリア王国自体も許さないかもしれない

でも!!

でも!!

国民からの魔導士に対する信頼は皆無!!

あまりの横暴さと権力を振りかざした行いに国民は嫌悪感さえ抱いている。


『魔導士なんて居ない方が良い!!』


魔導書とはお金のかかる物!!

ごく一部の裕福な商人や貴族達が金貨100枚のお布施の対価に渡される魔導書

庶民の生活には全く関係ない!!

兵器としてだけの魔導書


そして火を扱える魔法陣を刻んだ魔道具も一個金貨1000枚とかとんでもない値段

そして近年魔獣が増え魔獣被害の為に土地は荒廃、村は魔獣被害の為に貧困に瀕している

国の経営は、魔導士の弟子の横暴な軍事費の請求で何処の国も逼迫し、増えた魔獣の被害で何処の国も生存圏を狭められて今や国土の半分は魔獣が支配する領域となっている。


それなのに!!

ジャクソン家はと言うより原初の魔導士モノリス・ストレイアの弟子の末裔達は自分の至福を増やす事だけに注力し、魔獣退治を全く行ってくれない。


魔獣退治に魔法は程んど使えないって言うのもある。

草むらから奇襲して来る魔獣に対し


魔導書を開いて起動しようとする魔導書のページを開いて

『大地に普く存在する不変の力よ


 わが求めに応じ、我を対価に


この魔導書に顕現したまえ


✖✖✖            』


って言霊を唱え襲ってくる魔獣に対して魔法を当てなければいけない。

此れだけの事をしている間に魔導士は確実に魔獣の胃袋に入っている。

だから使えない!!

国と国の戦争みたいに、お互いに陣地を設置し睨みあって、どちらかが開戦の火蓋を切るなんて場合にのみ有効な手段。


だから弟子同士で

『我こそ原初の魔導士の直系である』

と言って争っている。

真也は

『魔導士の弟子達は国家を利用し自分達の代理戦争をさせようとしている』

って断言した。

私も弟子達の中が悪い事は知っていたけれど、代理戦争をさせようとしている事までは想像していなかった。



国の組織とは別にギルドという組織は存在する。

原初の魔導士モノリス・ストレイアが作り上げた組織で何処の国にも属さない組織で、ギルドは中立を保っている。

そしてその区分率を壊しギルドを襲った場合天罰が起こると言い伝えられている。


実際にドストル帝国のエイシス家の物がギルド支部を襲って通信の魔道具と冷蔵の魔道具を解体して仕組みを調べた時があるらしい。

ギルド所有の通信の魔道具と冷蔵の魔道具は魔法陣は存在せず、スイッチに手を触れれば作動する。

しかし通信の魔道具と冷蔵の魔道具を解体した瞬間に2つとも同時に機能を停止し二度と動かなくなったらしい。

この為ドストル帝国のエイシス家はギルドに対して年間に金貨1億枚の賠償をしなければならなくなったらしい。

この為にドストル帝国のエイシス家は色々と黒い噂が絶えない。

大陸全土で自禁止されている奴隷売買を裏で大々的に行っているっていう噂が広まっている。

確かに奴隷は存在する。

しかし奴隷として売買出来るのは犯罪奴隷のみ

最近は魔獣被害により生活圏が半分になり、生活できずに身売りして奴隷として一生を終える人が多くなったと聞いている。


ギルドは国の流通・経済・錬金術・魔獣の買取や魔石の買取なども行っている。

原初の魔導士モノリス・ストレイアが作ったとされる通信の魔道具や冷蔵の魔道具が各ギルド支部には設置されていて買い取った魔獣の保管に使用されている。


魔獣に関しては、ギルドの有る都市の周辺周辺では魔獣を狩って魔獣の死体ごと持ち込んでくるが、都市から離れるに従って魔獣を討伐しても魔獣の死体を運ばないといけなく運送している間に肉が腐って使い物にならなくなる為、都市から1日の移動距離の範囲の魔獣を狩って持ち込むのが限度みたい。


だから、街から1日も外れると魔獣の天国よろしく住む事は出来ない。

城壁で守られた街の中だけが人間か生存できる生存圏と言って良い・


ギルドのもう一つの機能として身分証明書の発行という機能が有る。

原初の魔導士モノリス・ストレイアが考案したという魔道具でギルドで発行してもらえる。

ギルドにはこのカードを作成出来る魔道具も有る為に、カードが無くて発光出来ないという事も無いらしい。


このカードには何と本人認証機能が有って、本人以外使えない。

それはこのカードにお金を入れる事が出来るから。

各ギルドは通信の魔道具で繋がっていて情報が共有され、何処の国のギルドに行ってもお金の預け入れや引き出しが出来る。

なのでギルドは銀行の機能も持っている。

両替商としても機能していて、両替の場合1割が両替料として差し引かれられる。

本来は国の機関がしなければならない業務だが、魔導士モノリス・ストレイアの作ったシステムに乗っかっちゃっている。


そもそも魔導士モノリス・ストレイアの作ったこのシステムを作る事自体今の技術では不可能と言われている。


なので真也と麗香のギルドカードを作成する為に一番近いレノウンという人口10万人の都市へ寄ってギルドでギルドカードを真也、麗香、私、リリス、トリア、ナスティア、クリス全員の分を作る事にしたの。


何故、私達の分まで?

と思うかもしれないけれど、私達5人はリトリア王国を敵に回すかもしれない

多分魔導士システム、いえ!!魔導書文化を壊す為、この世界全部を敵に回す覚悟をしなければならない。

その為の身分証明書を作っておきたい!!


私達は一路、レノウンという人口10万人の都市に向かってゆく事にした。


つづく・・・

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る