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体育が終わって、着替えている時も
「そう思って、ここ最近気にかけてみてたんだけど。あいつ、いつ見ても影が何かに隠れて見えないんだよ。」
「そんなのたまたまだろ。」
「だから、いろんな奴に聞いて回ったんだよ。『あいつに影があるのを見たことがあるか?』って。そしたら、皆、『そんな奴、いたっけ?』だと。それで、今日、樹にも聞いたんだよ。」
それを聞いても樹は興味がなさそうだった。
「絶対に何か秘密があると思うんだよなー。樹も調べるの手伝ってくれねぇ?この前、英語の宿題を見せてやったろ?」
圭はそんな樹の様子も構わずに強引な勧誘をする。
「……またいつものだろ?」
樹は呆れ顔で圭のことを見る。樹に圭がこんなことをお願いしてくるのはいつものことなのだ。
「俺はいいよ。もうそういうのは勘弁。そもそも、仮に影が無かったとして、それが何なんだよ。俺には関係ないだろ。」
樹はわざとキツイ言葉を使って、圭を突き放した。樹がしっかりと拒絶を示したのは、これが初めてだった。普段と違う樹の反応に、圭は動揺をみせる。
「それは、そうだけど。……そっか。」
圭はいつもより、すんなりと引き下がる。圭の声のトーンがガクンと落ちる。
「とにかく、今日の放課後、あいつに影があるのか確かめる作戦があるから。明日になったら、どうだったか教えてやるよ。」
樹が思っていた以上に落ち込んだ様子の圭は、明らかに無理をして明るく振る舞っていた。
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