第35話 35.麗香、ダメ親父との攻防
<麗香>
愛崎家で皆で和気あいあいでご飯を頂いた後、
病院に電話して
『父親が倒れたので出勤はお昼からになります』
連絡を入れて了承をもらう。
横で聞いていた真也が、電話が終わってから
「麗香お前の演技真に迫っててビックリしたぞ」
って冗談まがいに声を掛けて来たので
「私の一生が掛かってるんだから当然でしょ?」
と人蹴りすると
「お・・おう、そうだな」
って同意?してくれたけれど・・・
真也はこれから私がどんなやり取りを父親とするのか考えてないんだろうな~
『兎に角、私のこれからがかかった大事な戦い!!頑張んだ~~!!オーー』
私の車で9時30分『ジュエリージュエリー』に到着!!
すると私達の到着を気にしていたのか店の中から佐竹の叔父様が駐車場まで出迎えに出てきてくれていた。
「今日は急にお呼びたていたしまして申し訳ございません。麗香ちゃんの結婚問題がかかっている為に早急にお願い致しました。麗香ちゃんのお父様も後10分少々で着くと思われますので応接室の方にご案内いたします」
と言って私をチラッっと佐竹の叔父様はみて笑みを零した。
はぁ~叔父様には、私が何をこれからしようとしているのかお見通しのようね・・
『どうせ叔父様に入れ知恵して頂いたんですもの有効に活用させてもらうわ』
私は、もう父親の操り人形には絶対にならない!!
『私の人生は私が決めるんだ!!』
と決意を新たにする私
応接室に着いて、女性の従業員さんが冷たいアイスコーヒーを持ってきてくれ、そのアイスコーヒーを飲んでいる間
『ドクン』
『ドクン』
『ドクン』
『ドクン』
っと段々と心臓の鼓動が高くなってゆくのが自分でも解る
『落ち着け私!!』
と自分の心にゲキを飛ばすが・・余計に収まらない!!
そんな時
『私は急に横から抱き締められた』
真也が横から私をギュッと抱き締めて背中を
『トン』
『トン』
っと叩いてくれる。
『あ~しほの香りがする~落ち着くな~』
しほと真也って同一人物なんだもの当然か
やっぱり真也に何時も傍に居て欲しい
改めてそう思う。
「真也もう・・だ・・大丈夫だから」
って言葉を返すと
「良かった。普通の麗香だ」
って安心してくれる真也
でも佐竹の叔父様には・・・なにか優しい微笑みでスルー?されちゃった
知った人に抱き締められているのを見られるのは・・少し恥ずかしい・・
そんな恥ずかしさで現実逃避していた応接室で急に
「コン」
「コン」
っと2回応接室のドアがノックされた後
「安城寺 猛様をお連れしました」
と女性の声が返ってきた。
佐竹の叔父様がドアに向かって歩いて行ってドアを開けると
憎たらしいうちのダメ親父だった。
昨日の件以来、私の中では父親の権威は最下位を通り超し地下50階くらいまで低下中
私はそんな父親の猛を無言で迎える
父親の猛は私達と対面した席に
佐竹の叔父様
うちのダメ親父
そして対面した席に
真也
私
の順番で座った。
私の父親は開口一番に
「お前の横の男は誰なんだ」
とカチンと頭にくる言葉を吐いてくるから
私はぶっきら棒に
「私の旦那様よ」
と一言
「私はそんな勝手な真似は許さん!!」
と速攻予想通りの返答が返ってきたから
「大丈夫よ、今日で家族の縁は切れるから!!私は貴方が私に言った言葉を一字一句忘れる事は無いわ!!
『資産運用で失敗したんだよ。今は子息を払うだけでいっぱいいっぱいな状況だ。だからどうしても白鳥病院の長男との結婚を成功させて血縁関係を築かなきゃいけない!!
これは決定事項だ!!
それとも、50億お前が用意してくれても良いぞ?それならばお前の自由にしてやろう。
今の予定では8月10日ドリアナホテルで10時からお見合い予定だから、また連絡する』
って言ったわよね?
私は確実に聞いたわ!!
