第2話:皇太子参上
「いいか、身分を弁えずに王都に入ろうとしたら、問答無用で殺すからな。
その空っぽの頭では覚えておくのは難しいだろうが、忘れるなよ」
「ワッハハハハ、そうだな、平民はバカだからな。
なんなら俺様が忘れられないように身体に教えてやろうか」
近衛騎士の一人が、私を馬鹿にした言葉を投げつけてきました。
もう一人の騎士が、その言葉に嗜虐心を刺激されたのか、事もあろうに、城門前で私を嬲り者にしようとしています。
争いごとの嫌いな私も、流石に黙って嬲り者にされる気はありません。
それに、どうやらこいつらは、日頃から平民女性を嬲り者にしているようです。
ここで殺しておかないと、これからも多くの女性が泣かされてしまいます。
「ふっへへへへ、泣け、叫べ、その方が興奮する」
さて、ニタニタと愉しそうに笑っている城門警備の兵たちも、もう一人の近衛騎士も、纏めて殺してあげましょう。
「この恥知らず共が、それでも騎士か!」
先程から隠れてこちらをうかがっていた者が、剣を手に怒鳴り込んできました。
いえ、怒鳴るだけでなく、まるで舞うような美しさで剣をふるい、二人の近衛騎士と十人の門番兵を瞬く間に斬り殺してしまいました。
あまりの見事な剣技に見とれてしまっていました。
私も十二人を同時に殺す事はできますが、それは魔術を使えるからです。
純粋な剣術でそんなことができるようになるには、よほどの鍛錬が必要です。
「真聖女アイリス様、私はオリオン皇国の皇太子レオルと申します。
神様の御告げにより、真聖女アイリス様がこの腐った国から追放されると知り、お迎えに上がりました。
オリオン皇国に来ていただきたく、伏してお願い申し上げます」
なんと神様が私が追放されると、この人に、いえ、レオル皇太子殿下に御告げしてくださったのですか。
しかも尊い皇太子の身で、自ら危険を冒してこんな腐った国に迎えに来てくださったというのですか!
これでお断りしてたら、女が廃るというモノです。
この国では手を抜きましたが、オリオン皇国では全力で聖女の御役目を果たさないといけませんね。
「頭をお上げくださいレオル皇太子殿下。
私ごときのために、尊い身を顧みず危険な他国に迎えに来てくださったこと、心より感謝いたします。
喜んでご一緒させていただきます」
「有難き幸せでございます、真聖女アイリス様。
本来なら、真聖女様に相応しい馬車でお迎えに上がらなければいけないのですが、この国も者達に知られるわけにはいかず、馬での旅になってしまいます。
どうかご容赦願います」
そうレオル皇太子殿下が言われると、隠れていた馬が二頭姿を現した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます