第4話:オリオン皇国
「真聖女アイリス様、よく皇国に来てくださいました。
離宮と侍女を用意してお待ちしておりました。
まずは離宮でゆっくりとされてください。
公式のお披露目は、真聖女様と御相談させていただきます」
ジノア皇帝陛下が心の籠った言葉をかけてくださいました。
残念ながら皇后陛下は亡くなられていて、側室がいるだけでした。
皇帝陛下は、後継者争いが起こらないように側室を皇后に昇格させる気はないようで、とても好感が持てました。
側室の方々には腹立たしい事でしょうが、国と民の事を思えば、後宮の争いで後継者争いを起こすのは愚かな事ですからね。
「真聖女アイリス様、皇国に来て頂けたこと家臣一同ありがたく思っております。
離宮での事は我々侍女達が任されております。
なんなりと御命じくださいませ」
戦闘侍女頭ライラネと名乗った女性が深々と頭を下げてくれたのと同時に、多くの女性達も深々と頭を下げてくれました。
それからの日々は、まさに王侯貴族の生活でした。
ライガ王国で使用人同然の立場で扱き使われていたのとは雲泥の差です。
食べる物も、ライガ王国で聖女の公式行事で食べさせてもらえたご馳走すら、比較するのがおこがましいほど美味しいものでした。
「ライラネ殿、このまま飽食と怠惰に過ごしていては人間が堕落しています。
ここまで贅沢な待遇をしていただいて、何もしないのでは心苦しすぎます。
何かやるべき役目を与えてください。
この国が困っている事、この国に不足しているモノ、何でもいいから教えてください、それもないのなら神殿に案内してください、祈りますから」
「何度もお願いしているように、私の事はライラネと呼び捨てにしてください。
真聖女アイリス様にお願いすべき事を私ごときが口にするわけにはまいりません。
不正を防ぐためにも、お願いは皇帝陛下のみが行われます。
真聖女アイリス様には今しばらくゆっくりして頂くと、皇帝陛下は申されていたのですが、そこまで言って頂けるのでしたら、謁見の準備を整えさせて頂きます」
ライラネ殿がそう言ってくれて、急ぎ謁見準備が進められました。
皇帝陛下との謁見は、普通に願い出たら二カ月三カ月待つのが当たり前です。
いえ、それも有力貴族が願い出た場合だけで、何の縁故も力もないモノが願い出ても、謁見が許可されることはありません。
それが私の場合は、翌日の謁見が認められました。
申し訳ないことに、皇帝陛下が全ての公式行事を終えられて、後宮でお休みになられる前に無理矢理謁見が行われることになったのです。
本当に申し訳ないことです。
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