だから、今日その50億耳を揃えて今日この場で貴方に叩きつけて家族の絆は断ち切るわ!!
そして私はこの人と結婚するの」
と言い切った!!
『完璧!!』
真也には・・許可取っていないけど・・何も言わないから大丈夫よね?
このまま押し通してしまおう!!
このまま引き下がるかと思ってたダメ親父は、想定外にも
「あの50億と言ったのは、白鳥病院が用意出来る金額だ!!そんなもんじゃ許さん!!」
うわぁ~約束破棄?
今になってそれを言う?
『ちょ~っと私でも頭に来ちゃうんだけど!!』
「借金は50億じゃなかったの?」
「白鳥病院から50億借りて、残りはうちの資産を整理するつもりだったんだよ!!」
うわぁ~私が知らないとでも思ってるんでしょうけど、女も囲ってる・・みたいなのに、借金まだまだあったんだ・・一体いくら借金してるのよ?」
私の怒涛の追及にうちのダメ親父は観念したように小さく肩を落として
「85・・・85億だ!!資産運用で失敗したんだ。しょうがないだろ!!」
って・・・
「なんで貴方が切れるのよ!!私の方が切れたいわ!!」
50億で話が出来ると思ってたのに・・
そう言って私が落ち込んでいると
『トン』
『トン』
っと私の肩を真也は軽く叩きながら
『もう切りの良い所で言っちゃえよ!!』
って笑顔で私に言ってくれる真也
一瞬、真也の言っている事が解らなかったけど・・
『切りの良い所?50・・85億の借金・・100・・・?』
私は真也の言葉に頷き、再度父親に向き直って
「じゃ~取引よ!!100億出すわ!!これで安城寺家と私は手を切って私は真也と結婚する。だから金輪際私に口出ししないで!!それとアンタが持ってる愛人と逢引用に使ってる銀座のリリスヒルズ 40階の億ション私が貰うわ!!今あそこのカギ持ってるんでしょ?」
『言ってやった!!』
私の言葉にダメ親父はしょぼんと肩を落としている
そんな父親の肩を佐竹の叔父様が
『ポン』
『ポン』
っと叩きながら
「これは猛様の負けですな。麗香ちゃんに望まぬ結婚を押し付けたのは猛様のミスです。麗香ちゃんがここまで言ってるんです。此の辺手を打ったらどうですか?
麗香ちゃんも、ああ~言いましたが今なら親子の縁を切らないで済むと思いますが・・どうでしょうか?」
そう佐竹の叔父様に諭されたダメ親父は・・
何にも言わずに
『キーをポンっと机の上に置いた』
此れで話は終わりだって事なんだろうな。
何とか全部丸く収まったって事・・・かな・・
勢いでやっちゃったけど・・
此れって?
私と真也の結婚を盛大に宣言しちゃったって事よね?
そんな心を読んだのか
佐竹の叔父様が
「麗香ちゃん結婚おめでとう。それに新居も手に入れられて一石二鳥言う事ありませんな」
とダメ出し
父親も
「結婚式を挙げる時は言え!!安城寺家の長女が結婚式を挙げないのは世間体が悪いからな!!」
????
突然の父親からの言葉にビックリ!!
「え?反対じゃ無かったの?」
「此処まで目の前で見せつけられたらしょうがないだろ!!」
「そうですな。お二人熱々のカップルぶりでしたですからね。お二人の結婚式はお二人共にウェディングドレスというのも有りですよね?ね~し・ほ様?」
と佐竹の叔父様が真也の話を振った。
『2人ウェディングドレスで結婚式?』
あ~其処までは考えてなかったわ~
「佐竹の叔父様、その案良いかもしれませんね」
「でしょ~麗香様もそうお思いでしょ」
って私と佐竹の叔父様とで顔を見合わせて笑ってしまう。
真也は
「2人とも何縁起の悪い事言ってるんですか!!本当になったらどうするんですか!!」
って相当に慌ててる
「「冗談じゃないですよ?しほちゃん」」
私と佐竹の叔父様は同時にハモリながら真也に告げる。
「ウェディングドレスなんて着るのは嫌だ~~!!」
真也の声だけが応接室に空しく響くのだった。
づづく・・・
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます