第32話 32.闇の商売人
<佐竹>
『ジュエリージュエリー』
1945年8月14日日本のポツダム宣言受諾後の、戦後混乱期に初代『
昭和の復興期の押せ押せムードに乗り急速に成長した
初代倉蔵が亡くなった後を継いで私が『ジュエリージュエリー』を継いだが、バブルが弾けた頃より徐々に昔の繁栄は無くなってしまっていた。
バブルが弾けるまでは、麗香ちゃんの父親、安城寺猛が貸してほしいと頼み込んできた50億程度の金額ならば痛くも痒くも無い金額だったのだが・・
短期の貸付ならば50億くらい幾らでも融通が利く!!
しかし・・
今の安城寺の状態は、株式と土地転がしの失敗で個人負債を抱えすぎてしまっている状態
全部の資金を回収するには数年?いた数十年はかかるかもしれない
『ジュエリージュエリー』を運営する私としても長期の間50億もの資金を遊ばせている余裕は無かった。
小さい頃から安城寺猛に連れられてよくこの『ジュエリージュエリー』に宝石を選びに来てくれたものだった。
昨日急に麗香ちゃんから久しぶりに連絡が有ったと思ったら、金塊を持ってきて販売して欲しいってお願いされてビックリ
数年会わなかった、父親の話では東○大学病院で女医をしているって聞いていたが、暫く合わない間に麗香ちゃんも綺麗になったもんだ。
麗香ちゃんの持って来た金塊は、本格的な鑑定書もついていて信じられない品質だった
何本用意出来るのか聞きたかったが依頼主じゃないと解らないらしい・・
依頼主が気になる
そして今日突然に麗香ちゃんの父親が来て突然50億貸してほしいと頼み込んできた。
切羽詰まっているみたいだった。
帰り際麗香ちゃんの父親が呟いた言葉、正直殺してやろうかとさえ思えた
しかし麗香ちゃんも不憫な少女だ。
政略結婚の道具として白鳥病院の長男に嫁がすなんて、猛も何を考えているのやら
考えただけで腹が立ってくる
そして夕方麗香ちゃんが約束ししていた金塊の依頼主を連れて来た。
凄く綺麗な少女で正直ビックリした。
こんな少女が何であんな金塊を持っているんだ?
『旧家のお嬢さんで資産とかで貰ったものなのだろうか?』
一瞬そんな考えが浮かんできた。
髪は後ろで2つに括ってツインテール
身長は麗香ちゃんより高く、180㎝以上はあるだろう
お化粧は全然していない?リップを塗っている位か・・今時珍しいな・・まさか高校生?
良く観察すると・・・
綺麗な美少女だが・・・
仕草の至る所で微妙に男を感じる・・
それに筋肉!!
あれは女の子の筋肉じゃない!!
それに時折感じる眼光!!尋常じゃない!!生物としての格が違う
この少女一体何者?
麗香ちゃんは、『しほ』と紹介したが・・・
私はかまをかけてみた!!
「しほさん?失礼ですが女性のお姿をされていますが、男の方ですよね?それに私の勘ですがこの地球上でしほさんに敵う敵は居ないと思われますが・・・どうでしょう?」
すると男性の声で自分の正体を喋りだしたのでビックリ
半信半疑だったのに想定外だ!!
『しほ』と名乗った男は『愛崎真也』といい、どうも麗香ちゃんにゾッコンみたいだ。
麗香ちゃんのドレスに麗香ちゃんの下着を着けたいって・・
麗香ちゃんも満更でも無い様子だし・・
『この二人良い夫婦になるかもしれない』
最初金塊を何本準備出来るか『しほ』という女性に聞いた時200本と言ったので正直もう一度聞き返してしまった預かった金塊が200本?単純計算200億円!!
とてもじゃないけれど何も持っていない手ぶらで来ているし正直信じられなかった。
タダ・・
麗香ちゃんのネックレス!!
あれはこの地球上の物じゃない!!
それにこの少女の格もただ物じゃ無いと気配でわかる!!
その後このしほという少女姿の女性?は金庫に案内すると本当に金塊200本を一瞬で金庫の床に取り出してしまった。
『この金塊が少女の言ったように無限に生み出せるなら・・・私達はこの世界で限りない富を手に入れることが出来る』
そう!!
どうしてもこの少女とコネクトを作らねば!!
そうだ!!
朝麗香ちゃんの父親が言っていた言葉!!
麗香ちゃんも何故か今日情緒不安定で心此処に有らずって感じだし仕掛けてみるか!!
そう決心し
「アハハ、金塊200本用意出来ると仰ったお嬢さんが、何も持たないままに金庫に案内して欲しいと言った時には半信半疑でしたが此れは凄い!!
この金塊の出所が異世界・・と言われた事も存外本当の事なのでしょう
今はしほ?さんと呼ばせてもらっで宜しかったでしょうかな?
折り入ってしほさんにお願いが有るのですが宜しいでしょうか?」
と私はしほという女性に話を振ってみたら
「お願いの内容にもよりますが・・・」
って小首を折って可愛い仕草で答えてきた
こう見ると全くもって何処からどう見ても美少女だ!!
私でさえドキッとしてしまった。
私は確信を告げ決心をする
「率直に申しましょう、この金塊多分100本を裏の世界で捌けば明日の朝までに100億をご用意出来ます。
その中の50億を私に貸しては頂けないでしょうか?」
「内容にもよりますね」
しほという少女は話に乗ってくれそうだ!!
ここで麗香ちゃんちゃんの気持ちを確認せねば!!
そう思って麗香ちゃんに気になっている事を聞いてみる
「麗香ちゃん、今日顔色が優れないけど何か有ったんじゃないのかい?」
空かさず
「な・・何も・・無い・・何も無かったわ?叔父様」
と返答があったが、明らかに動揺しているな!!
麗香ちゃんには気の毒だが、もう少し揺さぶってみるか!!
「今日の朝、麗香ちゃんのお父さん、猛くんが来られてね。50億用意出来ないかと相談を受けたんだよ。
私の所でも数日で返却出来るならば用意出来なくは無いんだが、長期に渡って貸し出すとなると難しいって返答すると、やっぱり白鳥病院の長男、卓志君と娘の縁談話を進めて血縁関係を結んで融資をお願いするしか無いようだ。この話は忘れて欲しいって帰っていったんだ・・
その分だと麗香ちゃんの所に縁談話を受けろってお父さんが行ったんじゃないのかい?」
・・・・
・・・・
・・・・
少しの沈黙の後、麗香ちゃんが突然泣き出してしまった。
わ・・悪い事をしたかな・・
どうフォローしようか・・
と私が悩んでいたら
麗香ちゃんが突然しほという女の子に抱き締められた!!
『これはこれは・・百合ですな・・』
しほという女性に暫く抱き締められて落ち着いたのか
麗香ちゃんはしほに抱き締められ泣きながら今日病院で言われた事をしほに全部話していた。
彼女?彼?しほという女性は
「ここまで俺をこんなにも好きにさせて、黙って俺に何も言わずに居なくなるなんて許さないからな!!
佐竹さん金塊は明日までに換金出来るんですよね?
佐竹さん麗香の為なら好きなだけお金を使ってください、足らなければ金塊は無尽蔵に私が作り出します
麗香そのお金、明日の朝親父さんに叩きつけてやれ!!
そして麗香は自由に生きれば良い」
って言い放ったのだ!!
『もうこれはプロポーズですな!!』
ここは私がもう一押ししなければ!!
「しほ様の麗香ちゃんへのプロポーズこの佐竹シッカリと聞かせて頂きました。この佐竹生き証人として必ずや麗香ちゃんの父君にしほ様と麗香ちゃんの結婚を承諾させましょうぞ」
此れでしほ様と麗香ちゃんの結婚は確定でしょう!!
後は私がこの金塊200本を裏の世界で今日中に売り捌けばすべては順調にすすむハズ!!
この老体、若い二人の為頑張らせて頂きますぞ!!
見てろよ安城寺の糞親父!!
『麗香ちゃんを泣かせた事を後悔させてあげましょう』
つづく・・・
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