第71話 71.異世界を蝕む魔導書文化
<真也>
異世界版兵器『水鉄砲』
は直径10メートルの大木を一瞬で切り倒すことが出来る。
皆もその威力は解ったようだが実戦で使ってみないと実感しないだろう
あの草原で出た体長1,5メートル位の小ぶりシルバーウルフ程度なら一発で狩ることが出来るだろうが、この『魔の森』の10メートル級の魔獣は一発で狩るのは無理がある。
いや・・レーザーソードみたいな使い方をして切ればなんとか出来るかも!!
『そこは実戦で戦闘データを取りながら・・だな!!』
「皆よくやった。この武器の使い方は簡単なんで、後は実戦で慣れてもらう。次は魔法訓練をしたいと思う」
と言うと
アリシャが
「魔導書は馬車の中に置いていたので持ってきていません」
と悲しそうな表情で話してくるから
「壊れた馬車の残骸なら俺の空間庫にあるから取りだす事が出来るぞ。しかし魔導書は使わないで魔法を直接起動してもらう」
「そんな事は絶対に無理です。過去にこの世界でそんな事をした魔導士はいません」
とクリスが速攻で否定してくる。
「そうです!!この世界では魔導書が無いと魔法は使えません」
ナスティアも食い下がる
「この世界ではお金持ちしか魔法を使う事が出来ません」
ってリリスが追随するが・・
何故?魔法にお金が必要なんだ?って俺は疑問なんだが・・・
「どうしてお金がかかるんだリリス」
「魔導書というのは例えばリトリア王国では魔導士ジャクソン家に魔導書1冊金貨100枚のお布施をする事によりその人が死ぬまでジャクソン家から魔導書が貸し出されるのです。だからお金の無い人は魔法を使う事ができません」
と今度は第一王女のアリシャが丁寧に教えてくれる
「アリシャ教えてくれてありがとう。そうするとリトリア王国の魔導士はジャクソン家直属って事なのか?」
「いえ、ジャクソン家から半分程度登用されていますが、リトリア王宮が魔導士を別に雇った場合は1冊の魔導書を頂くのに金貨100枚が必要になります」
『何ちゅうぼったくりなんだ魔導書1冊で金貨100枚って有りかよ!!』
「ここの世界の原初の魔導士モノリス・ストレイアの弟子ってのは完全に腐ってるぞ!!アリシャ」
「そうです!!だから私達は排除しようとしたのです」
俺はあの草原で屠った魔導士達が持っていた200冊以上の魔導書を空間庫に居れている!!
って事はあそこに魔導士が200人以上居たって事か?
それに奴らが持ってた金貨や小金貨や銀貨や銅貨
金貨だけでも3000枚以上有るぞ!!
アリシャを抹殺する為の軍資金って感じなのか?
『奴ら本気で殺しにきてたな』
召喚魔法まで使ってブタ頭の魔獣1000体以上召喚してくるし、青龍を召喚してくるし・・
何がやりたかったんだ奴ら?
『念には念をって感じだったのかな?』
俺は空間庫の中に入れてある魔導書の一冊を取り出してアリシャに渡して
「これはアリシャを襲った賊が持ってた魔導書だが、多分ジャクソン家の魔導書だろ?これで何か魔法を発動する事が出来るか?」
アリシャは俺の渡した魔導書をじっくり見た後、魔導書の中をパラパラと捲ってから
一つのページを開いて
「大地に普く存在する不変の力よ
わが求めに応じ、我を対価に
この魔導書に顕現したまえ
我は求めん業火の火球よあの木を撃ち払え」
と魔導書に手を翳して魔力を魔導書に注ぎ魔導書から浮き上がった直径39センチ位の火球に手を翳した瞬間
『火球は200メートル向こうに立っている俺が出現させた木に直撃し幹が数十センチ削り取られ黒く焦げた』
俺は・・アリシャが魔導書を開けて魔法を放った時!!
『違和感に気づいた!!』
な・・何なんだ・・此れ・・
そんな困惑した俺に
アリシャは振り返って
「確かにこの魔導書はジャクソン家の魔導書ですわ。ちゃんと第一の書と記述もありますし、魔導書の中の内容も全く一緒です。
魔導書は弟子一人一人の素養を見て原初の魔導士モノリス・ストイア様が直々に弟子の目の前で魔法陣を書いて手解きしたと聞き伝えられています。
なので弟子により魔導書の内容が違うのです」
とアリシャは今発動したままの魔導書のページを開けたまま俺に返してきた。
『俺にもやってみろって事なんだろう』
俺はアリシャと同じように受け取った魔導書のページに魔力を込め
「大地に普く存在する不変の力よ
わが求めに応じ、我を対価に
この魔導書に顕現したまえ
我は求めん業火の火球よあの木を撃ち払え」
と規定通りの言霊を発し火球を作って発射
俺の出現させた火球は直径1メートルの火球となりさっきアリシャが攻撃した木の幹に直撃し、
「ドーーーン」
っと盛大に爆発音を上げ爆発炎上!!
直径10メートルの幹の半分を爆散させた!!
「凄いじゃない真也」
と麗香が早速俺の魔法を賞賛
アリシャも
「これほどの魔法私見た事が有りませんわ」
続いてリリスも
「流石私の旦那様になるかたですわ。物凄い威力です」
「ジャクソン家のベンダー様でもこの威力の半分もいきませんわ」
とナスティアがそう言って俺に抱き着いてくる
「ナスティアズルいです。独り占めしないでください」
そういってトリアが抱き着きに参戦
クリスは
「真也様どうしてあそこまでの威力がだせるのでしょう?」
っと冷静に聞いてくれる。
そして一人だけ・・
アリシャが俺の前に来て
「真也、私が魔導書で魔法を発動した時何故違和感の有るような表情をされたのですか?」
と直球でおれに聞いてきたのだ。
俺が感じていたこの魔導書への違和感をアリシャは直感的に感じていたんだろう。
「それはな・・・・・・」
つづく・・・
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